木造の必要壁量とは?床面積比例・見付面積比例の計算と4分割法(令第46条)

ルート君

木造の壁量計算って、どうやってやるの?

木造の必要壁量は令第46条に基づき、床面積に比例する地震用と見付面積に比例する風圧用の2種類で計算します。

木造軸組構法の耐震設計は、令第46条の「壁量計算」が基本となります。

必要壁量を確保するとともに、4分割法による壁のバランス確認(偏心の確認)も求められます。

必要壁量はどうやって算定するのか(令第46条)

木造の耐力壁の必要量は、床面積に比例する方法と地震力に比例する方法の2通りで算定し、大きい方を採用します。

算定方法 算定式 地域係数
床面積比例(地震力) 必要壁量 = A × Z × 係数(cm/m²) Z(地震地域係数)0.71.0
見付面積比例(風圧力) 必要壁量 = 見付面積 × 風圧係数(cm/m²) 地域・風速による係数

床面積あたりの必要壁量はどれくらいか(改正前参考値)

R7.4.1改正(2025年4月施行)

2025年4月施行の改正により、令第46条の壁量算定方式が全面改正されました。

「軽い屋根・重い屋根」の区分が廃止され、建物重量から直接算出する新方式になりました。

下表は改正前の参考値です。

現行の算定方法は令第46条の最新規定を確認してください。

階・屋根種別(改正前) 必要壁量(Z=1.0の場合・参考)
1階(重い屋根・2階建) 33 cm/m²
1階(軽い屋根・2階建) 29 cm/m²
2階(重い屋根) 21 cm/m²
2階(軽い屋根) 15 cm/m²
平屋(重い屋根) 15 cm/m²
平屋(軽い屋根) 11 cm/m²

壁倍率による有効壁量はどうやって計算するのか

耐力壁の有効壁量(cm)は「耐力壁の長さ(cm)× 壁倍率」で算定します。

壁倍率は部材の種類・断面・接合方法により規定されています(令第46条第4項・告示第1100号)。

複数の耐力壁を重ね合わせる場合は、壁倍率の合計が7以下(R7.4.1改正後。改正前は5以下)であることが必要です。

4分割法で壁配置のバランスをどう確認するのか

令第46条では壁量だけでなく、壁の配置バランスも確認する必要があります。

建物の平面を各方向(X・Y)について4分割し、両端の各1/4領域(側端部分)の壁量充足率(=存在壁量÷必要壁量)を算定します。両側端部の壁率比(充足率の小さい方÷大きい方)が0.5以上であること、または両側端部の充足率がともに1.0以上であることを確認します(平成12年建設省告示第1352号)。

壁量計算の限界とはどこにあるのか

令第46条の壁量計算は比較的簡易な方法であり、大規模・複雑な平面形状の木造建築物では実際の耐震性能を正確に評価できない場合があります。

住宅品質確保促進法(品確法)に基づく「耐震等級」の評価は、より詳細な計算(精算法)で行われます。

住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度での耐震等級と壁量基準の関係については、国土交通省の資料(下図)でも整理されています。

国土交通省 木造壁量基準見直し補足資料(令和6年7月) 住宅性能表示制度・長期優良住宅認定制度の壁量基準見直し
出所:国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準に関する補足資料」(令和6年7月8日)p.12 住宅性能表示制度・長期優良住宅認定制度に関する壁量基準の見直し。

なぜ地震用と風圧用の2種類で壁量を計算するのか

地震力は建物の質量(床面積に比例)に応じて作用しますが、風圧力は建物の受風面積(見付面積)に比例して作用します。

地震力が大きくなる建物(重い・広い)と風圧力が大きくなる建物(背が高い・壁面積が大きい)は必ずしも一致しないため、どちらの荷重が支配的になるかを両方計算して確認する必要があります。

大きい方を採用することで、地震と風のどちらに対しても必要な壁量が確保されます。

2025年改正でなぜ「重い屋根・軽い屋根」の区分が廃止されたのか

改正前の壁量算定は「重い屋根(瓦葺き)・軽い屋根(金属板葺き等)」による係数の違いで必要壁量を決めていましたが、実際の建物では屋根だけでなく外壁・内装・設備の重量も変動します。

「屋根材の種別だけで建物全体の重量を区分する」という簡略化が実態と乖離していたため、R7.4.1改正では建物の仕様の実況に応じた重量で算定する方式に全面改正されました。

より実態に即した壁量設計ができるようになっています。

試験で問われやすいポイント

  • 令第46条の壁量算定は①地震力(床面積×係数・方向差なし)と②風圧力(見付面積×係数・方向差あり)の2方法で算定し、大きい方を採用する。Z(地震地域係数)は地震力のみに乗じる。
  • 4分割法(平成12年告示第1352号):X・Y各方向について建物平面を4分割し、両側端部(各1/4領域)の壁率比(充足率の小さい方÷大きい方)が0.5以上、または両側端部の充足率がともに1.0以上であることを確認する。壁量の総量だけでなくバランスも問われる。
  • R7.4.1改正(2025年4月施行):「重い屋根・軽い屋根」の区分が廃止され、建物重量から直接算出する新方式に全面改正。出題年度が改正後の場合は旧方式の数値(33cm/m²・29cm/m²等)は適用されない点に注意。

一問一答

Q. 木造2階建てで東西方向の見付面積が南北方向より大きい場合、どちらの方向の必要壁量が大きいか?(風圧力の場合)

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A. 東西方向の必要壁量が大きくなる。風圧力用必要壁量は「見付面積×係数」で算定するため、見付面積が大きい方向ほど必要壁量が多い。地震力用壁量(床面積比例)は方向差なし。

Q. 4分割法で一方の側端部の充足率が他方の側端部の0.4倍しかない場合、基準を満たすか?

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A. 満たさない。平成12年告示第1352号では壁率比(小さい方の充足率÷大きい方の充足率)が0.5以上必要(または両側端部の充足率がともに1.0以上)。0.4は0.5を下回るため、充足率の小さい側端部に耐力壁を追加して配置バランスを改善する必要がある。

Q. R7.4.1改正(令第46条)で廃止された壁量算定の区分は何か?

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A. 「重い屋根・軽い屋根」の区分(瓦葺き・金属板葺き等による係数の使い分け)が廃止された。改正後は建物重量を直接積算して必要壁量を算出する方式となり、屋根材による係数の区別がなくなった。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第46条(木造の耐力壁・必要壁量)
  • 昭和56年建設省告示第1100号(壁倍率の数値)
  • 平成12年建設省告示第1352号(4分割法・壁配置バランスの確認)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。