燃えしろ設計とは?木材を現しで使う準耐火の構造設計(法第21条・告示第1358号)

ルート君

木の柱や梁を、燃えるのにそのまま見せて使えるのはなぜ?

燃えしろ設計とは、火災時に木材の表面が燃えて減る分(燃えしろ)をあらかじめ見込み、燃えしろを除いた残りの断面で構造計算を行って、一定時間倒壊しないことを確かめる設計法です。

これにより、太い木材(集成材など)を石こうボード等で覆わずに「現し(あらわし)」で使える、木造の準耐火構造の設計が可能になります。根拠は告示第1358号です。

燃えしろ設計とは何か

項目 内容
考え方 火災時に燃え減る「燃えしろ寸法」を断面から除き、残った断面で構造計算して一定時間(45分・1時間等)倒壊しないことを確かめる
根拠 準耐火構造の構造方法(平成12年建設省告示第1358号)。法第21条・第27条等の準耐火建築物で用いる
メリット 大断面の木材を被覆せず「現し」で使え、木材のあらわし意匠を生かせる

なぜ木材は燃えても倒れないのか

木材は燃えると、表面に「炭化層」ができます。炭化層は断熱性が高く、内部への燃焼の進行を遅らせます。そのため、太い木材は一定の速度(おおむね毎分1mm弱程度)でしか燃え進まず、中心部は健全な強度を保ちます。

燃えしろ設計は、この性質を利用します。火災で失われる表面部分(燃えしろ)を見込んで、それを除いた残存断面が、火災時の荷重を長期許容応力度の範囲で支えられるように、あらかじめ太い断面を設計しておくのです。

燃えしろ寸法はどれくらいか(告示第1358号)

燃えしろ寸法は、要求される準耐火の時間と木材の種類によって定められています。集成材・LVL(単板積層材)は製材より燃え進みにくいため、燃えしろ寸法が小さくなります。

準耐火の要求時間 構造用集成材・構造用LVL 製材
45分準耐火 35mm 45mm
1時間準耐火 45mm 60mm

平成12年建設省告示第1358号(準耐火構造の構造方法を定める件)

木造の柱・はり等を準耐火構造とする方法の一つとして、燃えしろ寸法を見込んだ設計(燃えしろ設計)が定められている。燃えしろを除いた残存断面について、長期に生ずる力に対する許容応力度を用いた検討により、火災時の倒壊を防ぐことを確かめる。

たとえば1時間準耐火を製材で確保する場合、各面から60mmずつ燃えしろを見込むため、断面はその分だけ大きく設計する必要があります。

燃えしろ設計で構造計算はどう行うのか

燃えしろ設計では、次の考え方で構造の安全を確かめます。

  • 各面から燃えしろ寸法を差し引いた「残存断面」を求める。
  • その残存断面が、火災時に建築物に生じる力(長期荷重が中心)を、長期許容応力度の範囲で支えられることを確認する。
  • これにより、要求された時間(45分・1時間等)は倒壊しないことが担保される。

つまり燃えしろ設計は、防火の規定でありながら、その確認は「残存断面での構造計算」という構造設計そのものです。木材の断面を大きくとることで、被覆なしに準耐火性能と意匠を両立させます。

大規模木造とどう関わるのか

大規模な木造建築物では、法第21条により主要構造部に一定の耐火・準耐火性能が求められます。燃えしろ設計は、こうした木造を準耐火構造で実現する代表的な手法です。

2025年4月(令和7年)の改正では木造の高さ制限などが見直され、木材を活かした中大規模木造の設計の幅が広がっています(R7.4.1改正まとめ)。令第80条の2の特殊な構造方法や大臣認定の耐火構造と並ぶ選択肢として、燃えしろ設計の重要性が増しています。

試験で問われやすいポイント

  • 燃えしろ設計=火災時に燃え減る「燃えしろ寸法」を除いた残存断面で構造計算し、一定時間倒壊しないことを確かめる準耐火の木造設計法(告示第1358号)。木材を現しで使える。
  • 燃えしろ寸法(告示第1358号):45分準耐火=集成材・LVL 35mm/製材 45mm、1時間準耐火=集成材・LVL 45mm/製材 60mm集成材・LVLは製材より小さい。
  • 原理:木材は燃えると炭化層ができて内部への燃焼が遅くなるため、太い断面なら中心部の強度が保たれる。
  • 残存断面の検討は長期許容応力度を用いる。大規模木造(法第21条)を準耐火で実現する代表的手法。

一問一答

Q. 燃えしろ設計とはどんな設計法か。

答えを見る

A. 火災時に木材表面が燃えて減る分(燃えしろ寸法)をあらかじめ見込み、燃えしろを除いた残存断面で構造計算して、要求時間(45分・1時間等)倒壊しないことを確かめる準耐火の木造設計法(告示第1358号)。太い木材を被覆せず現しで使える。

Q. 燃えしろ寸法は何で決まるか。集成材と製材ではどちらが小さいか。

答えを見る

A. 準耐火の要求時間と木材の種類で決まる。45分=集成材・LVL 35mm/製材 45mm、1時間=集成材・LVL 45mm/製材 60mm。集成材・LVLは製材より燃え進みにくく、燃えしろ寸法が小さい。

Q. なぜ木材は燃えても一定時間倒れないのか。

答えを見る

A. 木材は燃えると表面に炭化層ができ、これが断熱して内部への燃焼の進行を遅らせるため。太い断面では中心部が健全な強度を保つので、燃えしろを見込んだ残存断面で構造耐力を確保できる。

この記事のカテゴリの記事一覧は仕様規定にまとめています。

最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。燃えしろ寸法・準耐火の要求は告示の改正や建築物の種類・部位により異なる場合があるため、最新の告示でご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 平成12年建設省告示第1358号(準耐火構造の構造方法を定める件・燃えしろ設計)
  • 建築基準法 第21条(大規模の建築物の主要構造部等)・第27条(特殊建築物の耐火・準耐火)
  • 建築基準法施行令 第107条の2(準耐火性能に関する技術的基準)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。