昭和55年建設省告示第1793号とは?Z・Rt・Ai分布の算定方法と地盤種別(令第88条)
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ルート君
地震力の式に出てくるZ・Rt・Aiって、どの告示で決まっているの?
昭和55年建設省告示第1793号とは、地震力の算定に用いる地震地域係数Zの数値、振動特性係数RtとAi分布を算出する方法、及び地盤が著しく軟弱な区域として特定行政庁が指定する基準を定めた告示です(令第88条の委任)。
正式な件名は「建築基準法施行令第88条第1項、第2項及び第4項の規定に基づくZの数値、Rt及びAiを算出する方法並びに地盤が著しく軟弱な区域として特定行政庁が指定する基準を定める件」です(最終改正:平成19年国土交通省告示第597号)。
建築基準法施行令 第88条第1項(地震力)
各階の地震層せん断力係数 Ci = Z(地震地域係数)× Rt(振動特性係数)× Ai(層せん断力係数の高さ方向分布)× C0(標準せん断力係数)。このうち Z・Rt・Ai の具体的な数値・算定方法を告示第1793号が定める。
告示第1793号がどこから委任されているかを整理すると、次の階層になります。法第20条(構造耐力の基本原則)が施行令第88条に、さらに施行令が告示第1793号に、地震力の係数の算定方法を順に委任する形です。
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告示第1793号は何を定めているのか(全体像)
告示第1793号は、令第88条が定める地震力の算定式のうち、3つの係数の具体的な数値・算定方法と、1つの区域指定基準をまとめて定めています。
| 定める内容 | 根拠(令第88条) | 概要 |
|---|---|---|
| 地震地域係数Z | 第1項 | 地域ごとの数値(0.7〜1.0) |
| 振動特性係数Rt | 第2項 | 固有周期Tと地盤種別(特性周期Tc)に応じた算定方法 |
| Ai分布 | 第1項 | 層せん断力係数の高さ方向分布の算定式 |
| 地盤が著しく軟弱な区域 | 第4項 | 特定行政庁が指定する際の基準 |
地震地域係数Zの数値はどう定められているのか
地震地域係数Zは、地域ごとの地震活動の程度に応じて0.7以上1.0以下の範囲で定められています(令第88条第1項)。告示第1793号が地域別の原則値を定め、特定行政庁は条例等でこれと異なる値を定めることができます。
| Z値 | 地域の例 |
|---|---|
| 1.0 | 北海道・東北・関東・東海・近畿・四国・九州等の大部分の地域 |
| 0.9 | 北海道の一部(札幌市等) |
| 0.8 | 山口・福岡・佐賀・長崎、北海道・熊本・大分・鹿児島の各一部 |
| 0.7 | 沖縄県(地震活動が相対的に少ない地域) |
Zは地震層せん断力係数Ciの先頭に乗じる係数です。地域別数値の背景・見直しの動きは地震地域係数Zとはで詳しく解説しています。
振動特性係数Rtはどう算定するのか
Rtは、建築物の弾性域における固有周期Tと地盤の種別に応じて定める係数で、長周期の建物ほど値が小さくなります(令第88条第2項)。固有周期Tの略算式と、地盤種別ごとの特性周期Tcは次のとおりです。
| 構造種別 | 固有周期Tの略算式 |
|---|---|
| RC造・SRC造 | T = h × 0.02(hは建築物の高さ(m)) |
| 鉄骨造・木造 | T = h × 0.03 |
| 地盤種別 | 特性周期Tc |
|---|---|
| 第一種地盤(岩盤・硬質地盤) | 0.4秒 |
| 第二種地盤(一般的な地盤) | 0.6秒 |
| 第三種地盤(軟弱地盤) | 0.8秒 |
| 条件 | Rtの算定式 |
|---|---|
| T ≤ Tc | Rt = 1.0 |
| Tc < T ≤ 2Tc | Rt = 1 − 0.2 ×(T/Tc − 1)² |
| T > 2Tc | Rt = 1.6 × Tc / T |
詳しい考え方(共振と地盤種別の関係)は振動特性係数Rtとはを参照してください。
