令第80条の2とは?特殊な構造方法と大臣告示の仕組み(構造方法に関する補則)
ルート君
大きい木造の建物って、特別な構造の決まりがあるの?
CLTパネル工法や枠組壁工法など、施行令第3章第3節〜第7節の通常規定では想定されていない特殊な構造方法については、令第80条の2に基づいて国土交通大臣が告示で技術的基準を定めています。この規定が「構造方法に関する補則」です。
建築基準法施行令 第80条の2(構造方法に関する補則)
法第38条第1項の規定による国土交通大臣が定める建築物の構造方法は、第3節から前節までの規定によるほか、国土交通大臣が定める技術的基準に従った構造方法によるものとしなければならない。
(令第3章第7節の2・令第80条の2)
令第80条の2はどんな規定なのか
施行令第3章(構造強度)には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・補強コンクリートブロック造などの各構造種別ごとに仕様規定が設けられています(第3節〜第7節)。
しかし、CLTパネル工法・枠組壁工法・木質系プレハブ工法・薄板軽量形鋼造・丸太組構法など、これらの通常規定には収まりきらない構造方法が存在します。令第80条の2は、こうした特殊な構造方法について国土交通大臣が告示で技術的基準を定めることを認める「補則規定」です。
令第80条の2に基づく告示が定められた構造方法を用いる建築物は、第3節〜第7節の通常仕様規定に代えて、その告示の基準に従うことで法令上の安全性を確保できます。
どんな構造方法が令第80条の2の対象になるのか
令第80条の2に基づいて、これまでに告示が制定されている主な構造方法は次のとおりです。
| 構造方法 | 根拠告示の例 |
|---|---|
| 枠組壁工法(ツーバイフォー) | 平成13年国土交通省告示第1540号 |
| CLTパネル工法(直交集成板) | 平成28年国土交通省告示第611号 |
| 丸太組構法 | 平成14年国土交通省告示第411号 |
| 薄板軽量形鋼造 | 平成13年国土交通省告示第1641号 |
| 木質接着パネル工法 | 令和7年国土交通省告示(R7.4.1整備) |
令和7年4月1日改正では、木造中大規模建築の促進策の一環として、木質接着パネル工法を用いた建築物の構造方法に関する告示が令第80条の2を根拠として新設されました。
枠組壁工法・木質接着パネル工法への改正内容については、国土交通省の制度説明資料(下図)で体系的に整理されています。
告示の役割
令第80条の2は「告示を定めることができる」という授権規定です。告示が制定されることで初めて当該構造方法の法的な技術基準が確定し、建築確認の審査でその基準への適合を確認することになります。告示が存在しない構造方法については、法第38条(特殊構造方法等の認定)による大臣認定を別途取得する必要があります。
法第21条と令第80条の2はどう関係するのか
法第21条は、大規模な木造建築物(地階を除く階数が4以上または高さ16m超のもの等)の主要構造部について防耐火上の性能を求める規定です。法第21条が防耐火(火災に対する安全性)の規定であるのに対し、令第80条の2は構造耐力(地震・風・積雪等に対する安全性)の規定であり、両者は規律する対象が異なります。
CLTパネル工法等の特殊な構造方法を用いた大規模木造建築物では、構造耐力面では令第80条の2に基づく告示の基準に従い、防耐火面では法第21条の要件(耐火構造・準耐火構造等)を別途満たす必要があります。両者は独立した規定として、それぞれの要件を重ねて確認することが求められます。
令第3章第7節の2の位置付けとは何か
令第80条の2および令第80条の3は、施行令第3章(構造強度)の末尾に置かれた「第7節の2 構造方法に関する補則」として規定されています。
第7節まで(木造・鉄骨造・RC造・組積造等)の構造種別ごとの仕様規定を補完・補則する位置付けであり、令の体系上は「一般規定の後に置かれた特例・補則の節」と理解できます。
| 節 | 内容 |
|---|---|
| 第2節(令第37条〜第39条) | 構造部材等(材料・基礎・屋根ふき材等) |
| 第3節(令第40条〜第50条) | 木造 |
| 第4節(令第51条〜第62条) | 組積造 |
| 第4節の2(令第62条の2〜第62条の8) | 補強コンクリートブロック造 |
| 第5節(令第63条〜第70条) | 鉄骨造 |
| 第6節(令第71条〜第79条) | 鉄筋コンクリート造 |
