制振構造とは?受動型・能動型ダンパーの種類と法的根拠(令第81条第1項)

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ルート君

制振構造って、免震構造とどう違うの?

制振構造は、令第81条第1項の大臣認定ルートに位置付けられ、受動型・能動型のダンパーで振動エネルギーを吸収します。

制振構造は、建物内にダンパー(制振部材)を組み込むことで地震エネルギーを吸収し、建物の応答(変形・加速度)を低減する構造形式です。

免震構造が地盤から建物を「切り離す」のに対して、制振構造は建物に「エネルギー吸収機構」を追加する方法です。

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制振構造はどんな法的根拠で設計するのか

区分 内容 根拠
制振ダンパーを追加した通常の耐震構造 ルート2・ルート3の通常計算に制振効果を考慮 令第81条第2項・技術的助言
制振構造として大臣認定を受ける場合 時刻歴応答解析等により制振効果を定量的に確認 令第81条第1項(大臣認定ルート)

制振部材にはどんな種類があるのか

種別 種類 エネルギー吸収の仕組み
受動型(パッシブ) オイルダンパー・粘弾性ダンパー・鋼材ダンパー・摩擦ダンパー 外部エネルギー不要。変形・速度に応じてエネルギーを吸収する。
能動型(アクティブ) AMDシステム(アクティブ・マス・ダンパー) 外部エネルギー(電力等)を用いてアクチュエータが制御力を発生させる。
ハイブリッド型 HMDシステム(ハイブリッド・マス・ダンパー) 受動型と能動型を組み合わせた方式。

法的な枠組みと部材の種別を、あわせて整理します。

制振構造は、どの枠組みで設計するかで根拠が変わる 制振ダンパーを追加した通常の耐震構造 ルート2・ルート3の通常計算に 制振効果を考慮する 令第81条第2項・技術的助言 制振構造として大臣認定を受ける場合 時刻歴応答解析等により 制振効果を定量的に確認する 令第81条第1項(大臣認定ルート) 制振部材の種別 受動型(パッシブ) オイル・粘弾性・鋼材・ 摩擦ダンパー 停電時も機能する 能動型(アクティブ) AMDシステム 外部エネルギーで制御力を発生 停電時は機能しない ハイブリッド型 HMDシステム 受動型と能動型を 組み合わせた方式 ※ ダンパーが機能しない場合でも、主体構造のみで基本的な耐震性能を確保するフェールセーフ設計が必要
図:制振構造の2つの法的枠組みと、制振部材の3種別。

制振構造と耐震構造はどこが違うのか

耐震構造は「強度と剛性で地震力に抵抗する」設計思想で、部材が塑性変形しながらエネルギーを吸収します。

制振構造は「ダンパーがエネルギーを吸収し、主体構造の損傷を抑える」設計思想です。

主体構造(柱・梁)は弾性範囲内に留め、ダンパーが繰り返し使用可能な設計とすることが多いです。

制振ダンパーの設計ではなぜフェールセーフが必要なのか

制振ダンパーを設ける場合は、大地震後のダンパーの交換・点検が可能な設計とすることが重要です。

ダンパーが機能しない場合(電源喪失・故障等)でも一定の耐震性を確保できるよう、主体構造のみでも基本的な耐震性能を有する計画が必要です。

なぜ受動型ダンパーは停電時でも機能するのか

受動型(パッシブ)ダンパーは、建物の変形や速度に応じて自動的に抵抗力を発生させる仕組みであり、外部エネルギー(電力)を必要としません。

オイルダンパーは速度に比例した粘性抵抗、鋼材ダンパーは塑性変形によるエネルギー吸収、摩擦ダンパーは接触面の摩擦力を利用します。

これらは物理法則に従って自律的に機能するため、停電時でも設計通りに作動します。

一方、能動型(アクティブ)ダンパーはセンサー・制御装置・アクチュエータが連動する電子システムであり、停電や制御系の故障で機能を失うため、フェールセーフ設計が不可欠です。

試験で問われやすいポイント

  • 制振構造の法的位置づけは2種類ある:①通常の耐震設計(ルート2・3)に制振効果を考慮する場合(令第81条第2項)と②大臣認定ルート(令第81条第1項)として認定を受ける場合(時刻歴応答解析等が必要)。
  • 能動型ダンパー(AMD・アクティブ制御)は外部エネルギー(電力)が必要で停電時は機能しない。受動型(パッシブ)ダンパーは変形・速度に応じて自動的に機能するため停電時も有効。
  • 制振ダンパーが機能しない場合(停電・故障・大地震による損傷)でも主体構造のみで基本的な耐震性能を確保できるフェールセーフ設計が必要。ダンパーに全耐震性能を依存してはならない。

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一問一答

Q. 制振構造と耐震構造の主体構造への要求の違いは?

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A. 耐震構造は主体構造(柱・梁)自体が塑性変形でエネルギーを吸収するため損傷が生じる。制振構造はダンパーがエネルギーを吸収し主体構造を弾性範囲に留めることを目標とするが、主体構造も一定の耐震性が必要(ダンパー故障時のフェールセーフ)。

Q. 受動型(パッシブ)ダンパーと能動型(アクティブ)ダンパーで停電時に機能しないのはどちらか?

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A. 能動型(アクティブ)ダンパー。電力を使ってアクチュエータを制御するため停電時は機能しない。受動型は外部エネルギー不要のため停電時でも変形・速度に応じて自動的に機能する。

Q. 制振構造で大臣認定ルート(令第81条第1項)を適用する場合と通常の耐震設計に制振効果を含める場合(令第81条第2項)の違いは?

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A. 大臣認定ルートでは時刻歴応答解析等で制振効果を定量的に確認し、主体構造への地震力低減を設計に反映できる(適合性判定不要)。令第81条第2項のルート2・3では制振効果を保守的に扱うか、ルート3内で限定的に考慮する形となる。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法 第20条第1項第一号(大臣認定に基づく構造安全性)
  • 建築基準法施行令 第81条第1項(大臣認定に基づく構造計算)
  • 国土交通省技術的助言(制振構造の計算方法に関するもの)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。