防火壁・防火床の「自立する構造」とは?倒壊防止の構造要件(法第26条・令第113条)
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ルート君
防火壁って防火の話でしょ?構造とどう関係するの?
防火壁は火災の延焼を防ぐための壁ですが、令第113条は防火壁に「自立する構造」であることを求めています。
周囲の建築物の部分が火災で倒壊しても、防火壁だけは倒れずに立っていなければなりません。
この倒壊しない性能は、区画という防火の役割とは別に、構造耐力に関わる要件です。
防火壁がどんな建築物に必要で、構造としてどこまで求められるのかを順に見ていきます。
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防火壁・防火床はどんな建築物に必要か(法第26条)
延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火壁又は防火床によって床面積1,000㎡以内ごとに区画しなければなりません(法第26条)。
ただし、次のような建築物は除かれます。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 耐火建築物・準耐火建築物 | 防火壁・防火床による区画は不要 |
| 卸売市場の上家・機械製作工場等で主要構造部が不燃材料でつくられたもの等 | 不要 |
| 畜舎その他の農業用建築物で大臣が定める基準に適合するもの | 不要 |
防火床は、床で区画するための選択肢として法改正で加えられました。
防火壁が壁で区画するのに対し、防火床は上下階を床で区画します。
令第113条が求める「自立する構造」(第二号の自立性能)
建築基準法施行令 第113条第1項(防火壁及び防火床の構造)
一 耐火構造とすること。
二 通常の火災による当該防火壁又は防火床以外の建築物の部分の倒壊によつて当該防火壁又は防火床の倒壊が生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
三 防火壁にあつては、その両端及び上端を建築物の外壁面及び屋根面から50センチメートル以上突出させること。(緩和規定あり)
四 防火壁又は防火床に設ける開口部の幅及び高さは、それぞれ2.5メートル以下とし、これに特定防火設備で法第2条第九号の二ロに規定する構造であるものを設けること。
この中で構造に直結するのが第二号の自立性能です。
火災で防火壁の両側の建築物が倒壊しても、防火壁だけは倒れずに残ることが求められます。
これは、耐火構造の非損傷性(火熱で構造耐力上支障のある変形・破壊を生じない性能)と同じく、火災時に構造耐力を保つという考え方に立っています。
| 令第113条第1項の号 | 内容 | 性格 |
|---|---|---|
| 第一号 | 耐火構造とする | 防火・構造 |
| 第二号 | 周囲が倒壊しても倒れない自立する構造 | 構造 |
| 第三号 | 外壁面・屋根面から50cm以上突出 | 延焼防止・納まり |
| 第四号 | 開口部は幅・高さ2.5m以下+特定防火設備 | 防火 |
突出と開口部の制限(第三号・第四号)
防火壁は、両端と上端を外壁面・屋根面から50cm以上突出させます(第三号)。
これは、外壁や屋根を回り込む延焼を防ぐためで、突出した部分が構造的に成立するように納める必要があります。
開口部は幅・高さそれぞれ2.5m以下とし、特定防火設備(防火戸)を設けます(第四号)。
給水管・配電管が防火壁を貫通する部分はモルタルなどの不燃材料で、換気ダクトには防火ダンパーを設けます。
木造など可燃材料の建築物の防火壁も自立が必要か(令第113条第1項第二号)
主要構造部が木造など可燃材料でできている建築物の防火壁も、令第113条第1項第二号の「自立する構造」を満たさなければなりません。
火災で周囲の木造部分が焼け落ちても、防火壁だけは倒れずに残る必要があるためです。
防火壁そのものには耐火構造も求められる(第一号)ため、木造の建築物でも防火壁の部分は、それ自体が倒れにくい構造とします。
具体的な構造方法は、大臣が定めた構造方法(告示)又は大臣の認定によります。
試験で問われやすいポイント
- 適用:延べ面積1,000㎡を超える建築物は防火壁・防火床で1,000㎡以内ごとに区画する(法第26条)。耐火建築物・準耐火建築物等は除く。
- 構造の要件:防火壁・防火床は、周囲の建築物部分が火災で倒壊しても倒壊しない「自立する構造」でなければならない(令第113条第1項第二号)。
- 突出と開口部:防火壁は外壁面・屋根面から50cm以上突出させ、開口部は幅・高さ各2.5m以下として特定防火設備を設ける(第三号・第四号)。
- 木造の防火壁:可燃材料でできた建築物の防火壁も、令第113条第1項第二号の「自立する構造」を満たす(周囲が倒壊しても防火壁だけは倒れない)。
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一問一答
Q. 防火壁・防火床はどんな建築物に必要か(法第26条)。
答えを見る
延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火壁又は防火床によって床面積1,000㎡以内ごとに区画しなければならない。耐火建築物・準耐火建築物、主要構造部が不燃材料の卸売市場の上家等、大臣基準に適合する農業用建築物は除かれる。
Q. 令第113条が防火壁・防火床に求める「自立する構造」とは何か。
答えを見る
通常の火災によって防火壁・防火床以外の建築物の部分が倒壊しても、防火壁・防火床の倒壊が生じない構造をいう(令第113条第1項第二号)。大臣が定めた構造方法又は大臣の認定による。区画という防火の役割とは別に、火災時に構造耐力を保つ要件である。
Q. 木造建築物に防火壁を設ける場合、構造上どんな配慮が必要か。
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主要構造部が可燃材料の建築物でも、防火壁は令第113条第1項第二号の「自立する構造」を満たす必要がある。周囲が焼け落ちても防火壁だけは倒れない構造とし、その具体的な構造方法は大臣が定めた構造方法又は認定による。
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参照
- 建築基準法 第26条(防火壁等)
- 建築基準法施行令 第113条(防火壁及び防火床の構造)
- 建築基準法 第2条第9号の2(耐火建築物)・同条第9号の3(準耐火建築物)(区画が不要となる建築物)