鉄骨造の溶接・高力ボルトとは?接合部規定と許容応力度(令第67条・第68条)
ルート君
鉄骨の溶接や高力ボルトって、どんなルールがあるの?
鉄骨造の接合部は、令第67条・第68条に基づいて溶接または高力ボルトの仕様を設計します。
鉄骨造の接合部は、部材間の力を確実に伝達する重要な箇所です。
令第67条は、接合部および継手の設計方法を定めた規定で、溶接・高力ボルト・ボルト接合の各種方法の要件が規定されています。
令第67条は接合部に何を求めているのか
建築基準法施行令 第67条第1項(接合)
構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト接合、溶接接合、高力ボルト接合その他の国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えることができるものとしなければならない。
具体的な接合方法は令第68条(高力ボルト・ボルト・リベット接合)に、鋼材・溶接部の許容応力度は平成12年建設省告示第2464号に規定されています。
接合方法にはどんな種類があるのか
| 接合方法 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 完全溶込み溶接(グルーブ溶接) | 母材と同等の断面を持つ溶接。梁フランジの柱への接合に使用。 | 柱・はりの剛接合部 |
| 隅肉溶接(フィレット溶接) | 部材の角部をすみ肉で溶接する。溶接サイズ・有効のど厚を確保する。 | ウェブ・ガセットプレート接合 |
| 高力ボルト摩擦接合 | 高力ボルトの締め付けにより接合面の摩擦力で力を伝達する。 | 柱・はり・ブレースの接合 |
| 高力ボルト支圧接合 | ボルト軸部の支圧と母材せん断で力を伝達する。 | 鉄骨二次部材の接合 |
高力ボルト接合の許容応力度はどう決まるのか(令第68条)
| 接合の種類 | 長期許容せん断応力度(目安) | 根拠 |
|---|---|---|
| F10T高力ボルト(摩擦接合・1面せん断) | 45 kN/本(ボルト径M22) | 令第68条(告示) |
| F10T高力ボルト(摩擦接合・2面せん断) | 90 kN/本(ボルト径M22) | 令第68条(告示) |
溶接の許容応力度はどう決まるのか
| 溶接の種類 | 長期許容応力度の考え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 完全溶込み溶接 | 母材の許容応力度と同等(溶着金属の強度が母材以上の場合) | 告示第2464号 |
| 隅肉溶接 | 有効のど厚×有効長さで算定。せん断許容応力度を適用。 | 告示第2464号 |
柱・はりの剛接合部でダイアフラムはなぜ必要なのか
柱・はりの剛接合部では、はりフランジの引張力・圧縮力を柱に確実に伝達するため、ダイアフラム(通しダイアフラム・内ダイアフラム等)が必要です。
ボルト穴は断面欠損になるため、引張側の断面計算では有効断面積を用います。
なぜダイアフラムが柱・はりの接合部に必要なのか
H形鋼のはりフランジの引張力・圧縮力を角形鋼管柱などに伝達する際、ダイアフラムがなければ柱のウェブ・フランジが局所的に変形してしまいます。
通しダイアフラムは柱を貫通する形で水平方向に設置し、はりフランジの力を柱断面全体で受ける機能を果たします。幅厚比の規定と同様に、接合部の局所的な変形を防ぐことが靭性確保の基本です。
溶接後に高力ボルトを締めると許容力を加算できないのはなぜか
溶接を先に行うと熱ひずみが生じ接合部全体が若干変形します。
この状態で高力ボルトを締め付けても、既に溶接で力が分担されており高力ボルトが接触面の摩擦力を十分に発揮できません。
したがって溶接後施工の高力ボルトは許容耐力に加算できません。
逆に高力ボルトを先に施工してから溶接する順序なら、ボルトが先に力を負担した後で溶接が加わるため両者の許容耐力を加算できます。
この順序の違いが横座屈補剛などの接合詳細とともに試験で問われます。
試験で問われやすいポイント
- 平成30年 学科4 問87(選択肢3誤・正答):溶接後に高力ボルトを締め付けた場合、両接合の許容力は加算できない(溶接のみの許容耐力となる)。高力ボルト先施工→溶接後施工の順序なら加算可能。混用の順序が試験のポイント。
- 平成30年 学科4 問87(選択肢1正):高力ボルト摩擦接合は接合部材間の摩擦力で応力を伝達し、支圧による応力伝達は期待しない。摩擦面のすべり係数(0.45以上等)で設計する。
- 高力ボルト摩擦接合の2面摩擦と1面摩擦:2面摩擦の許容せん断応力度は1面摩擦の2倍(令第68条)。面数が倍になると許容力も倍。
一問一答
Q. 高力ボルト摩擦接合はどのような力で応力を伝達するか(平成30年 学科4 問87)。
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接合部材間の摩擦力で応力を伝達する。支圧による応力伝達は期待しない(H30問87選択肢1正)。高力ボルトの締め付けによる接合部圧縮力が摩擦抵抗を生み出す。
Q. 溶接後に高力ボルトを締め付けた場合、溶接と高力ボルトの許容力は加算できるか(平成30年 学科4 問87)。
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加算できない(溶接のみの許容耐力)。溶接時のひずみの影響で高力ボルトが応力を分担できなくなるため。高力ボルト先施工→溶接後施工の順序なら両者の加算が可能(H30問87選択肢3誤の理由)。
Q. F10T高力ボルト摩擦接合で2面摩擦の許容せん断応力度は1面摩擦の何倍か(令第68条)。
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2倍(令第68条)。M22 F10T 1面摩擦=45kN/本、2面摩擦=90kN/本の目安。
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参照
- 建築基準法施行令 第67条(接合部・継手の設計)
- 建築基準法施行令 第68条(高力ボルト・ボルト・リベット接合)
- 平成12年建設省告示第2464号(鋼材等及び溶接部の許容応力度・基準強度)