大規模・中規模・小規模建築物とは?法第20条の規模区分と構造計算の要否(一号〜四号)
本ページはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
ルート君
大規模とか小規模って、どこで線引きされているの?
建築物は、規模に応じて法第20条第1項の一号(超高層)・二号(大規模)・三号(中規模)・四号(小規模)に区分されます。
この区分によって、要求される構造計算の方法(時刻歴・ルート1〜3など)と構造計算適合性判定の要否が決まります。
建築基準法 第20条第1項(構造耐力)
建築物は、自重・積載荷重・積雪荷重・風圧・土圧・水圧・地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
第一号 高さ60mを超える建築物。
第二号 高さ60m以下で政令で定める建築物(令第36条の2)。
第三号 第二号に掲げるもの以外で政令で定める規模の建築物。
第四号 第一号から第三号までに掲げる建築物以外の建築物。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
(現役設計者の方へ)構造設計のキャリアや年収の選択肢は設計者の転職エージェント比較で整理しています。
建築物の規模はどう区分されるのか(法第20条第1項 一号〜四号)
大規模・中規模・小規模は、法第20条第1項の号の区分を指す言い方です。
規模が大きいほど、より精密な構造計算が求められる体系になっています。号ごとの区分と、求められる計算・適合性判定を整理すると次のとおりです。
| 区分(呼び方) | 法第20条 | 主な対象 | 要求される構造計算 | 適合性判定 |
|---|---|---|---|---|
| 超高層 | 第一号 | 高さ60m超 | 時刻歴応答解析+大臣認定(令第81条第1項) | 対象外(大臣認定) |
| 大規模 | 第二号 | 高さ60m以下で令第36条の2に該当(鉄骨16m超・RC20m超・組積4階以上 等) | ルート2以上(保有水平耐力計算・限界耐力計算・許容応力度等計算/令第81条第2項) | 必要 |
| 中規模 | 第三号 | 第二号以外で、政令で定める規模(構造計算を要する規模) | ルート1(許容応力度計算・令第82条各号/令第82条の4)も可(令第81条第3項) | 原則不要(ルート1) |
| 小規模 | 第四号 | 第一号〜第三号以外 | 令第82条の構造計算、又は仕様規定による | 対象外 |
構造計算適合性判定は、ルート2以上(許容応力度等計算・保有水平耐力計算・限界耐力計算など)を用いる場合に必要です。
したがって第二号は必然的に対象となり、第三号でもルート2以上を選べば対象になります。
大規模建築物(第二号)とは何か
大規模建築物は、高さ60m以下で令第36条の2の規模に該当するものです。
鉄骨造で高さ16m超、RC造・SRC造の併用で高さ20m超、組積造・補強コンクリートブロック造で4階以上などが該当します。
第二号は令第81条第2項のルート2以上が必要で、ルート1では設計できません。
各号の詳しい規模要件は令第36条の2の規模区分、二号の詳細は大規模建築物とはで扱っています。
中規模建築物(第三号)とは何か
中規模建築物は、第二号に当たらないものの、構造計算が必要な規模の建築物です。
木造で階数3以上や延べ面積が一定を超えるもの、非木造で階数2以上や一定面積を超えるものが該当します。
第三号は令第81条第3項の許容応力度計算(ルート1)でも設計でき、ルート1なら構造計算適合性判定は不要です。
木造中規模の計算の合理化(令和7年改正)は木造中規模建築物の構造計算で詳しく扱っています。
構造や確認まわりの実務経験は、転職市場でも通用する強みです。設計者の転職・年収の比較で相場を見ておくと選択肢が広がります。
小規模建築物(第四号)とは何か
小規模建築物は、第一号から第三号までのいずれにも当たらない建築物です。
