告示第474号とは?特定畜舎等建築物の構造の特例と積雪・風の低減(令第80条の2)

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ルート君

牛舎や堆肥舎って、ふつうの建物と同じ荷重で設計するの?中に人がずっといるわけでもないよね。

畜舎又は堆肥舎に供する特定畜舎等建築物は、平成14年国土交通省告示第474号により、一般の建築物より積雪荷重や風圧力を低減して構造計算できます。

人が常時いる建物ではないことなどをふまえ、範囲を限ったうえで荷重の見込みを軽くするしくみです。

特定畜舎等建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件(平成14年5月29日 国土交通省告示第474号)第一(適用の範囲)

「特定畜舎等建築物の構造方法は、建築基準法施行令…に定めるところによるほか、次に定めるところによらなければならない。この場合において、木造の建築物について第三第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合には、令第43条第1項及び第46条の規定によらないことができる。」

告示第474号がどこから委任されているかを整理すると、次の階層になります。法第20条(構造耐力の基本原則)が施行令第80条の2に、さらに施行令が告示第474号に、特定畜舎等建築物の構造方法を順に委任する形です。

制定機関 根拠の階層(上ほど上位) 国会 建築基準法 第20条 建築物の構造耐力(安全性の基本原則) 委任 内閣 建築基準法施行令 第80条の2 特定畜舎等建築物の構造方法を大臣に委任 委任 国土交通 大臣 平成14年国土交通省告示 第474号 特定畜舎等建築物の範囲と、積雪・風圧力を 低減できる構造計算の技術的基準を規定 ← この記事で解説する告示
図:告示第474号の位置づけ(法第20条→施行令第80条の2→告示第474号の委任関係)。

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特定畜舎等建築物とは何か

告示第474号は、令第80条の2第1号に基づき、畜舎又は堆肥舎の用途に供する建築物のうち、次の範囲に収まるものを特定畜舎等建築物としています。

適用の範囲(第一)
木造・補強コンクリートブロック造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造、又はこれらのうち2以上を併用する建築物
階数が1であること
高さが13m以下で、かつ、軒の高さが9m以下
架構を構成する柱の相互の間隔が15m以下
都市計画法第7条第1項の市街化区域以外の区域に建設し、かつ居室を設けないこと

階数1・平屋で、市街化区域の外に建て、居室を設けないことが前提です。

この範囲に入ることで、荷重の低減や仕様規定の一部の免除が使えるようになります。

この告示は何を定めているのか

告示は3つの部分に分かれています。

根拠 内容
第一 令第80条の2第1号 特定畜舎等建築物の構造方法(適用の範囲・荷重の特例)
第二 令第38条第4項 基礎について定める構造計算
第三 令第81条第3項 令第82条各号・第82条の4と同等以上に安全性を確かめることができる構造計算

第三は、通常の許容応力度計算等に代えて、この告示の方法でも同等以上に安全性を確かめられると認めるものです。

荷重の側で低減を認める代わりに、計算そのものは許容応力度で確かめる組み立てになっています。

積雪荷重はどう低減できるのか

特定畜舎等建築物では、長期に生ずる力(積雪時)の荷重の組合せを、一般の建築物と変えられます。

状態 一般の場合 多雪区域
長期(常時) G+P G+P
長期(積雪時) G+P+0.7S G+P+S
短期(積雪時) G+P+S G+P+S

一般区域の長期の積雪時に0.7Sという係数が入るのが特徴です。

加えて、堆肥舎で屋根勾配が11度以上ある場合は、屋根の積雪荷重を1㎡につき600Nまで減らして計算できます。

荷重を減らして計算したときは、その出入口その他の見やすい場所に、軽減の実況その他必要な事項を表示しなければなりません。

低減を使った建物であることを、後から分かるようにしておく必要があります。

風圧力はどう低減できるのか

風圧力は令第87条によりますが、基準風速V0に畜舎の種類に応じた数値を乗じて減らせます。

特定畜舎等建築物の種類 V0に乗じる数値(以上)
堆肥舎 0.85
飼養施設(豚舎・鶏舎等) 0.90
搾乳施設等 0.95

V0は平成12年建設省告示第1454号第二の数値に、この数値以上を乗じて得た値とできます。

また、Eを算出する際のZbを3mとできる緩和もあります。

風圧力を減らして計算した場合も、積雪と同じく見やすい場所への表示が求められます。

木造で外せる仕様規定はどれか

木造の特定畜舎等建築物で、第三第1項第1号から第3号までの構造計算により構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、次の規定によらないことができます。