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Ai分布の算定式はどうなっているのか
Aiは、各階の地震層せん断力係数の高さ方向の分布を表す係数で、上階になるほど大きくなります(令第88条第1項)。告示第1793号では次の式で定められています。
Ai分布の算定式(告示第1793号)
Ai = 1 +(1/√αi − αi)× 2T /(1 + 3T)
αi = i階が支える重量(i階以上の重量の合計)÷ 地上部分の全重量。上階ほどαiは小さくなり、Aiは大きくなる。1階は αi = 1.0 となるため Ai = 1.0(固定)。
上階ほどAiが大きくなる理由(鞭打ち効果)と計算例はAi分布とはで解説しています。
地盤が著しく軟弱な区域とは何か(第4項)
告示第1793号は、令第88条第4項に基づき、地盤が著しく軟弱な区域として特定行政庁が指定する際の基準も定めています。指定された区域では、木造建築物について必要壁量の割増し(令第46条)などが求められ、地震に対する安全性が上乗せされます。
実際にどの区域が指定されているかは特定行政庁ごとに異なるため、建築地の条例・指定状況を確認する必要があります。
なぜ告示第1793号が存在するのか
令第88条は地震力を「Ci = Z × Rt × Ai × C0」という式で規定していますが、法令の条文本体には各係数の具体的な数値や算定式までは書き込まれていません。
地域別のZ値、地盤種別ごとのRtの算定方法、高さ方向分布Aiの式といった技術的な数値を、機動的に定め・改正できるように、告示に委任しているのが告示第1793号です。地震地域係数の見直しのように、知見の更新を法改正より柔軟に反映できる仕組みになっています。
試験で問われやすいポイント
- 地震層せん断力係数の式:Ci = Z × Rt × Ai × C0。このうち Z・Rt・Ai の数値・算定方法を定めるのが告示第1793号(令第88条)。
- 地盤種別と特性周期Tc:第一種 0.4秒/第二種 0.6秒/第三種 0.8秒。固有周期の略算式は RC・SRC造で 0.02h、鉄骨造・木造で 0.03h。
- Zの数値範囲:0.7以上1.0以下(最小0.7は沖縄県)。特定行政庁は告示と異なる値を定めることができる。
- Ai:1階が最小(Ai = 1.0)で上階ほど増大。固有周期Tが長い建築物ほど高さ方向の偏りが大きい。
荷重・外力や地震力の算定は、建築士試験の構造でも頻出の分野です。学習の進め方は、建築士の通信講座の選び方もあわせてご覧ください。
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一問一答
Q. 地震地域係数Z・振動特性係数Rt・Ai分布は、どの告示で定められているか。
答えを見る
A. 昭和55年建設省告示第1793号(令第88条の委任)。Zの数値、Rtの算定方法、Aiの算定式、地盤が著しく軟弱な区域の指定基準をまとめて定めている。
Q. 第二種地盤の特性周期Tcは何秒か(告示第1793号)。
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A. 0.6秒。第一種 0.4秒、第二種 0.6秒、第三種 0.8秒。建築物の固有周期TがこのTc以下なら Rt = 1.0。
Q. Ai分布において1階のAiはいくつか。
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A. 1.0(固定)。1階は αi = 1.0(全重量を支持)となるため、算定式により必ず Ai = 1.0 となる。上階ほどAiは大きくなる。
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参照
- 建築基準法施行令 第88条(地震力/Ci=Z・Rt・Ai・C0)
- 昭和55年建設省告示第1793号(Zの数値・Rt及びAiを算出する方法・地盤が著しく軟弱な区域の指定基準/最終改正 平成19年国土交通省告示第597号)
- 建築基準法施行令 第46条(木造の必要壁量・軟弱地盤区域の割増し)