トレーラーハウスは建築物になる?随時かつ任意に移動できるかの判断(平成9年住指発第170号)
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ルート君
タイヤが付いてるトレーラーハウスなら、建築じゃないってこと?
トレーラーハウスのうち、規模・形態・設置状況等から判断して随時かつ任意に移動できるものは、建築基準法第2条第1号に規定する建築物には該当しないものとして取り扱われます。
逆に、移動できるとは認められないものは建築物になり、構造耐力(法第20条)等の規定がかかります。
トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて(平成9年3月31日 住指発第170号)記
「トレーラーハウスのうち、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況(給排水、ガス・電気の供給又は冷暖房設備、電話等の設置が固定された配管・配線によるものかどうか、移動の支障となる階段、ポーチ、ベランダ等が設けられているかどうかなど)等から判断して、随時かつ任意に移動できるものは、建築基準法第2条第一号に規定する建築物には該当しないものとして取り扱うこと。」
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トレーラーハウスとは何を指すのか
住指発第170号は、トレーラーハウスを車輪を有する移動型住宅で、原動機を備えず牽引車により牽引されるものと定義しています。
この通達は、キャンプ場でトレーラーハウスを利用する例が増え、建築基準法上の取扱いについて疑義を生じている向きもあるとして出されたものです。
ここで問われているのは、法第2条第1号の建築物の要件のうち土地に定着する工作物かどうかです。
何を見て「移動できる」と判断するのか
住指発第170号は、判断の観点を3つ挙げています。
| 観点 | 通達が挙げている中身 |
|---|---|
| 規模 | 床面積、高さ、階数等 |
| 形態 | (例示なし) |
| 設置状況 | 給排水、ガス・電気の供給又は冷暖房設備、電話等の設置が固定された配管・配線によるものかどうか/移動の支障となる階段、ポーチ、ベランダ等が設けられているかどうか など |
車輪が付いているかどうかだけで決まるのではなく、つなぎ方と周りの造りまで見るという組み立てです。
建築物として取り扱われるのはどんなものか
日本建築行政会議の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」は、バス、キャンピングカー及びトレーラーハウス等の車両を住宅・事務所・店舗等として使用するもののうち、土地への定着性が確認できるものを法第2条第1号の建築物として取り扱うとしています。
| 建築物として取り扱う例 |
|---|
| 随時かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの |
| 給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等を接続する方式が、簡易な着脱式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの |
| その他、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの |
着脱式かどうかの線引きが工具を要さずに取り外すことが可能な方式かどうかに置かれているところが要点です。
また、設置時点では建築物に該当しない場合であっても、その後の改造等を通じて土地への定着性が認められるようになった場合は、その時点から当該工作物を建築物として取り扱うことが適切である、とされています。
「移動できるとは認められない」の該当例は何か
同じ適用事例の解説は、「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」の該当例を挙げています。
| 該当例 |
|---|
| 車輪が取り外されているもの、又は車輪は取り付けてあるがパンクしているなど走行するために十分な状態に車輪が保守されていないもの |
| 上部構造が車輪以外のものによって地盤上に支持されていて、その支持構造体が容易に取り外すことができないもの(支持構造体を取り外すためにはその一部を用具を使用しなければ取り外しができない場合等) |
| 敷地内に、トレーラーハウス等を移動するための通路(支障なく移動することが可能な構造〔勾配、幅員、路盤等〕を有し、設置場所から公道に至るまで連続しているもの)がないもの |
上部構造を車輪以外で支持していると、荷重の伝わり方が車両ではなく建築物のそれに近づきます。
通路の要件に勾配・幅員・路盤等と公道に至るまで連続が入っているのは、動かせる状態が実際に確保されているかを見るためです。
建築物の定義は、学科試験でも問われやすい分野です。学習の進め方は、スタディングの評判もあわせてご覧ください。
昭和62年の回答では何が決め手だったのか
