通し柱は必ず必要か?隅柱の通し柱と「接合補強で省略できる」ただし書き(令第43条第5項)
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ルート君
2階建ての木造で、隅の通し柱って必ずいるの?間取りの都合で外したいんだけど。
階数が2以上の木造建築物では、隅柱(これに準ずる柱を含む)は原則として通し柱にしなければなりません(令第43条第5項)。
ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力になるよう補強した場合は、通し柱にしなくてもよいとされています。
この「ただし書き」により、金物で補強した管柱で成立させる設計が広く行われています。
建築基準法施行令 第43条第5項(柱の小径・通し柱)
階数が二以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない。
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通し柱にしなければならないのはどの柱か(令第43条第5項・隅柱)
通し柱とは、1階から上階までを1本の柱で通したものをいいます。
各階ごとに分かれた管柱と対になる考え方です。
令第43条第5項が通し柱を求めているのは、次の柱です。
| 柱の位置 | 通し柱の扱い(令第43条第5項) |
|---|---|
| 階数2以上の建築物のすみ柱(建物の出隅・入隅の柱) | 原則として通し柱とする |
| すみ柱に準ずる柱(建物の折れ曲がり部など、すみ柱と同様に扱うべき柱) | 原則として通し柱とする |
| 上記以外の一般の柱 | 通し柱とする規定はない(管柱でよい) |
すみ柱は、地震や風の水平力に対して引き抜きや曲げが集中しやすい位置です。
建物の形が複雑になる(凹凸・L字・雁行など)ほど、すみ柱・入隅の柱が増える点に注意が必要です。
平屋(階数1)にはこの規定は及びません。
接合部を補強すれば通し柱にしなくてよいのか(ただし書きの意味)
令第43条第5項には「ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない」というただし書きがあります。
上下の管柱の接合部を、通し柱と同等以上の耐力になるように補強すれば、通し柱にしなくてよいという意味です。
実務では、上下階の管柱をホールダウン金物などの接合金物で連結し、引き抜きに対する耐力を通し柱と同等以上に確保する方法がとられます。
プレカットと接合金物を用いる金物工法では、この考え方で通し柱を設けない設計が一般的になっています。
ただし、「同等以上の耐力」を確保できているかは接合部の設計・金物の選定によります。
N値計算などで引き抜き力を確かめ、それに見合う接合部とすることが前提で、補強の可否は構造設計者の判断によります。
通し柱と管柱+金物、間取り・構造でどちらが有利か
「通し柱があるほうが丈夫」というイメージがありますが、間取りと構造の両面から見ると単純ではありません。
| 観点 | 通し柱 | 管柱+接合金物(ただし書き) |
|---|---|---|
| 間取りの自由度 | 1階と上階で柱の位置がそろう必要があり、上階の柱位置が下階に拘束される | 階ごとに柱位置を決めやすく、間取りの自由度が高い |
| 断面欠損 | 胴差・梁が差し込まれる仕口部分で断面が欠損し、すみ柱では弱点になり得るという指摘がある | 柱の中間に大きな仕口をつくらないため、欠損を抑えやすい |
| 成立の前提 | 1本で通せる材の長さ・搬入が必要 | 接合部を同等以上に補強する設計・金物が前提 |
通し柱は、梁や胴差が取り付く仕口の位置で断面が大きく欠損します。
すみ柱は応力が集中する位置のため、欠損した通し柱がかえって折れやすくなるという見方もあり、断面欠損の少ない管柱を金物で連結するほうが合理的とされる場面があります。
もっとも、どちらが有利かは建物の形・階数・接合部の設計によって変わり、一律には決まりません。
通し柱を設けないと決めた場合は、その接合部が通し柱と同等以上の耐力を持つことを設計で確かめておく必要があります。
なぜ隅柱を通し柱とする規定があるのか
すみ柱は、地震や風の水平力によって引き抜き・曲げが集中する位置です。
上下階を1本で通すことで、階の境目で柱が分断されず、建物の一体性・連続性を保ちやすくなるため、原則として通し柱とすることが求められてきました。
一方で、接合金物の性能が向上し、上下の管柱を通し柱と同等以上の耐力で連結できるようになったことから、ただし書きによって金物補強での代替が認められています。
原則(通し柱)と例外(同等以上の補強)の両方を、令第43条第5項が定めている形です。
試験・実務で問われやすいポイント
- 通し柱の対象:階数2以上の建築物の「すみ柱又はこれに準ずる柱」は原則として通し柱とする(令第43条第5項)。平屋(階数1)は対象外。一般の柱に通し柱の規定はない。
- ただし書き:接合部を通し柱と同等以上の耐力になるよう補強すれば、通し柱にしなくてよい。ホールダウン金物等で管柱を連結する金物工法が代表例。
- 構造上の注意:通し柱は仕口部分で断面が欠損し、応力の集中するすみ柱ではかえって弱点になり得る。「通し柱=常に有利」ではない。
- 令第43条の他の項:柱の小径(第1項〜)は2025年(令和7年)4月の改正で見直しがあった。第5項の通し柱の枠組みとは分けて、最新の条文・告示で確認する。
木造の仕様規定は、試験でも実務でも条文どうしの区別がポイントになります。効率よく学ぶ方法は、建築士講座の費用の比較で確認できます。
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一問一答
Q. 木造2階建てで通し柱としなければならないのはどの柱か(令第43条第5項)。
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階数が2以上の建築物における「すみ柱又はこれに準ずる柱」を原則として通し柱とする。すみ柱は建物の出隅・入隅の柱で、これに準ずる柱は折れ曲がり部などすみ柱と同様に扱うべき柱。平屋(階数1)や一般の柱には通し柱とする規定はない。
Q. 隅柱を通し柱にせず管柱とすることはできるか。
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できる場合がある。令第43条第5項のただし書きにより、接合部を通し柱と同等以上の耐力になるよう補強すれば通し柱にしなくてよい。実務ではホールダウン金物等で上下の管柱を連結し、N値計算などで引き抜き力に見合う接合とする。同等以上の耐力を確保できているかは接合部の設計・金物選定によるため、構造設計者の判断が前提となる。
Q. 通し柱は管柱より常に構造的に有利といえるか。
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常に有利とはいえない。通し柱は胴差・梁が差し込まれる仕口部分で断面が大きく欠損し、応力の集中するすみ柱ではかえって弱点になり得るという指摘がある。断面欠損の少ない管柱を接合金物で同等以上に連結するほうが合理的とされる場面もある。どちらが有利かは建物の形・階数・接合部の設計によって変わり、一律には決まらない。
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参照
- 建築基準法施行令 第43条第5項(すみ柱等の通し柱・接合部の補強によるただし書き)
- 建築基準法施行令 第43条(木造の柱の小径)
- 建築基準法施行令 第47条・平成12年建設省告示第1460号(木造の継手・仕口の接合方法/N値計算)