多雪区域の積雪時地震力とは?0.35Sの根拠と荷重組み合わせの扱い(令第88条第1項・令第82条)

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ルート君

多雪区域では、地震力の計算が変わるの?

多雪区域(積雪量の多い地域)では、積雪時に地震が発生することを想定し、地震力算定用重量に固定荷重+積載荷重+0.35×積雪荷重を用います(多雪区域で積雪を加える根拠は令第88条第1項、0.35の組合せ係数は令第82条第一号)。

建築基準法施行令 第88条第1項・第82条(多雪区域の地震時の積雪)

地上部分の地震力は、固定荷重と積載荷重との和(多雪区域においては、更に積雪荷重を加える)に地震層せん断力係数を乗じて計算する(令第88条第1項)。荷重の組合せ上、多雪区域の地震時には積雪荷重に0.35を乗じた値を見込む(令第82条第一号)。

多雪区域では積雪荷重が大きいほど地震時の重量Wが増加し、地震力も増大します。

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多雪区域ではどんな荷重組み合わせが必要なのか

荷重状態 対象地域 根拠規定
通常時(無積雪)の地震 全国共通 令第88条第1項・第2項
積雪時の地震(多雪区域) 多雪区域(令第86条第2項・国土交通省告示で指定) 令第88条第1項・令第82条第1号

一般区域との違いをまとめると、次のとおりです。

多雪区域は、地震力を求める重量のケースが2つになる 一般区域 地震力を求める重量 W = G + P 積雪は加えない 多雪区域 ① 無積雪時の地震 W = G + P ② 積雪時の地震 W = G + P + 0.35 S 2ケースとも確認する(支配するケースは建物と積雪量による) 0.35 の意味=積雪が最大のときに大地震が同時に起きる確率は低い 積雪と地震を独立した事象とみて、両者の最大が重なる確率を工学的に低減した係数 積雪のみ(地震なし)のケースは短期許容応力度の 1.3/1.5 倍に緩和できる 「地震 + 0.35 S」のケースには適用せず、通常の短期許容応力度を用いる 多雪区域で積雪を加える根拠=令第88条第1項 / 0.35 の組合せ係数=令第82条第一号
図:一般区域と多雪区域で異なる、地震力を求める重量の取り方。

積雪時地震力はどうやって算定するのか(令第88条第1項・令第82条)

多雪区域における地震力Qiは次の式で算定します。

Qi = Ci × (固定荷重 + 積載荷重 + 0.35 × 積雪荷重)

積雪荷重に0.35を乗じるのは、「積雪時に地震が発生する確率を考慮した低減」です(積雪が最大値と地震が同時に発生する確率は低いため)。

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多雪区域では許容応力度計算をどう扱うのか

荷重ケース 対象 許容応力度
長期(固定+積載) 全国 長期許容応力度
短期(積雪のみ) 多雪区域 短期許容応力度の1.3/1.5倍(緩和)
短期(地震+無積雪) 全国 短期許容応力度
短期(地震+0.35積雪) 多雪区域 短期許容応力度

ルート3での多雪区域の地震力はどう扱うのか

多雪区域でのルート3では、積雪時の地震力(Qi = Ci × (G + P + 0.35 × S))を考慮した設計用地震力Qudを算定し、必要保有水平耐力Qunを算定します。

積雪の重量が加わることで全体の建物重量が増加するため、Qunも相応に増大します。

なぜ積雪荷重に0.35を乗じるのか

多雪区域でも、積雪が最大値に達している時に同時に大地震が発生する確率は統計的に低いと評価されています。

積雪と地震を独立した確率事象とみなし、両者の最大値が同時に発生する確率を工学的に低減した結果が0.35という係数です。

つまり「積雪荷重の100%を地震時の重量に加算するのは過剰設計」という判断であり、35%(0.35倍)を加算することで現実的なリスクに見合った設計地震力を実現しています。

なお、この係数は積雪が多雪区域(令第86条第2項)に限り適用され、一般区域では積雪を地震力算定重量に加算しません。

試験で問われやすいポイント

  • 多雪区域での地震力算定式:Q = Ci × (G + P + 0.35 × S)。多雪区域で積雪を加える根拠は令第88条第1項、0.35の組合せ係数は令第82条第一号。「0.35」は「積雪量最大時と大地震が同時発生する確率は低い」という工学的判断による低減係数。
  • 多雪区域では①無積雪時地震(G+P)と②積雪時地震(G+P+0.35S)の2ケースを両方確認する。どちらが支配するかは建物と積雪量による。
  • 短期荷重ケース「積雪のみ(地震なし)」では許容応力度を短期の1.3/1.5倍(長期の約1.3倍)に緩和できる(令第82条第1号の表)。「地震+積雪」ケースは通常の短期許容応力度を適用。

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一問一答

Q. 多雪区域で積雪荷重S=2,000N/m²の場合、地震力算定用重量への積雪加算分は何N/m²か?

答えを見る

A. 0.35 × 2,000 = 700N/m²。令第88条第1項(多雪区域は積雪を加える)・令第82条第一号(0.35の組合せ係数)により積雪荷重の35%が地震力算定用重量Wに加算される。一般区域では積雪を含まないため、多雪区域はその分だけ地震力が大きくなる。

Q. 多雪区域の短期積雪荷重のみ(地震なし)のケースで使える許容応力度は何倍か?

答えを見る

A. 短期許容応力度の1.3/1.5倍(≒長期の1.3倍)に緩和できる(令第82条第1号の表)。地震や風との組み合わせではなく積雪単独のケースに限り認められる特例で、地震+0.35積雪のケースには適用されない。

Q. 多雪区域の積雪時地震力計算(令第88条第1項)は多雪区域のみに適用されるか?

答えを見る

A. はい、多雪区域のみ。一般区域では積雪荷重を地震力算定用重量に含めない。多雪区域は令第86条第2項の条件(垂直積雪量1m以上、または積雪初終間日数30日以上かつ0.15m以上)に該当する区域。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第86条(積雪荷重)
  • 平成12年建設省告示第1455号(多雪区域を指定する基準・垂直積雪量)
  • 建築基準法施行令 第82条第一号(荷重の組合せ/多雪区域の地震時0.35S)
  • 建築基準法施行令 第88条第1項(多雪区域では地震力算定に積雪荷重を加える)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。