鉄骨造の仕様規定とは?幅厚比・有効細長比の数値と条文一覧(令第63条〜第70条)
ルート君
鉄骨造の仕様規定って、何を決めてるの?
鉄骨造の仕様規定は令第63条〜第70条に規定され、幅厚比・有効細長比・接合部の数値が定められています。
鉄骨造の仕様規定は、建築基準法施行令第63条〜第70条に規定されています。
防錆・幅厚比・有効細長比・接合部・柱脚の各項目について、鋼材の局部座屈や全体座屈を防ぐ最低基準を定めています。
鉄骨造の仕様規定はどんな条文で構成されているのか
| 条番号 | 内容 |
|---|---|
| 令第63条 | 鉄骨造の適用範囲 |
| 令第64条 | 材料(鋼材・溶接材料等) |
| 令第65条 | 圧縮材の有効細長比(柱200以下・柱以外250以下) |
| 令第66条 | 柱の脚部(柱脚)の設計 |
| 令第67条 | 接合部・継手の設計 |
| 令第68条 | 高力ボルト・ボルト・リベット接合 |
| 令第69条 | 斜材・水平材・接合部の設計 |
| 令第70条 | 柱の防火被覆(地階を除く階数3以上の鉄骨造の柱) |
幅厚比はどう制限されるのか(告示)
圧縮材の幅厚比は、局部座屈を防ぐために告示(ルート別の幅厚比・FA〜FD区分)で制限が設けられています。幅厚比は施行令本体ではなく告示で規定される点に注意してください。
適用するルートによって幅厚比の許容値が異なり、ルート1・ルート2・ルート3で段階的に基準が変わります。
| 部材 | ルート1・ルート2 | ルート3(保有水平耐力計算) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| H形鋼フランジ(突出部) | 9以下(250N/mm²鋼材) | 告示による区分(FA・FB・FC・FD) | 告示1792号等 |
| 箱形断面フランジ | 33以下(250N/mm²鋼材) | 告示による区分 | 告示1792号等 |
| H形鋼ウェブ | 51以下(250N/mm²鋼材) | 告示による区分 | 告示1792号等 |
有効細長比の上限はどう規定されているのか(令第65条)
圧縮を受ける部材の有効細長比は、令第65条で上限が定められています。
| 部材 | 有効細長比の上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 柱(圧縮材) | 200以下 | 令第65条 |
| 柱以外の圧縮材(はり・斜材等) | 250以下 | 令第65条 |
柱脚はどう設計しなければならないのか(令第66条)
柱脚は、基礎との接合部として令第66条に設計方法が定められています。
露出柱脚・根巻き柱脚・埋め込み柱脚の3タイプがあり、それぞれ告示(平成12年建設省告示第1456号等)で設計方法が定められています。
仕様規定は構造計算を行っても適用されるのか
鉄骨造の仕様規定は、構造計算を行う場合でも原則として適用されます。
ルート2・ルート3では幅厚比の区分が異なるため、採用する計算ルートに合わせて仕様規定の適用内容を確認する必要があります。
なぜ幅厚比と有効細長比の両方を確認するのか
幅厚比(告示)は部材断面の板要素が「局部的に」座屈しないことを確認する基準で、有効細長比(令第65条)は部材「全体が」曲がって座屈しないことを確認する規定です。
この2つは異なる座屈モードに対応しており、両方を独立して満たす必要があります。
幅厚比が小さくても部材が細長ければ全体座屈し、有効細長比が小さくても板要素が薄すぎれば局部座屈します。
限界耐力計算ではなぜ有効細長比の規定が外れるのか
令第36条第2項により、限界耐力計算を採用した場合は令第65条(有効細長比)などの力学的な仕様規定が適用除外となります。
限界耐力計算では地震時の建物全体の変形応答を精密に計算するため、仕様規定に代わる安全確認が計算上で行われると位置付けられています。
ただしルート3(保有水平耐力計算)では幅厚比は引き続き適用され、区分(FA〜FD)に応じてDS値が変わります。
「限界耐力計算では外れる・ルート3では外れない」という点が試験のポイントです。
試験で問われやすいポイント
- 平成28年 学科3 問52(選択肢4正):限界耐力計算によって安全性が確かめられた建築物では、令第65条(有効細長比)などの力学的仕様規定への適合は不要(令第36条第2項)。「限界耐力計算でも有効細長比の規定は外せない」とする誤答に注意。
- 平成28年 学科3 問52(選択肢3正):令第66条(柱脚):鉄骨造の柱脚はアンカーボルトで基礎に緊結しなければならない(令第66条第1項)。滑節構造(ピン接合)の場合は除外。アンカーボルトの規定は耐久性等関係規定には含まれず、ルート3・限界耐力計算での除外対象となりうる。
- 有効細長比(令第65条):柱(圧縮材)≦200、柱以外の圧縮材(はり・斜材等)≦250。柱のほうが厳しい制限(小さい)。有効細長比の制限は圧縮材のみが対象で引張材にはない。木造の構造耐力上主要な柱は有効細長比150以下(令第43条第6項)とは別の規定。
一問一答
Q. 鉄骨造の柱(圧縮材)と柱以外の圧縮材(はり・斜材等)の有効細長比の上限はそれぞれ何か(令第65条)。
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柱(圧縮材):200以下、柱以外の圧縮材:250以下(令第65条)。柱のほうが上限が小さい。有効細長比の制限は圧縮材が対象で、引張材には令第65条の制限はない。
Q. 限界耐力計算によって安全性が確かめられた場合、令第65条(有効細長比)は適用されるか(平成28年 学科3 問52)。
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適用除外(令第36条第2項)。平成28年 問52選択肢4正の根拠。ルート3(保有水平耐力計算)では幅厚比(告示)は引き続き適用(区分FA〜FDに応じDS値が変わる)。令第79条(かぶり厚さ)は耐久性等関係規定で除外不可である点と対比すること。
Q. 令第66条(柱脚)の規定で、鉄骨造の柱脚はアンカーボルトによる緊結が必要か。
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原則として必要(令第66条第1項)。ただし滑節構造の場合は除外。柱脚の形式(露出・根巻き・埋め込み)によって告示で設計方法が異なる(平成28年 問52選択肢3正)。
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参照
- 建築基準法施行令 第63条〜第70条(鉄骨造の仕様規定)
- 建築基準法施行令 第36条(仕様規定の適用範囲)
- 昭和55年建設省告示第1792号(構造特性係数・幅厚比区分)