仮設建築物の構造規定とは?法第85条の制限緩和と構造耐力(法第20条)

ルート君

工事現場のプレハブ事務所も、ふつうの建物と同じルールがかかるの?

工事現場の仮設事務所や災害時の応急仮設建築物などの仮設建築物には、法第85条によって多くの規定が適用されません

ただし第85条第2項の適用除外の一覧に法第20条(構造耐力)は含まれていません。仮設であっても構造耐力上の安全は求められます。

建築基準法 第85条第2項(仮設建築物に対する制限の緩和)

災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。ただし、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が50平方メートルを超えるものについては、第62条の規定の適用があるものとする。

仮設建築物には何が適用されて、何が適用されないのか

第85条第2項で適用しないと並べられている条文は、確認申請(法第6条等)・大規模建築物の主要構造部(法第21条)・外壁等の防火(法第22条から第23条)・第3章の集団規定(用途地域・建蔽率・容積率・道路・防火地域等)などです。

一方で、その一覧に法第20条(構造耐力)は出てきません。法第19条の次は法第21条へ飛んでいます。

規定 仮設建築物(法第85条第2項)での扱い
法第6条〜第7条の6(確認申請・完了検査) 適用しない
法第20条(構造耐力) 適用する(一覧に含まれない)
法第21条(大規模建築物の主要構造部) 適用しない
法第22条〜第23条(屋根・外壁の防火) 適用しない
法第28条〜第40条のうち列挙されたもの(採光・換気・居室等) 適用しない
第3章(集団規定) 適用しない
法第62条(防火地域等の屋根) 防火地域・準防火地域内で延べ面積50㎡超なら適用する

仮設建築物は確認申請が要らない代わりに、構造耐力(法第20条)の枠は外れていないという読み方になります。

仮設建築物に法第20条がかかると何が必要になるのか

法第20条が適用されるため、仮設建築物も構造耐力上安全なものでなければなりません。自重・積載荷重・積雪・風圧・地震等に対する安全性を、規模に応じて確かめる必要があります。

法第20条の建築物の区分に応じて、仕様規定や構造計算の枠組みが対応してきます。

確認申請が不要であることと、構造の安全性が不要であることは別の話です。短期間で除却される建物でも、使用中に倒壊すれば危険であることは変わりません。

応急仮設建築物はいつまで建てておけるのか(第85条第3項)

第85条第2項の応急仮設建築物を、その工事を完了した後3か月を超えて存続させようとする場合は、特定行政庁の許可が必要です(法第85条第3項)。

特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認める場合に、期間を定めて許可されます。

仮設興行場・仮設店舗などはどう扱われるのか(第85条第5項・第6項)

仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗その他これらに類する仮設建築物は、特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて許可したものについて、原則1年以内の期間を定めて一部の規定が緩和されます(法第85条第5項)。

国際的な規模の競技会・博覧会等の用途で1年を超えて使用するものは、別の枠組みで許可されます(法第85条第6項)。

この仮設興行場等は、第2項の応急仮設・工事現場の仮設と違い、あらかじめ特定行政庁の許可を受ける点が異なります。

なぜ仮設建築物は規定が緩和されるのか

仮設建築物は使用する期間が限られ、短期間で取り壊されることが明確です。

そのため、恒久的な建築物と同じ防火・集団規定・確認手続をすべて求めるのは過大になります。

一方で、使用している間に倒れれば人身被害につながる構造耐力(法第20条)や、市街地での延焼に関わる防火地域内の屋根(法第62条)は、仮設であっても外していません。

試験で問われやすいポイント

  • 応急仮設建築物・工事現場の仮設建築物(法第85条第2項)は、確認申請(法第6条)や第3章の集団規定が適用されない。一方で法第20条(構造耐力)は適用除外の一覧に含まれない点を取り違えない。
  • 防火地域・準防火地域内で延べ面積50㎡を超える仮設建築物には、法第62条(防火地域等の屋根)が適用されるという例外がある。
  • 第2項の応急仮設建築物を工事完了後3か月を超えて存続させる場合(法第85条第3項)と、仮設興行場・仮設店舗等(法第85条第5項・第6項)は、いずれも特定行政庁の許可を要する。

一問一答

Q. 工事を施工するために現場に設ける仮設事務所には、法第20条(構造耐力)は適用されるか。

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A. 適用される。法第85条第2項で確認申請(法第6条)など多くの規定は適用されないが、法第20条は適用除外の一覧に含まれていないため、構造耐力上安全なものとしなければならない。

Q. 防火地域内に建てる延べ面積60㎡の工事現場の仮設事務所に、適用される防火関係の規定はあるか。

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A. ある。防火地域・準防火地域内で延べ面積50㎡を超えるものについては、法第85条第2項ただし書により法第62条(防火地域等の屋根)が適用される。

Q. 工事現場の応急仮設建築物を、工事完了後も引き続き存続させたい。許可が必要になるのはどの時点からか。

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A. 工事を完了した後3か月を超えて存続させようとする場合に、特定行政庁の許可が必要となる(法第85条第3項)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。仮設建築物の許可基準は特定行政庁ごとに取扱要領が定められている場合があります。

参照

  • 建築基準法 第85条(仮設建築物に対する制限の緩和)
  • 建築基準法 第20条(構造耐力)
  • 建築基準法 第62条(防火地域及び準防火地域内の建築物の屋根)
  • 建築基準法施行令 第147条(仮設建築物に対する制限の緩和)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。