告示第383号とは?土砂災害特別警戒区域の外壁の構造方法と100kN・厚さ15cm(令第80条の3)
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ルート君
崖のそばだと壁を丈夫にするって聞いた。土砂がぶつかる力って、どうやって決めるの?
平成13年国土交通省告示第383号は、令第80条の3を受けて、土砂災害特別警戒区域内の居室を有する建築物の外壁等の構造方法を定めています。
想定する力の大きさや土石等の高さは設計者が算定するのではなく、区域の指定において都道府県知事が定めたものを使います。
平成13年国土交通省告示第383号 第一 第一号
「急傾斜地の崩壊に伴う土石等の移動による最大の力の大きさ 土砂災害特別警戒区域の指定において都道府県知事が定めた急傾斜地の崩壊に伴う土石等の移動により建築物の地盤面に接する部分に作用すると想定される力の大きさのうち最大のもの」
告示第383号がどこから委任されているかを整理すると、次の階層になります。法第20条(構造耐力の基本原則)が施行令第80条の3に、さらに施行令が告示第383号に、外壁等の構造方法を順に委任する形です。
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告示第383号は何を定めているのか
正式な件名は「土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物の外壁等の構造方法並びに当該構造方法を用いる外壁等と同等以上の耐力を有する門又は塀の構造方法を定める件」です。
平成13年3月30日に定められ、平成19年5月18日国土交通省告示第624号で改正されています。
| 節 | 内容 |
|---|---|
| 第一 | 用語の定義(力の大きさ・土石等の高さ) |
| 第二 | 自然現象の種類が急傾斜地の崩壊である場合の外壁等の構造方法 |
| 第三 | 自然現象の種類が土石流である場合の外壁等の構造方法 |
| 第四 | 自然現象の種類が地滑りである場合の外壁等の構造方法 |
| 第五 | 令第80条の3ただし書に規定する門又は塀の構造方法 |
自然現象の種類ごとに節が分かれていて、どれに当たるかで見る節が変わります。
想定する力は誰が決めるのか
第一の各号は、力の大きさも土石等の高さも「土砂災害特別警戒区域の指定において都道府県知事が定めた」ものと定義しています。
設計者が地形から衝撃力を算定するのではなく、区域指定で与えられた値を使うという組み立てです。
| 自然現象 | 第一で定義されている値 |
|---|---|
| 急傾斜地の崩壊 | 土石等の移動による最大の力の大きさ/移動する土石等の高さ |
| 土石等の堆積による最大の力の大きさ/堆積する土石等の高さ | |
| 土石流 | 土石流による最大の力の大きさ/土石流の高さ |
| 地滑り | 地滑り地塊の滑りに伴って生じた土石等の堆積による力の大きさ/その土石等の高さ |
力の大きさは、いずれも建築物の地盤面に接する部分に作用すると想定される力です。
高さについては、土石等の高さが外壁等の高さを超える場合は外壁等の高さとするという読み替えが付いています。
第一号と第二号はどこで分かれるのか
外壁等の構造方法は、各節とも第一号(仕様による方法)か第二号(構造計算による方法)のどちらかです。
ただし、次に当たる場合は第二号によらなければなりません。
| 自然現象 | 第二号によらなければならない場合 |
|---|---|
| 急傾斜地の崩壊 (第二) |
移動による最大の力が100kN/m²超/移動による最大の力が50kN/m²超かつ移動する土石等の高さが1.0m超/移動する土石等の高さが2.0m超/堆積する土石等の高さが5.0m超 |
| 土石流 (第三) |
土石流による最大の力が100kN/m²超/土石流による最大の力が50kN/m²超かつ土石流の高さが1.0m超/土石流の高さが2.0m超 |
| 地滑り (第四) |
地滑り地塊の滑りに伴って生じた土石等の高さが1.1m超 |
土石流には、急傾斜地の崩壊にある「堆積する土石等の高さ5.0m超」に当たる条件がありません。
地滑りは1.1mを超えるかどうかの1つだけで、力の大きさによる区分が置かれていません。
第一号の外壁はどんな仕様か
第二第一号イは、外壁・当該外壁に接着する控壁・基礎を設ける構造とし、それぞれを定められた構造方法とするものです。
外壁の構造方法は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 造 | 鉄筋コンクリート造とし、コンクリートの設計基準強度は18N/mm²以上 |
| 開口部 | 設けない(開口面積が100cm²以内で、その周囲に径12mm以上の補強筋を配置した給気口又は排気口を除く)。ただし書きあり |
| 厚さ | 15cm以上 |
| 縦筋 | 長さ1m当たりの断面積の和を、土石等の高さの区分に応じた表の数値以上とする |
縦筋の表は、たとえば移動する土石等の高さが1.0m以下・堆積する土石等の高さが1.0m以下の場合に18.3p又は7.9wのうちいずれか大きい値という書き方です。
pは移動による最大の力の大きさ、wは堆積による最大の力の大きさで、単位はいずれもkN/m²です。
開口部のただし書きは、力が作用すると想定される部分が存する階に居室を有しない場合や、その外壁の屋内側に居室を有せず、居室以外の室と居室との間に規定に適合する開口部のない壁が設けられている場合です。
第二号の構造計算は何を確かめるのか
第二号は、想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じないことが確かめられた構造方法です。
