Ai分布とは?上階ほど地震力が大きくなる理由と算定式(令第88条)

ルート君

Ai分布って、何のための係数なの?

Ai(地震層せん断力係数の高さ方向分布係数)は、上階ほど地震力が大きくなることを表す係数です。

建築基準法施行令 第88条第1項(地震力の高さ方向分布)

Aiはi階の地震層せん断力係数の分布係数として、(中略)建築物の振動特性を考慮して一階から最上階に向けて段階的に増大するよう定めるものとする。

Aiは何を表す係数なのか

Ai分布は、建築物の各階に作用する地震力の高さ方向の分布を表す係数です。

令第88条第1項に規定されており、上階になるほどAiが大きくなるため、上階の層せん断力係数Ciも大きくなります。

Aiはどんな式で計算するのか

  • Ai = 1 + (1/√αi - αi) × 2T/(1+3T) で表されます(告示第1793号)。
  • αiは、i階以上の重量の合計を建築物全体の重量で割った値です(上階ほど小さい値)。
  • αiが小さい(上階)ほどAiが大きくなります。

なぜ上階ほどAiが大きくなるのか

αiの傾向Aiの傾向
1階1.0(全重量を支持)1.0(最小)
中間階0.5前後1.0を超える値
最上階最小(その階のみの重量比)最大
  • 1階のAiは常に1.0であるため、1階の層せん断力係数Ci = Z × Rt × 1.0 × C0 = Z × Rt × C0 になります。
  • 上階のAiが大きくなる理由は、地震動が上部に鞭打ち効果として増幅されることを反映しています。

なぜAi分布という規定が設けられているのか

各階の質量に比例して地震力を均等配分するだけでは、実際の動的応答を過小評価します。

実際の建築物では地震時に上の階ほど揺れが増幅される「鞭打ち効果」が生じており、Ai分布はこの現象を設計計算に取り込むための規定です。

なぜ1階のAiが1.0に固定されているかというと、1階のαiは建物全体の重量 ÷ 全体重量 = 1.0 となるため、算定式から必ずAi = 1.0が導かれます。

1階には鞭打ち増幅がない、という考え方です。

また、固有周期Tが長い建築物ほどAi分布の偏りが大きくなります。

算定式の 2T/(1+3T) という項がTの増加に応じて大きくなるため、高層・軟構造の建築物ほど上層の設計地震力が相対的に増大します。

試験で問われやすいポイント

  • 平成30年 学科4 問77(選択肢3正):Aiは建築物の上層になるほど数値が増大する。1階が最小(Ai = 1.0)で最上階が最大。「1階のAiが最大」や「全階同一」とする誤答が出題される。
  • 1階のAi = 1.0(常に固定値):1階のαi = 1.0(全重量支持)から導かれる計算結果。このため1階のCiはZ × Rt × C0(Aiの増幅なし)。
  • Ai分布は建築物の固有周期Tの影響も受ける:Tが長い(柔らかい・高い建築物)ほど高さ方向の分布の偏りが大きくなる(算定式の2T/(1+3T)の項が大きくなる)。

一問一答

Q. 令第88条第1項のAi分布において、1階のAiはいくつか。

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1.0(常に固定)。1階のαi = 1.0(その階以上の全重量 ÷ 全重量)のため、計算式により必ずAi = 1.0となる(令第88条第1項・告示第1793号)。

Q. Aiが大きいのは1階と最上階のどちらか(令第88条第1項)。

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最上階のほうが大きい。上階になるほどAiが増大し、最上階で最大値となる。上部の鞭打ち効果(whipping effect)を反映している(平成30年 学科4 問77)。

Q. αiが0.2の階と0.8の階では、どちらのAiが大きいか。

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αi = 0.2(上階)のほうがAiが大きい。Aiの計算式でαiが小さいほどAiが大きくなる(αiとAiは逆方向)(告示第1793号)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第88条第1項(Ai分布)
  • 昭和55年建設省告示第1793号(Ai分布の算定式)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。