この区分では、令第82条の構造計算による方法のほか、仕様規定(令第46条の壁量規定など)への適合による方法が認められています。
いわゆる四号特例(構造計算書等の提出省略)は法第6条の確認手続の制度で、この構造計算区分とは別の話です。
超高層建築物(第一号)はどう違うのか
高さが60mを超える建築物は第一号に区分され、別格の扱いになります。
建物全体の揺れを時間の経過とともに追う時刻歴応答解析を行い、国土交通大臣の認定を受ける必要があります(令第81条第1項)。
2025年改正で区分はどう変わったのか(混同に注意)
令和7年(2025年)4月施行の改正で、いくつかの数値と手続の区分が見直されました。
令第36条の2では、鉄骨造の高さ基準が13m超から16m超に引き上げられました。
また、木造2階建て以下で延べ面積300㎡超のものが確認審査・構造計算の対象に加わりましたが、これは法第6条(四号特例の縮小)による変更です。
延べ面積300㎡は令第36条の2や法第20条第二号の基準ではなく、これらの木造は構造計算ルートとしてはルート1(第三号)で設計できます。
あわせて、法第20条の構造計算区分(一号〜四号)と、法第6条の確認審査区分(改正で新一号〜新三号)は別の分類である点に注意が必要です。
なぜ規模によって構造計算が変わるのか
建物が大きく高くなるほど、地震時の変形や剛性のバランス・偏心といった建物全体の挙動が効いてきます。
小規模では部材ごとの応力を確認するルート1で足りても、大規模では建物全体の耐力や変形を確かめるルート2・3が必要になります。
超高層では、さらに時刻歴応答解析で揺れそのものを追う検討が求められます。
「規模が大きいほど精密な検討を求める」というのが、法第20条の規模区分の基本的な考え方です。
試験で問われやすいポイント
- 法第20条第1項の区分:第一号=高さ60m超(時刻歴+大臣認定)/第二号=令第36条の2該当(ルート2以上)/第三号=それ以外の構造計算を要する規模(ルート1も可)/第四号=小規模(令第82条又は仕様規定)。
- 第二号にルート1は使えない(令第81条第2項)。構造計算適合性判定はルート2以上で必要=第二号は対象、第三号はルート1なら不要。
- 高さ60mちょうどは第一号ではない(「超える」に当たらない)。
- R7.4.1改正の木造・延べ面積300㎡超は法第6条(確認・四号特例の縮小)の話で、法第20条第二号や令第36条の2の数値ではない。法第20条の区分(一〜四号)と法第6条の確認区分(新一〜三号)を混同しない。
建築確認や構造規定は、建築士試験でもよく問われる分野です。学習の進め方は、スタディングの評判もあわせてご覧ください。
総則・構造まわりの実務経験は転職市場でも評価されます。相場が気になる方は設計者向けの転職・年収の比較をご覧ください。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
一問一答
Q. 大規模建築物(法第20条第1項第二号)に許容応力度計算のみのルート1を採用できるか。
答えを見る
できない。第二号は令第81条第2項のルート2以上(保有水平耐力計算・限界耐力計算・許容応力度等計算)が必要。ルート1は第三号・第四号に対応する。
Q. 中規模建築物(第三号)で構造計算適合性判定は必要か。
答えを見る
ルート1で設計する場合は原則不要。ただしルート2以上を選んだ場合は対象になる。適合性判定はルート2以上を用いるときに必要となる。
Q. 木造2階建て・延べ面積300㎡超が構造計算の対象になったのは、法第20条第二号になったからか。
答えを見る
違う。これはR7.4.1改正の法第6条(四号特例の縮小)による確認審査の対象拡大で、構造計算ルートとしてはルート1(第三号)で設計できる。300㎡は令第36条の2の数値ではない。
この記事のカテゴリの記事一覧は総則・第20条にまとめています。
参照
- 建築基準法 第20条第1項(構造耐力)
- 建築基準法施行令 第36条の2(構造計算が必要な建築物)
- 建築基準法施行令 第81条(構造計算の方法・ルート区分)