外壁等に生ずる力が、令第3章第8節第4款の規定による材料強度によって計算した耐力を超えないことを確かめます。
| 想定する状態(急傾斜地の崩壊) | 一般の場合 | 多雪区域における場合 |
|---|---|---|
| 土石等の移動による衝撃の作用時 | G+P+Sm | G+P+0.35S+Sm |
| 土石等の堆積による土圧の作用時 | G+P+Sa | G+P+0.35S+Sa |
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| G | 令第84条に規定する固定荷重によって生ずる力 |
| P | 令第85条に規定する積載荷重によって生ずる力 |
| S | 令第86条に規定する積雪荷重によって生ずる力 |
| Sm | 土石等の移動による衝撃力によって生ずる力 |
| Sa | 土石等の堆積による土圧力によって生ずる力 |
Smは、移動する土石等の高さ以下の部分に作用する力とし、移動による最大の力の大きさの値とします。
Saは、堆積する土石等の高さ以下の部分に作用する力とし、堆積による最大の力の大きさに土圧分布係数aを乗じた数値とします。
土圧分布係数は、堆積する土石等の高さHsと建築物の各部分の高さhから計算します。
多雪区域の係数が0.35である点は、令第82条の一般の荷重の組合せと同じ考え方です。
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門・塀で守る場合はどうなるのか
第五は、令第80条の3ただし書に規定する、土石等の高さ等以上の高さの門又は塀の構造方法です。
自然現象の種類に応じて、第二・第三・第四の第一号イ又は第二号の構造方法とし、条文中の「外壁等」「外壁」を「門又は塀」と読み替えます。
読み替えでは、「屋内側」を「力が作用すると想定される面の裏面」とします。
門・塀には屋内がないため、力を受ける面の反対側という言い方に置き換わっています。
試験・実務で押さえるポイント
- 力の大きさ・土石等の高さは土砂災害特別警戒区域の指定において都道府県知事が定めたもの。設計者が算定するのではない。
- 外壁等の構造方法は第一号(仕様)か第二号(構造計算)。急傾斜地の崩壊では100kN/m²超/50kN/m²超かつ高さ1.0m超/高さ2.0m超/堆積の高さ5.0m超で第二号による。
- 土石流は堆積の条件がなく3つ、地滑りは高さ1.1m超の1つだけで第二号による。
- 第一号イの外壁=鉄筋コンクリート造・設計基準強度18N/mm²以上・厚さ15cm以上・原則開口部を設けない(100cm²以内で径12mm以上の補強筋を配置した給気口・排気口を除く)・外壁に接着する控壁と基礎。
- 第二号は材料強度で計算した耐力を超えないことの確認。組合せはG+P+Sm・G+P+Sa(多雪区域は0.35Sを加える)。
- 高さは、土石等の高さが外壁等の高さを超える場合は外壁等の高さとする。
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一問一答
Q. 告示第383号で想定する土石等の力の大きさは、誰がどう決めるか。
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A. 土砂災害特別警戒区域の指定において都道府県知事が定めた、建築物の地盤面に接する部分に作用すると想定される力の大きさのうち最大のものを用いる(第一)。
Q. 急傾斜地の崩壊で、構造計算(第二号)によらなければならないのはどんな場合か。
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A. 移動による最大の力が100kN/m²超の場合、移動による最大の力が50kN/m²超かつ移動する土石等の高さが1.0m超の場合、移動する土石等の高さが2.0m超の場合、堆積する土石等の高さが5.0m超の場合。
Q. 第一号による場合、外壁の厚さと設計基準強度はいくつか。
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A. 鉄筋コンクリート造とし、コンクリートの設計基準強度は18N/mm²以上、厚さは15cm以上(第二第一号イ(1))。
Q. 第二号の構造計算では、どの荷重の組合せを用いるか。
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A. 土石等の移動による衝撃の作用時はG+P+Sm、堆積による土圧の作用時はG+P+Sa。多雪区域ではそれぞれ0.35Sを加える。材料強度によって計算した耐力を超えないことを確かめる。
令第80条の3の対象・区域の考え方は土砂災害特別警戒区域内の建築物の構造規制、ほかの告示は告示の一覧と技術的助言・告示の記事一覧から探せます。
参照
- 土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物の外壁等の構造方法並びに当該構造方法を用いる外壁等と同等以上の耐力を有する門又は塀の構造方法を定める件(平成13年3月30日 国土交通省告示第383号・改正 平成19年5月18日国土交通省告示第624号/平成19年6月20日施行)第一〜第五
- 建築基準法施行令 第80条の3(土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物の構造方法)
- 建築基準法施行令 第84条(固定荷重)・第85条(積載荷重)・第86条(積雪荷重)・第3章第8節第4款(材料強度)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律 第9条