木造の必要壁量計算(令第46条)R7.4.1改正後の新方式と旧方式の違い

ルート君

2025年に壁量計算が変わったって聞いたけど、何が変わったの?

令第46条のR7.4.1改正(2025年4月施行)により、「重い屋根・軽い屋根」の区分による係数方式が廃止されました。改正後は建物の重量を直接積算して必要壁量を算出する方式になりました。

この記事は令第46条の必要壁量計算(基本解説)の改正詳細版として、旧方式と新方式の違いを条文の構造から説明します。

建築基準法施行令 第46条(木造の構造耐力上必要な軸組等)抜粋

構造耐力上必要な軸組を、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ釣合い良く配置しなければならない。各軸組の長さに壁倍率を乗じた数値の合計(存在壁量)は、床面積・見付面積等に応じて定める必要壁量以上としなければならない。(趣旨要約)

(R7.4.1改正により)地震力による必要壁量の算定は、建物の重量を積算した数値に基づく方式が適用される。

旧方式と新方式は何が根本的に違うのか

令第46条の必要壁量は「地震力による壁量」と「風圧力による壁量」の2種類を計算し、大きい方を採用します。

R7.4.1改正が影響するのは、このうち地震力による壁量の算定方式です。

風圧力用の壁量(見付面積×係数)は改正前後で基本的な枠組みは変わりません。

項目 旧方式(改正前) 新方式(改正後・R7.4.1施行)
壁量算定の基本 床面積 × 係数(cm/m²) 建物重量を積算し係数を適用
係数の決まり方 屋根種別(重い・軽い)と階数の組み合わせで選択 屋根・床・外壁・内装・設備等の重量を実際に積算して算定
屋根材による区分 あり(瓦葺き=重い、金属板葺き等=軽い) 廃止(屋根材の種別による区分なし)
外壁重量の扱い 係数に一律反映(実態と乖離の原因) 外壁重量を実際に積算して計上
根拠条文 令第46条第4項(改正前) 令第46条(R7.4.1改正後)の最新規定

旧方式の係数はどのような数値だったのか(改正前の参考値)

改正前の参考値

以下の係数はR7.4.1改正前(2025年3月以前)の旧規定に基づく参考値です。

2025年4月以降の設計および2026年度以降の建築士試験には適用されません。

階・屋根種別(改正前) 必要壁量係数(Z=1.0の場合)
1階(重い屋根・2階建) 33 cm/m²
1階(軽い屋根・2階建) 29 cm/m²
2階(重い屋根) 21 cm/m²
2階(軽い屋根) 15 cm/m²
平屋(重い屋根) 15 cm/m²
平屋(軽い屋根) 11 cm/m²

旧方式では「屋根が瓦葺き(重い)か金属板葺き等(軽い)か」を判定するだけで係数が確定するシンプルな方法でした。

一方、外壁・内装・設備等の重量差は係数の区分に反映されていませんでした。

なぜ改正されたのか

旧方式の問題点は「屋根材の種別だけで建物全体の重量を区分する」という簡略化にありました。

国土交通省が行った実態調査では、「軽い屋根(金属板葺き等)」に区分される建物であっても、重い外壁仕上げ(タイル張り・モルタル厚塗り等)や設備重量が大きい事例が多く確認されました。

このような建物では旧方式による必要壁量が実際の建物重量と比べて過小評価になる可能性があります。

屋根材の種別だけでは建物の実際の重量を適切に反映できないことが改正の直接の理由です。

改正後の方式では、屋根・床・外壁・内装・設備等の重量を実際に積算することで、個々の建物の実態に即した必要壁量が算定できるようになりました。

今回の改正の趣旨と全体概要は、国土交通省の補足資料(下図)でも示されています。

国土交通省 木造建築物の壁量基準見直し補足資料(令和6年7月) 改正の全体概要
出所:国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準に関する補足資料」(令和6年7月8日)p.3 木造建築物の仕様の実況に応じた壁量基準等の見直し(全体概要)。

