無筋コンクリート造とは?令第80条の準用規定と構造上の特性

ルート君

鉄筋が入っていないコンクリートの建物って、建てていいの?

建てることは法令上禁止されていませんが、令第80条により組積造の規定(令第51条〜第62条)が準用されるため、建築物の高さは13m以下・軒の高さは9m以下に制限されます。また、2025年4月1日施行の令第38条改正により、基礎への無筋コンクリート造の使用は廃止されました。

建築基準法施行令 第80条(無筋コンクリート造に対する第4節の準用)

無筋コンクリート造の建築物又は無筋コンクリート造とその他の構造とを併用する建築物の無筋コンクリート造の構造部分については、この章の第4節(第52条を除く。)の規定並びに第71条(第79条に関する部分を除く。)、第72条及び第74条から第76条までの規定を準用する。

無筋コンクリート造とはどういう構造か

無筋コンクリート造とは、鉄筋を一切配置せず、コンクリートのみで構成した構造です。英語では「プレーンコンクリート(Plain Concrete)」とも呼ばれます。

コンクリートは圧縮力には比較的強い材料ですが、引張力・曲げモーメントに対しては脆く、鉄筋コンクリート(RC)造に比べて大幅に弱くなります。鉄筋がないため、ひび割れが生じると急激に断面が失われ、脆性的な破壊に至ります。

地震に対して粘り強さ(靭性)がなく、横力を繰り返し受けると急激に損傷が進む点が最大の弱点です。

令第80条はどの条文を準用するのか

令第80条は無筋コンクリート造に対して、次の条文を準用します。

準用する条文 内容の概要 備考
第4節(令第51条〜第62条) 組積造の全規定(適用範囲・施工・壁厚・臥梁・開口部・塀等) 令第52条を除く
令第71条 鉄筋コンクリート造の適用範囲 第79条(かぶり厚さ)に関する部分を除く
令第72条 コンクリートの材料基準
令第74条〜第76条 コンクリートの強度基準・養生・型枠支柱の除去

令第52条(組積造の施工。モルタルの配合・目地の充填方法に関する規定)は無筋コンクリート造には馴染まないため、準用から除外されています。

令第71条・第72条・第74条〜第76条が準用されることで、使用するコンクリートの品質・強度・養生・型枠の撤去時期に関するRC造の基準も適用されます。

準用により具体的にどんな制限がかかるのか

令第4節(令第51条〜第62条)の組積造規定が準用されることで、無筋コンクリート造の建築物には次の制限が適用されます。

項目 規定値(組積造の準用) 根拠条文
建築物の高さ 13m以下 令第51条(準用)
軒の高さ 9m以下 令第51条(準用)
壁の長さ 10m以下 令第54条(準用)
壁の厚さ(2階以上・壁長5m以下) 30cm以上 令第55条(準用)
壁の厚さ(2階以上・壁長5m超) 40cm以上 令第55条(準用)
各階壁厚の下限(比率) 壁の高さの1/15以上 令第55条第2項(準用)
臥梁 各階壁頂に鉄骨造またはRC造の臥梁を設ける 令第56条(準用)
開口部幅の総和(一の壁) 壁長さの1/2以下 令第57条(準用)

無筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造はどう違うのか

項目 無筋コンクリート造 鉄筋コンクリート(RC)造
鉄筋の有無 なし あり(令第73条〜79条で配筋規定)
圧縮力への強さ 比較的強い 強い
引張力・曲げへの強さ 弱い(脆性破壊のリスク) 鉄筋が引張力を負担する
地震への靭性 ほとんどない 配筋・形状により確保できる
適用構造規定 組積造規定(令第51条〜第62条)を準用(令第80条) 令第71条〜第79条の3
建物への現在の実績 事実上なし(基礎も2025年4月以降廃止) 広く使用される

