許容応力度計算とは?長期・短期の区分と1.5倍の根拠(令第82条)

ルート君

許容応力度計算って、何を確かめる計算なの?

許容応力度計算は、部材に生じる応力度が許容値以下であることを確認する計算方法です。

許容応力度設計とは、部材に発生する応力が、材料の許容応力度を超えないことを確認する設計手法です。

令第82条第三号に「各部材の断面に生じる長期・短期の各応力度が、それぞれ令第3章第8節に規定する許容応力度を超えないことを確認する」と規定されています。

荷重の組み合わせ(令第82条第一号)ごとに応力を算定し、長期または短期の許容応力度以下であることを確認します。

長期と短期ではどんな荷重の組み合わせを使うのか(令第82条)

荷重状態 荷重の組み合わせ 許容応力度
長期 固定荷重+積載荷重(+積雪荷重の一部) 長期許容応力度
短期(地震時) 長期荷重+地震力 短期許容応力度(長期の1.5倍
短期(風圧時) 長期荷重+風圧力 短期許容応力度(長期の1.5倍
短期(積雪時) 長期荷重+積雪荷重(多雪地域) 短期許容応力度(長期の1.5倍

長期と短期で許容応力度はどう違うのか

短期許容応力度は、原則として長期許容応力度の1.5倍です(令第89条〜令第99条)。

これは、短期荷重(地震力・風圧力・積雪荷重)は発生確率が低く、継続時間も短いため、材料に対する負担が小さいという根拠に基づきます。

材料 長期許容応力度の基準 短期許容応力度
鋼材(一般構造用) Fy / 1.5(Fy:降伏点) Fy(≦ Fy × 1.0)
コンクリート(圧縮) Fc / 3(Fc:設計基準強度) 長期の1.5倍
鉄筋(引張)SD295A 195 N/mm² 295 N/mm²

許容応力度計算はどんな手順で進めるのか

  1. 荷重・外力の算定(令第83条〜令第88条)
  2. 長期・短期の各荷重組み合わせによる部材応力の算定
  3. 算定した応力度(N/mm²)と許容応力度(N/mm²)を比較する
  4. 全ての部材・全ての荷重組み合わせで応力度≦許容応力度であることを確認する

なぜ許容応力度は降伏点より低く設定されているのか

長期許容応力度は通常の使用状態での安全を確保するため、降伏点の2/3程度(鋼材の場合Fy/1.5)に設定されています。

短期許容応力度は降伏点相当の値であり、この段階では材料が弾性範囲内に収まることが前提です。保有水平耐力計算(ルート3)では、降伏後の変形能力も考慮します。

試験で問われやすいポイント

  • 短期許容応力度 = 長期許容応力度の1.5倍(令第89条等):地震力・風圧力・積雪荷重(短期荷重)に対する検討では短期許容応力度で確認する。短期許容応力度は長期の1.5倍(原則)。この関係は鋼材・鉄筋・コンクリート全てに共通。
  • 鋼材の長期・短期許容応力度(令第90条):長期引張=Fy/1.5、短期引張=Fy(降伏点相当)。長期は降伏点の2/3程度(安全率1.5)。令和6年 学科3 問13:溶接(突合せ)の短期せん断許容応力度=基準強度/√3(長期は1/1.5√3)。
  • コンクリートの長期圧縮許容応力度(令第91条):Fc/3。Fc=21N/mm²→長期=7N/mm²、Fc=24→8N/mm²。短期は長期×1.5
  • SD295A鉄筋(令第90条等):長期引張=195N/mm²、短期=295N/mm²SD345は長期215N/mm²・短期345N/mm²

一問一答

Q. 短期許容応力度が長期許容応力度の1.5倍とされている根拠は何か。

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短期荷重(地震力・風圧力等)は発生確率が低く継続時間も短いため、材料への累積損傷が小さい。そのため長期荷重時より大きな応力を許容できる(長期の1.5倍)(令第89条〜第99条)。

Q. Fc = 27 N/mm²のコンクリートの長期許容圧縮応力度はいくつか。また短期は?

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長期 = Fc/3 = 27/3 = 9 N/mm²、短期 = 長期×1.5 = 13.5 N/mm²(令第91条)。

Q. SD345鉄筋の長期許容引張応力度と短期許容引張応力度はそれぞれいくつか。

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長期 = 215 N/mm²、短期 = 345 N/mm²(令第90条等)。長期はSD295Aの195N/mm²より大きく、短期はSD295Aの295N/mm²より大きい。等級番号(345)= 基準強度 = 短期許容引張応力度(降伏点相当)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第82条(許容応力度計算)
  • 建築基準法施行令 第89条〜第99条(各材料の許容応力度)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。