木造の床組・小屋組とは?根太・垂木・火打ち梁の断面と水平構面の剛性(令第46条第3項・令第49条)

ルート君

木造の床組や小屋組って、どんな仕様規定があるの?

木造の床組と小屋組は、根太・垂木・火打ち梁などで構成され、鉛直荷重を柱・耐力壁へ伝えるとともに、水平構面(ダイアフラム)としての剛性確保が求められます。

床組・小屋組は、床荷重・屋根荷重を柱・耐力壁へ伝達するとともに、水平構面(ダイアフラム)として地震力・風圧力を耐力壁へ分配する役割を担います。

床組・小屋組の水平剛性は令第46条第3項に規定されています。なお令第49条は木部の防腐・防蟻措置を定める条文、令第50条は削除されており、「床組=令49条/小屋組=令50条」ではない点に注意してください。

床組はどんな部材で構成されているのか

部材名 役割 主な仕様規定
根太 床面積荷重を大引きまたは梁に伝達する水平部材 断面寸法(断面積・有効細長比)は告示・設計計算による
大引き 根太を受け、束(つか)または基礎に荷重を伝達する横架材 断面寸法は荷重・スパンに応じて設計
床束 大引きを支持する短い縦材。地盤面に立てて大引きを受ける。 令第49条第2項(腐食対策・防湿措置)
火打ち土台 床面の水平剛性を確保するための斜め材。隅部に配置する。 令第46条第3項(水平構面の剛性確保)

令第49条(木部の防腐・防蟻)は何を規定しているのか

令第49条は、木造建築物の木部の防腐・防蟻について以下を定めています(床組そのものを定める条文ではありません)。

項目 規定内容
1階床の防湿 直下が土の場合、床下の防湿を確保すること。根太・大引き等の木部が土に接しないようにする。
床束の防腐 床束は腐食しにくい材料を使用するか、防腐措置を施す(令第49条第2項)
根太の接合 根太・大引きの接合は、緊結金物等で確実に行う

小屋組はどんな部材で構成されているのか

部材名 役割
垂木(たるき) 屋根面荷重を母屋(もや)・棟木に伝達する屋根面の斜め材
棟木(むなぎ) 屋根頂部に設ける水平材。垂木の上端部を受ける。
母屋(もや) 垂木を中間で支持する水平材。小屋束の上に架ける。
小屋梁(こやばり) 小屋組全体の荷重を柱・壁に伝達する水平材
小屋束(こやつか) 棟木・母屋を下から支持する短い縦材。小屋梁上に立てる。
火打ち梁 小屋組の水平剛性を確保するための斜め材。隅部に配置する。

小屋組の構造では何が求められるのか(水平剛性は令第46条第3項)

小屋組は屋根荷重を安全に支持し、水平剛性を確保する必要があります(かつての令第50条は削除されており、水平剛性は令第46条第3項による)。

項目 規定内容
小屋組の構成 屋根荷重を安全に支持できる構造とする
垂木の接合 垂木は棟木・母屋に緊結する
小屋組の水平剛性 小屋組には水平力に抵抗できる剛性を確保するため、火打ち梁または剛性の高い面材を配置する(令第46条第3項と連動)

床・小屋組の水平剛性(水平構面)はどうやって確保するのか(令第46条第3項)

木造建築物の床・屋根・小屋組の水平構面は、地震力・風圧力を各層の耐力壁に分配するダイアフラムとして機能します。

令第46条第3項は、床組・小屋組には火打ち材(火打ち梁・火打ち土台)または剛性の高い面材(構造用合板等)を配置して水平剛性を確保することを求めています。

水平構面の確保方法 特徴
火打ち梁・火打ち土台の設置 隅部に斜材を配置。従来工法で一般的。
構造用合板(12mm以上)の床張り 根太・大引きに直接張り付け、面材で剛性を確保する剛床工法。耐震壁への荷重分配に有利。

横架材の欠き込みはなぜ禁止されているのか(令第44条)

令第44条は、はり・けた等の横架材の欠き込みに制限を設けています。梁・大引き等の引張側(下端側)に欠き込みをしてはならず、やむを得ず設ける場合でも所定の補強が必要です。

欠き込みは断面欠損となり、曲げ耐力の大幅な低下につながります。

なぜ床・屋根の水平剛性が耐震設計に重要なのか

地震時、各階の耐力壁が水平力に抵抗するためには、床・屋根の水平構面が各耐力壁へ荷重を均等に分配できる剛性を持っている必要があります。

水平構面の剛性が不足すると荷重が一部の耐力壁に集中して早期崩壊を招くため、令第46条第3項が水平剛性の確保を義務付けています。

木造では従来の火打ち材方式から現在は剛床工法(構造用合板張り)が普及しており、後者の方が水平剛性の確保と耐力壁への荷重分配に有利です。

横架材の引張側への欠き込みはなぜ危険なのか

曲げを受ける梁の下端(引張側)を欠き込むと、断面積が減少するだけでなく欠き込み部に応力集中が生じます。

木材は繊維方向に対して直角の引張強さが非常に低いため、欠き込み部からの裂け破壊(脆性的な破断)が起きやすくなります。

令第44条が引張側への欠き込みを原則禁止しているのはこのためです。

試験で問われやすいポイント

  • 令第44条(横架材の欠き込み禁止):梁・大引き等の引張側(下端側)への欠き込みは原則禁止。上端(圧縮側)は欠き込める場合があるが、引張側(下端)は断面欠損による急激な耐力低下につながるため禁止。
  • 令第46条第3項(水平構面の剛性確保):床組・小屋組の水平剛性確保は「火打ち材の設置」または「構造用合板等の剛床工法」の2方法のどちらかで対応できる。剛床工法は耐力壁への荷重分配に有利。
  • 火打ち梁(小屋組)と火打ち土台(床組)の設置箇所:いずれも隅部に斜め材として配置し、水平構面の形状変化(ひし形変形)を防ぐ。小屋組=火打ち梁、土台レベル=火打ち土台と区別する。
  • 根太・大引き・床束の役割の連鎖:根太(床荷重→大引き)→大引き(根太荷重→床束または基礎)→床束(大引き→地盤)の荷重伝達の流れを把握する。

一問一答

Q. 令第44条は、横架材(梁等)のどちら側への欠き込みを禁止しているか。

答えを見る

引張側(下端側)への欠き込みを原則禁止(令第44条)。曲げを受ける横架材では下端が引張側となり、欠き込むと断面欠損で著しく耐力が低下するため。

Q. 木造建築物の床組・小屋組の水平剛性(水平構面)を確保する方法を2つ答えよ(令第46条第3項)。

答えを見る

①火打ち材(火打ち梁・火打ち土台)を隅部に配置する方法、②構造用合板等の剛性の高い面材を貼り付ける剛床工法の2方法がある(令第46条第3項)。

Q. 火打ち梁と火打ち土台はそれぞれどこに設置されるか。

答えを見る

火打ち梁は小屋組(屋根直下の水平構面)の隅部、火打ち土台は1階床組の土台レベルの隅部に設置する。どちらも斜め材として水平構面のひし形変形を防ぐ(令第46条第3項)。

この記事のカテゴリの記事一覧は仕様規定にまとめています。

最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第44条(横架材の欠き込みの禁止)
  • 建築基準法施行令 第46条第3項(水平構面の剛性確保)
  • 建築基準法施行令 第49条(木部の防腐・防蟻措置)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。