令第38条改正(R7.4.1施行)と無筋コンクリート造基礎の廃止

無筋コンクリート造は建築物の「本体」(壁・柱等)だけでなく、かつては「基礎」にも使われていました。具体的には、不同沈下のおそれが少ない良好な地盤であれば、無筋コンクリートの布基礎(逆T字型)が告示第1347号のもとで認められていました。

しかし2025年4月1日施行の令第38条・告示第1347号の改正により、基礎への無筋コンクリート造は廃止されました。改正後は地盤の良否にかかわらず、すべての布基礎・べた基礎でRC造が必須です。

詳細は無筋コンクリート基礎の廃止(令第38条改正)を参照してください。

無筋コンクリート造は現在の実務でどう扱われるのか

建築物本体(壁・柱・床・屋根)への無筋コンクリート造の適用は、現在の実務ではほぼ皆無です。令第80条が準用する組積造の規定により高さ13m・軒高9mに制限されるうえ、引張力への脆弱性から構造計算上も合理的な設計が困難です。

基礎への使用も2025年4月1日以降は廃止されたため、無筋コンクリート造が適用される場面は既存建築物の調査・補強に限られます。

試験対策としては、「令第80条が何条を準用するか」「除外される条文はどれか」の2点を確実に押さえることが重要です。

試験で問われやすいポイント

  • 令第80条の準用範囲:無筋コンクリート造には、組積造規定(第4節・令第51条〜第62条)が準用される。ただし令第52条(施工方法)は除外また令第72条(コンクリートの材料)・令第74条〜76条(強度・養生・型枠)も準用される。
  • 建物への高さ制限:組積造規定の準用により、無筋コンクリート造の建築物も高さ13m以下・軒の高さ9m以下に制限される(令第51条準用)。
  • 基礎への無筋コンクリート造:2025年4月1日施行の令第38条改正により廃止。現行法では基礎にRC造が必須。「良好な地盤なら無筋コンクリート基礎も使える」という記述は改正後は誤りとなる。
  • 無筋コンクリート造とRC造の違い:無筋コンクリート造は引張力・曲げに弱く、地震に対する靭性がない。RC造は鉄筋が引張力を負担するため、靭性・変形能力が大きく異なる。

一問一答

Q. 建築基準法施行令第80条は、無筋コンクリート造に対してどの節の規定を準用するか。また、準用から除外される条文はどれか。

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令第3章第4節(組積造・令第51条〜第62条)の規定を準用する。ただし令第52条(組積造の施工方法)は除外される。また令第72条・令第74条〜76条(コンクリートの材料・強度・養生・型枠)も準用される(令第80条)。

Q. 令第80条の準用により、無筋コンクリート造の建築物の高さと軒の高さはそれぞれ何m以下に制限されるか。

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令第51条の準用により、高さ13m以下、軒の高さ9m以下に制限される。これは組積造の建築物と同一の制限数値。

Q. 2025年4月1日以降、良好な地盤において無筋コンクリートの布基礎を採用することはできるか。

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できない。令第38条・告示第1347号の改正(2025年4月1日施行)により、無筋コンクリート基礎は廃止された。地盤の良否にかかわらず、すべての基礎でRC造が必要。詳細は無筋コンクリート基礎の廃止(令第38条改正)を参照。

Q. 無筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造の最大の構造上の違いは何か。

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鉄筋の有無による引張力・曲げへの抵抗力の差。無筋コンクリート造は引張力に弱く脆性破壊を生じやすいのに対し、RC造は鉄筋が引張力を負担するため靭性・変形能力が高い。地震時の横力への抵抗力には大きな差がある。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第80条(無筋コンクリート造に対する第4節の準用)
  • 建築基準法施行令 第51条〜第62条(組積造)
  • 建築基準法施行令 第71条・第72条・第74条〜第76条(RC造関連準用条文)
  • 建築基準法施行令 第38条(基礎の設計)・平成12年建設省告示第1347号(令和6年改正・2025年4月1日施行)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。