石場建て・伝統構法は建築確認が通らない?仕様規定の適用除外と限界耐力計算(令第42条・第36条・第82条の5)
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ルート君
石場建ての伝統構法って、建築確認が通らないって聞くけど本当なの?
石場建て・伝統構法は、通常の仕様規定に沿った確認申請では通りにくいことがあります。
柱を礎石に据える石場建ては、土台を基礎に緊結するといった令第3章第3節の仕様規定(令第42条など)に沿わないためです。
そこで、仕様規定の一部を適用除外できる限界耐力計算(令第82条の5)を用いて、実際の挙動から安全性を確かめて申請する方法がとられます。
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なぜ石場建て・伝統構法は仕様規定に適合しないのか
木造には、令第3章第3節(令第40条〜第49条)に、部材や接合の仕様を直接定めた規定があります。
代表的なものが次の2つです。
| 規定 | 求めている内容 |
|---|---|
| 令第42条(土台及び基礎) | 最下階の柱の下部に土台を設け、土台を基礎に緊結する(一定の場合を除く) |
| 令第45条・第46条(筋かい・壁量) | 筋かいや面材の耐力壁を一定量以上、釣り合いよく配置する |
石場建ては、基礎に緊結せず礎石の上に柱を据えるのが特徴で、地震時に柱脚が動くことを前提にした構法です。
土台を基礎に緊結する令第42条の考え方とは、そもそもの成り立ちが異なります。
また伝統構法は、筋かいや構造用合板ではなく、貫・差鴨居・土壁などの木組みで水平力に抵抗するため、令第46条の壁量による仕様規定にもそのままでは乗りません。
このため、仕様規定に沿って申請する通常のルートでは、石場建て・伝統構法はそのまま通らないことが多いのです。
仕様規定はどうすれば適用除外できるのか
仕様規定は、高度な構造計算を行う場合には一部を適用除外できます。
その線引きをするのが耐久性等関係規定(令第36条)です。
建築基準法施行令 第36条(耐久性等関係規定と適用除外)
令第36条第1項は、構造計算の有無にかかわらず必ず守るべき規定(耐久性等関係規定)を挙げている。限界耐力計算などの高度な構造計算を行う場合は、耐久性等関係規定以外の仕様規定は適用しなくてよいとされる。令第42条(土台・基礎の緊結)や令第46条(壁量)は耐久性等関係規定に含まれない仕様規定であり、適用除外の対象になる。
つまり、限界耐力計算(令第82条の5)を用いれば、令第42条や令第46条といった仕様規定に縛られず、伝統構法の実際の挙動をもとに安全性を確かめられます。
石場建てが法的に位置づけられるのは、この適用除外の仕組みによります。
ただし耐久性等関係規定(木材の防腐・防蟻や基礎の最低基準など)は、限界耐力計算でも必ず適用されます。
何でも自由になるわけではありません。
限界耐力計算では何を確かめるのか
限界耐力計算の一般的な内容は限界耐力計算とはで整理しています。
ここでは伝統構法に関わる点だけを挙げます。
- 稀に起きる地震で建物が損傷しない範囲(損傷限界)と、極めて稀な地震でも倒壊しない範囲(安全限界)を確かめる
- 伝統構法は大きく変形しながら地震のエネルギーを吸収する挙動を評価できる
- 石場建ての柱脚が動くことや、貫・土壁の復元力を、実況に応じて計算に反映する
柱脚の具体的な扱いや、足固め・地貫による柱脚まわりの補強の考え方は、地域の設計指針や個別の判断によるため、構造設計者・所管行政庁への確認が必要です。
確認申請で時間・費用がかかるのはなぜか
限界耐力計算は高度な構造計算にあたるため、多くの場合構造計算適合性判定(法第6条の3)の対象になります。
仕様規定ルートのように定型化されておらず、計算・図書の作成や審査に手間がかかることから、一般的な木造住宅より設計・確認に時間と費用がかかりやすいといわれます。
伝統構法の家づくりで「申請に時間がかかった」という声が多いのは、この構造計算と審査の負担によるものです。
なお、木造の構造審査が必要になる範囲は2025年(令和7年)の改正で見直されています(四号特例の縮小)。
適用の詳細は最新の条文・技術的助言で確認してください。
試験で問われやすいポイント
- 限界耐力計算などの高度な構造計算を行う場合、耐久性等関係規定(令第36条)以外の仕様規定は適用除外できる。
- 令第42条(土台・基礎の緊結)や令第46条(壁量)は耐久性等関係規定ではない仕様規定。石場建て・伝統構法はこれらを適用除外し、限界耐力計算(令第82条の5)で安全性を確かめて申請する。
- 限界耐力計算は高度な構造計算のため、構造計算適合性判定(法第6条の3)の対象になり、時間・費用がかかりやすい。
仕様規定と構造計算の関係は、建築士試験でもよく問われる分野です。学習の進め方は、建築士の通信講座の選び方もあわせてご覧ください。
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一問一答
Q. 石場建ての伝統構法は建築確認が通らないのか。
答えを見る
A. 通らないわけではない。石場建ては令第42条など令第3章第3節の仕様規定には沿わないが、これらは耐久性等関係規定ではないため、限界耐力計算(令第82条の5)で適用除外し、実際の挙動から安全性を確かめて申請できる。
Q. なぜ通常の壁量計算(仕様規定ルート)で申請できないのか。
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A. 石場建ては土台を基礎に緊結しない、筋かいでなく貫・土壁で抵抗するなど、令第3章第3節の仕様規定に沿わないため。仕様規定ルートは仕様への適合が前提になっている。
Q. 限界耐力計算にすると何が変わるのか。
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A. 耐久性等関係規定(令第36条)のみ適用され、令第42条・第46条などの仕様規定は適用除外になる。一方で高度な構造計算として構造計算適合性判定(法第6条の3)の対象になり、時間・費用がかかりやすい。
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限界耐力計算そのものは限界耐力計算とは?をご覧ください。
参照
- 建築基準法施行令 第42条(土台及び基礎)・第3章第3節(木造の仕様規定)
- 建築基準法施行令 第36条(耐久性等関係規定と適用除外の範囲)
- 建築基準法施行令 第82条の5(限界耐力計算)
- 建築基準法 第6条の3(構造計算適合性判定)