この扱いの出発点は、浦和市からの照会に対する昭和62年12月1日 住指発第419号の回答です。
市が建築物に該当すると考えた理由は、次のとおりでした。
トレーラーハウスに関する建築基準法の取扱いについて(昭和62年12月1日 住指発第419号)(照会)の理由
「一 当該物件は、台車状のものが9台並列されたものの上に建築されているが、駆動装置を有せず、各台車の前部が鉄柱状のもの及び木柱状のもので、支持されていることから、随時かつ任意に移動することができないため、土地に定着する工作物に該当する。」
「二 屋根及び柱を有している。」
「三 建築物としての用途(ビリヤード、住宅及び事務所)に供することが予定されており、長期間存置されることが見込まれる。」
(回答)「貴見のとおりである。」
決め手は、駆動装置を有しないことと、台車の前部が鉄柱状のもの及び木柱状のもので支持されていたことです。
車輪以外のもので支えた時点で動かせなくなる、という見方が、後の適用事例の「上部構造が車輪以外のものによって地盤上に支持されて…」につながっています。
建築物になったら何がかかるのか
建築物として取り扱われれば、建築確認の手続が必要になり、構造耐力(法第20条)や建築材料の品質(法第37条)等の規定に適合させることになります。
同じ「随時かつ任意に移動できるか」で分かれる例として、コンテナを利用した建築物があります。
コンテナは移動できない状態で継続的に使う前提なので建築物に該当する側から出発し、トレーラーハウスは移動できるなら該当しない側から出発するという違いです。
試験・実務で押さえるポイント
- トレーラーハウス=車輪を有する移動型住宅で、原動機を備えず牽引車により牽引されるもの(住指発第170号)。
- 規模(床面積、高さ、階数等)・形態・設置状況等から判断して随時かつ任意に移動できるものは、法第2条第1号の建築物に該当しないものとして取り扱う。
- 設置状況では、配管・配線が固定されたものかどうか、移動の支障となる階段・ポーチ・ベランダ等があるかどうかを見る。適用事例は着脱式の線を工具を要さずに取り外すことが可能な方式に置いている。
- 移動できるとは認められない例=車輪の取り外し・パンク等/上部構造を車輪以外のもので地盤上に支持し支持構造体が容易に取り外せない/公道に至るまで連続する移動用の通路がない。
- 設置時点で該当しなくても、その後の改造等で土地への定着性が認められれば、その時点から建築物として取り扱う。
- 建築物に該当すれば、構造耐力(法第20条)・建築材料の品質(法第37条)等がかかる。
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一問一答
Q. トレーラーハウスは建築基準法の建築物に該当するか。
答えを見る
A. 規模・形態・設置状況等から判断して随時かつ任意に移動できるものは、法第2条第1号の建築物には該当しないものとして取り扱う(平成9年3月31日 住指発第170号)。移動できるとは認められないものは建築物として扱われる。
Q. 配管・配線の接続はどこが線引きになるか。
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A. 適用事例では、接続する方式が簡易な着脱式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないものを、建築物として取り扱う例に挙げている。
Q. 車輪が付いていれば建築物にならないか。
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A. 車輪の有無だけでは決まらない。パンクしているなど走行するために十分な状態に保守されていないもの、上部構造が車輪以外のものによって地盤上に支持されていて支持構造体が容易に取り外せないもの、移動用の通路がないものは、随時かつ任意に移動できるとは認められないものの該当例とされている。
Q. 設置したときは建築物でなかったが、後からデッキを付けた場合はどうなるか。
答えを見る
A. 設置時点では該当しない場合であっても、その後の改造等を通じて土地への定着性が認められるようになった場合は、その時点から当該工作物を建築物として取り扱うことが適切であるとされている。
移動できない側の扱いはコンテナを利用した建築物、仮設の扱いは仮設建築物の構造規定で扱っています。ほかの記事は総則・第20条の記事一覧から探せます。
参照
- トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて(平成9年3月31日 住指発第170号)
- トレーラーハウスに関する建築基準法の取扱いについて(昭和62年12月1日 住指発第419号)=浦和市都市計画部長からの照会と回答
- 日本建築行政会議「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」1-1(1)建築物の定義/車両を利用した工作物・コンテナ
- 建築基準法 第2条第1号(建築物)・第20条(構造耐力)・第37条(建築材料の品質)