外せる規定 内容
令第43条第1項 柱の小径(横架材間の垂直距離に対する割合)
令第46条 木造の軸組(壁量)の規定

柱の間隔を15mまで飛ばせる大きな架構になり得るため、壁量や柱の小径を仕様で縛るより、構造計算で安全を確かめる形が用意されています。

逆に言えば、この2つを外すには構造計算による確認が前提になります。

畜舎特例法(令和4年)とはどう違うのか

畜舎については、告示第474号(建築基準法の中の特例)とは別に、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律(令和3年法律第34号・令和4年4月1日施行)という新しい制度があります。

枠組み 位置づけ
告示第474号 建築基準法の中の特例。特定畜舎等建築物として、建築基準法に基づき荷重を低減して設計する
畜舎特例法(畜舎建築特例法) 都道府県知事の認定を受けた畜舎建築利用計画に基づく畜舎等について、建築基準法の適用を除外し、主務省令の技術基準による

告示第474号は建築基準法の枠内で荷重を軽くする話、畜舎特例法は建築基準法の外に出て別の技術基準による話、という違いがあります。

どちらを使うかで、根拠となる基準も手続も変わります。

試験・実務で押さえるポイント

  • 特定畜舎等建築物=畜舎又は堆肥舎で、階数1・高さ13m以下・軒高9m以下・柱間隔15m以下・市街化区域外・居室なし(告示第474号 第一・令第80条の2第1号)。
  • 長期の積雪時の荷重は一般区域でG+P+0.7S。堆肥舎で屋根勾配11度以上なら屋根の積雪荷重を600N/㎡まで低減可。
  • 風圧力はV0に堆肥舎0.85・飼養施設0.90・搾乳施設等0.95以上を乗じて低減可。Zb3mの緩和もある。
  • 荷重を低減して計算した場合は、見やすい場所への表示が必要。
  • 木造は構造計算で安全を確かめれば令第43条第1項(柱の小径)・第46条(壁量)によらないことができる
  • 建築基準法の中の告示第474号と、建築基準法の適用を除外する畜舎特例法(令和4年)は別の制度。

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一問一答

Q. 特定畜舎等建築物として告示第474号を使える範囲は。

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A. 畜舎又は堆肥舎で、木造・補強CB造・鉄骨造・RC造(又は2以上の併用)、階数1、高さ13m以下かつ軒高9m以下、柱の相互の間隔15m以下、市街化区域以外に建設し居室を設けないもの(第一)。

Q. 積雪荷重の低減はどのくらいか。

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A. 一般区域の長期(積雪時)でG+P+0.7Sとできる。堆肥舎で屋根勾配11度以上なら屋根の積雪荷重を1㎡につき600Nまで減らせる。低減時は見やすい場所への表示が必要。

Q. 木造で外せる仕様規定は何か。

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A. 第三第1項第1号から第3号の構造計算で安全を確かめた場合、令第43条第1項(柱の小径)及び令第46条(壁量)によらないことができる。

Q. 告示第474号と畜舎特例法はどう違うか。

答えを見る

A. 告示第474号は建築基準法の中で荷重を低減して設計する特例。畜舎特例法(令和3年法律第34号・令和4年施行)は、都道府県知事の認定を受けた計画に基づき建築基準法の適用を除外し、主務省令の技術基準による制度で、別の枠組み。

荷重の低減の背景にある風圧力は風圧力(令第87条)、木造の壁量は木造の必要壁量で扱っています。ほかの告示は告示の一覧技術的助言・告示の記事一覧から探せます。

最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。告示第474号は平成19年5月18日国土交通省告示第611号による改正版を参照しています。荷重の低減の適用可否や表示の要件は、個別の建築物の条件により異なります。

参照

  • 特定畜舎等建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件(平成14年5月29日 国土交通省告示第474号・改正 平成19年5月18日国土交通省告示第611号)第一〜第三
  • 建築基準法施行令 第80条の2第1号・第38条第4項・第81条第3項・第43条第1項・第46条・第86条・第87条
  • 平成12年建設省告示第1454号(基準風速V0)
  • 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律(令和3年法律第34号)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。