改正後の計算はどう行うのか

改正後の具体的な必要壁量の算定手順は令第46条の現行規定および関連告示に定められています。

建物の各部位(屋根・各階床・外壁・内装・設備等)の単位面積あたりの重量を積算し、それを基に必要壁量を算出します。

算定に用いる具体的な係数・数式は令第46条の最新規定を参照してください。本記事では改正の趣旨と旧方式との対比を扱い、改正後係数の数値を断言することは控えます。

改正後の算定式(床面積あたりの必要壁量の計算式)と荷重Wiの算定イメージは、国土交通省の補足資料(下図)に示されています。

国土交通省 木造建築物の壁量基準見直し補足資料(令和6年7月) 仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法
出所:国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準に関する補足資料」(令和6年7月8日)p.4 仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法への見直し(算定式・荷重Wiの算定イメージ)。

改正前後で変わらない事項はどれか

R7.4.1改正は必要壁量の算定方式を変えましたが、令第46条の枠組み全体が変わったわけではありません。

以下の事項は改正後も引き続き適用されます。

  • 地震力用と風圧力用の2種類を計算し大きい方を採用するという基本構造
  • Z(地震地域係数)を地震力用壁量に乗じること(Z=0.7〜1.0)
  • 4分割法(平成12年建設省告示第1352号)による壁配置バランスの確認
  • 壁倍率の合計上限(7.0倍。これもR7.4.1改正で5.0倍から引き上げられた)
  • 有効壁量の算定方法(壁長(cm)× 壁倍率)

試験で問われやすいポイント

  • 2026年度試験(令和8年度)からR7.4.1改正後の方式が出題対象。「重い屋根=33cm/m²・軽い屋根=29cm/m²」等の旧数値は改正前の参考値であり、現行法の数値として断定しない。出題年度の適用法令を確認することが重要。
  • 改正の核心は「屋根材の種別による区分の廃止」。軽い屋根でも外壁が重ければ必要壁量は多くなるという方向性を押さえる。
  • 改正後も変わらない事項:①地震用と風圧用の2方法で算定し大きい方を採用、②Z係数は地震用壁量にのみ乗じる、③4分割法(平12告示1352号)による壁配置バランスの確認(両側端部の壁率比=小さい充足率÷大きい充足率≧0.5、または両側端部の充足率がともに1.0以上)。
  • 壁倍率の上限はR7.4.1改正で5.0倍→7.0倍に引き上げられた(令第46条)。壁量算定方式の改正と同時施行の改正として一体的に押さえる。

一問一答

Q. R7.4.1改正(令第46条)で廃止されたのはどのような仕組みか?

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A. 「重い屋根・軽い屋根」(瓦葺き・金属板葺き等)の区分による係数の使い分けが廃止された。改正前は屋根材の種類だけで必要壁量係数を決定していたが、改正後は建物の重量を直接積算して算出する方式になった。

Q. 旧方式で「1階(重い屋根・2階建・Z=1.0)」の必要壁量係数はいくつか?また、この数値は現在の設計に使えるか?

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A. 旧方式の係数は33 cm/m²(改正前参考値)。ただし、これはR7.4.1改正前(2025年3月以前)の旧規定に基づく数値であり、現行法の設計には適用できない。2025年4月以降は令第46条の改正後規定による建物重量積算方式が適用される。

Q. 改正後の壁量計算でも、地震力用と風圧力用の2種類を計算して大きい方を採用するという方針は変わらないか?

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A. 変わらない。R7.4.1改正は地震力用壁量の算定方式(係数の決め方)を変えたものであり、「地震用と風圧用を両方計算して大きい方を採用する」という令第46条の基本構造は改正後も維持されている。

Q. 旧方式で「軽い屋根」に区分される建物でも旧方式が過小評価になる場合があるのはなぜか?

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A. 旧方式は屋根材だけで建物重量を代理評価しており、外壁・内装・設備等の重量を個別に反映していないため。実態調査では「軽い屋根」でも重い外壁仕上げ(タイル・モルタル厚塗り等)を持つ建物が多く、そのような建物では旧方式の必要壁量が実際の建物重量に対して過小評価になる。これが改正の直接の理由。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第46条(木造の耐力壁・必要壁量)
  • 昭和56年建設省告示第1100号(壁倍率の数値)
  • 平成12年建設省告示第1352号(4分割法・壁配置バランスの確認)
  • 令和7年4月1日施行 建築基準法施行令改正(R7.4.1改正)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。