| 第6節の2(令第79条の2〜第79条の4) | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
| 第7節(令第80条) | 無筋コンクリート造 |
| 第7節の2(令第80条の2〜令第80条の3) | 構造方法に関する補則(特殊構造・土砂災害区域) |
なぜ令第80条の2という補則規定が必要なのか
建築技術は時代とともに進歩します。施行令の条文に逐一すべての構造方法を列挙するのではなく、大臣告示に委任することで、新しい構造方法が開発された際に迅速に法的基準を整備できる仕組みになっています。
CLT(直交集成板)を用いたパネル工法は、2016年(平成28年)に告示が整備されて以降、大規模木造建築への適用が広がりました。また、木造建築促進の政策目標のもとで令和7年改正においても木質接着パネル工法の告示が新設されるなど、令第80条の2の授権規定としての役割は今後も重要です。
試験で問われやすいポイント
- 令第80条の2は令第3章第7節の2「構造方法に関する補則」に置かれた規定。第3節〜第7節の通常規定では想定されない特殊な構造方法について、国土交通大臣が告示で技術的基準を定めることを認める授権規定である。
- CLTパネル工法・枠組壁工法・丸太組構法等は令第80条の2に基づく告示(各構造方法専用の告示)の基準に従う。施行令第4節(木造)の通常仕様規定(令第40条〜第50条)がそのまま適用されるわけではない。
- 法第21条(大規模木造の防耐火規制)と令第80条の2(構造耐力の補則)は規律する対象が異なる。法第21条は防火上の主要構造部性能、令第80条の2は構造耐力上の構造方法。大規模木造ではどちらの要件も別々に確認する。
- 令第80条の2に対応する告示が存在しない構造方法は、法第38条の大臣認定を個別に取得する必要がある。
一問一答
Q. 令第80条の2はどんな目的のために置かれている規定か。
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施行令第3章第3節〜第7節の通常仕様規定(木造・鉄骨造・RC造等)では対応できない特殊な構造方法(CLTパネル工法・枠組壁工法・丸太組構法等)について、国土交通大臣が告示で技術的基準を定めることを認める授権規定(補則規定)として置かれている(令第3章第7節の2・令第80条の2)。
Q. CLTパネル工法を用いた建築物の構造方法は、施行令第4節(木造・令第40条〜第50条)の規定に従えばよいか。
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従わない(従えばよいわけではない)。CLTパネル工法は令第4節の通常木造仕様規定の対象外であり、令第80条の2に基づき制定された専用の告示(平成28年国土交通省告示第611号等)の技術的基準に適合することで安全性を確認する。
Q. 法第21条と令第80条の2はどちらも「大規模木造の規制」か。
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異なる。法第21条は大規模な木造建築物(地階を除く階数4以上または高さ16m超等)の主要構造部について防火上の性能(耐火・準耐火構造等)を求める防耐火規定。令第80条の2は特殊な構造方法に対して大臣告示で構造耐力上の技術基準を定める構造耐力の補則規定。規律する対象が異なるため、大規模木造では両者の要件を独立して確認する必要がある。
Q. 令第80条の2に基づく告示が存在しない構造方法を用いる場合、何が必要か。
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法第38条に基づく国土交通大臣の個別認定(特殊構造方法等認定)を取得する必要がある。告示は一般的な技術基準を定めるものであり、告示がない段階での当該構造方法の採用には個別認定が求められる。
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参照
- 建築基準法 第21条(大規模の建築物の主要構造部等)
- 建築基準法 第38条(特殊の構造方法又は建築材料)
- 建築基準法施行令 第80条の2(構造方法に関する補則)
- 平成13年国土交通省告示第1540号(枠組壁工法の技術的基準)
- 平成28年国土交通省告示第611号(CLTパネル工法の技術的基準)
- 平成14年国土交通省告示第411号(丸太組構法の技術的基準)
- 令和6年政令第46号(建築基準法施行令の一部改正・R7.4.1施行)