耐火構造の耐火性能とは?非損傷性・遮熱性・遮炎性と要求時間(令第107条)

ルート君

「耐火○時間」って、何を何時間もたせるって意味なの?

耐火構造に求められる「耐火性能」は、令第107条で3つの技術的基準として定められています。非損傷性・遮熱性・遮炎性の3つで、部位や階数に応じて要求される時間が異なります。

このうち構造に直結するのが「非損傷性」で、柱・はり等が火熱を受けても構造耐力上支障のある損傷を生じないことを求めます。令第70条(柱の防火被覆)の30分間非損傷性も、この考え方に対応します。

耐火性能の3つの基準とは(令第107条)

性能 内容 主に求められる部位
非損傷性 火熱により、構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を生じないこと 壁(耐力壁)・柱・床・はり・屋根・階段
遮熱性 加熱面以外の面(屋内側)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないこと 壁・床
遮炎性 屋内で生じた火炎を屋外に出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないこと 外壁・屋根

建築基準法施行令 第107条(耐火性能に関する技術的基準)の骨子

耐火構造の主要構造部に求められる耐火性能の技術的基準は、(1)各号に定める時間、通常の火災による火熱が加えられた場合に構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊等を生じないこと(非損傷性)、(2)一定時間、加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないこと(遮熱性)、(3)外壁・屋根が、屋内で発生する火災による火熱に対し、屋外に火炎を出す亀裂等を生じないこと(遮炎性)、による。

非損傷性の要求時間は何で決まるのか

非損傷性に求められる時間は、部位の種類と「最上階から数えた階数」によって変わります。下に行く(最上階から数えた階数が多い=下層の)部材ほど、上の階の重さを支え、火災の影響も長く受けるため、長い時間が求められます。

部位 最上階から数えた階数が4以内 5以上14以内 15以上
柱・はり 1時間 2時間 3時間
壁(耐力壁)・床 1時間 2時間 2時間
屋根・階段 30分間

柱・はりは最上階から数えた階数が多い(下層)ほど長く、最長で3時間です。壁(耐力壁)・床は最長2時間、屋根・階段は30分間です。なお遮熱性(第二号)は、壁・床について1時間(外壁の延焼のおそれのない部分は30分)、遮炎性(第三号)は、外壁・屋根について屋内で発生する火災に対し30分間(屋外に火炎を出す原因となる亀裂等を生じない)と定められています。

非損傷性が構造とどうつながるのか

3つの性能のうち、構造設計に直接関わるのは「非損傷性」です。火災時に柱・はりが大きく変形・破壊すると、建築物が倒壊するおそれがあります。非損傷性は、要求された時間はその損傷を生じさせず、構造耐力を保つことを求めるものです。

鉄骨造では、鋼材が高温で強度低下するため、被覆等によって非損傷性を確保します(令第70条)。木造では、燃えしろを見込んだ残存断面で構造耐力を保ちます(燃えしろ設計)。いずれも「火災時に一定時間、構造耐力を失わない」という非損傷性の考え方に立っています。

主要構造部・構造耐力上主要な部分との関係

耐火性能が求められるのは、法第2条第5号の「主要構造部」(壁・柱・床・はり・屋根・階段)です。これは防火の観点からの分類で、構造の観点の「構造耐力上主要な部分」(令第1条第3号)とは範囲が異なります。

ただし、柱・はり・耐力壁・床など多くの部材は両者に共通して含まれます。非損傷性は、これらの部材が火災時にも構造耐力を保つことを求める点で、防火と構造の両方にまたがる基準といえます。

試験で問われやすいポイント

  • 耐火性能(令第107条)=非損傷性・遮熱性・遮炎性の3基準。構造に直結するのは非損傷性(構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊等を生じない)。
  • 非損傷性の要求時間:柱・はりは最長3時間、壁(耐力壁)・床は最長2時間、屋根・階段は30分間最上階から数えた階数が多い(下層)ほど長い(4以内=1時間/5〜14=2時間/15以上=柱はり3時間・壁床2時間)。
  • 遮熱性(壁・床)は1時間(外壁の延焼のおそれのない部分は30分)、遮炎性(外壁・屋根)は30分。
  • 非損傷性の確保:鉄骨は被覆(令第70条)、木造は燃えしろ設計。いずれも火災時に一定時間構造耐力を保つ考え方。

一問一答

Q. 耐火性能の3つの基準(令第107条)は何か。構造に直結するのはどれか。

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A. 非損傷性・遮熱性・遮炎性。構造に直結するのは非損傷性(火熱で構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊等を生じないこと)。遮熱性は壁・床、遮炎性は外壁・屋根に主に求められる。

Q. 非損傷性の要求時間はどう決まるか。

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A. 部位の種類と最上階から数えた階数で決まる。柱・はりは最長3時間、壁(耐力壁)・床は最長2時間、屋根・階段は30分(4以内=1時間/5〜14=2時間/15以上=柱はり3時間・壁床2時間)。下層は上階の荷重を支え火災の影響も長いため長時間が求められる。

Q. 鉄骨と木造で非損傷性をどう確保するか。

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A. 鉄骨は鋼材が高温で強度低下するため防火被覆等(令第70条)で確保。木造は燃えしろ設計で、燃えしろを除いた残存断面で構造耐力を保つ。いずれも火災時に一定時間構造耐力を失わない考え方。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第107条(耐火性能に関する技術的基準)
  • 建築基準法 第2条第7号(耐火構造)・第5号(主要構造部)
  • 建築基準法施行令 第70条(柱の防火被覆)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。