積載荷重とは?3通りの数値の理由と柱・基礎への低減規定(令第85条)
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ルート君
積載荷重って、なんで3通りの数値があるの?
積載荷重の数値は、床の計算用・大梁の計算用・地震力の計算用の3種類が定められています。
建築基準法施行令 第85条第1項(積載荷重)
建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。
ただし、(中略)次の表の数値を使用することができる。
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積載荷重が3通りある理由は何か(令第85条第1項)
積載荷重は、建築物に常時または一時的に作用する人・家具・物品の重量です。
令第85条第1項の表に、室の用途別に「床の計算」「大梁・柱・基礎の計算」「地震力の計算」の3通りの数値が定められています。
支持する床数が多い柱・基礎では、積載荷重の低減規定(令第85条第2項)を適用することができます。
- 「床の計算」:局所的な集中を考慮して大きい値を設定しています。
- 「大梁・柱・基礎の計算」:広い範囲に荷重が分散されることを考慮して床より小さい値です。
- 「地震力の計算」:慣性力の算定に用いるため、さらに小さい値になっています。
積載荷重の3通りの数値については、国土交通省「建築構造設計基準の資料」(下図)でも示されています。
柱・基礎の積載荷重はどう低減するのか(令第85条第2項)
建築基準法施行令 第85条第2項(積載荷重の低減)
柱又は基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合においては、前項の表の(ろ)欄の数値は、その支える床の数に応じて、これに次の表の数値を乗じた数値まで減らすことができる。ただし、同項の表(五)に掲げる室の床の積載荷重については、この限りでない。
| 支える床の数 | 低減率 |
|---|---|
| 2 | 0.95 |
| 3 | 0.9 |
| 4 | 0.85 |
| 5 | 0.8 |
| 6 | 0.75 |
| 7 | 0.7 |
| 8 | 0.65 |
| 9以上 | 0.6 |
低減は(ろ)欄(大梁・柱・基礎用)の数値に対して行います。ただし表(五)(劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場等の客席・集会室)の積載荷重は低減できません(令第85条第2項ただし書き)。
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倉庫・車庫の積載荷重はどう扱うのか(令第85条第1項・第3項)
- 倉庫業を営む倉庫の床の積載荷重は、令第85条第3項により、第1項で実況に応じて計算した値が1㎡につき3,900N未満の場合でも3,900N/m²としなければなりません。
- 自動車車庫及び自動車通路の床は、令第85条第1項の表(六)に定められ、床版用5,400N/m²・大梁柱基礎用3,900N/m²・地震力用2,000N/m²です。
廊下・玄関・階段の積載荷重はどう決めるのか(令第85条第1項の表(七))
廊下・玄関・階段には固有の数値がなく、連絡する室の用途に応じて決めるのが原則です。
ただし教室・百貨店の売場・劇場等の客席に連絡する廊下・玄関・階段は、群集が一時に集中する動線とみなして割り増した数値を用います。
建築基準法施行令 第85条第1項の表(七)(廊下・玄関・階段)
廊下、玄関又は階段のうち、(三)から(五)までに掲げる室(教室・百貨店等の売場・劇場等の客席等)に連絡するものにあつては、(五)の「その他の場合」の数値による。
(五)「その他の場合」=固定席でない客席(立見等)の数値は、床版用3,500N/m²・大梁柱基礎用3,200N/m²・地震力用2,100N/m²です。
授業終了後の廊下やバーゲン時の階段のように、人が一時に集まる場面を見込んだ割増しです。
| 部位 | 区分(連絡する室・用途) | 用いる積載荷重(床版/大梁柱基礎/地震力・N/m²) |
|---|---|---|
| 廊下・玄関・階段(表(七)) | 住宅の居室・事務室など一般の室に連絡 | 連絡する室の数値による |
| 教室・百貨店の売場・劇場等の客席に連絡 | 3,500 / 3,200 / 2,100 | |
| 屋上広場・バルコニー(表(八)) | 一般 | 住宅の居室と同じ 1,800 / 1,300 / 600 |
| 学校・百貨店の用途 | 百貨店の売場と同じ 2,900 / 2,400 / 1,300 |
屋上広場・バルコニー(表(八))も同じ考え方で、原則は住宅の居室並みですが、学校・百貨店では百貨店の売場並みの数値になります。
なぜ柱・基礎の積載荷重は低減できるのか
複数の床を支える柱や基礎では、すべての床が同時に最大荷重になる確率は低いとみなせます。
10階建ての建物でフロア全体が同時に満員になることは現実にはほぼ起きません。
この確率論的な考え方に基づいて、支える床の数が多いほど荷重の組み合わせで使う積載荷重を低減できる規定が設けられています。
一方、劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場などの客席・集会室(表(五))は、多数の人が同時に集まることが想定されます。
「偶然には最大にならない」という前提が成り立たないため、これらの室の積載荷重には低減規定が適用できません(令第85条第2項ただし書き)。
試験で問われやすいポイント
- 平成30年 学科3 問51:柱が支える床の数に応じた低減係数の適用が出題。令第85条第2項の表(支える床2枚 → 0.95、4枚 → 0.85、9枚以上 → 0.6)。「低減せずにそのまま使う」とする選択肢が誤りとして出題された。
- 低減できないのは表(五)の劇場・映画館・集会場等の客席・集会室(令第85条第2項ただし書き)。「劇場の客席でも低減係数を使える」とする選択肢は誤り。
- 倉庫業を営む倉庫の床は令第85条第3項により3,900 N/m² 以上。自動車車庫及び自動車通路の床は令第85条第1項の表(六)で床版用5,400 N/m²(大梁柱基礎用3,900・地震力用2,000)。これらの数値は居室より大幅に大きく出題頻度が高い。
- 教室・百貨店の売場・劇場等の客席に連絡する廊下・玄関・階段は、表(五)「その他の場合」の割増値(床版用3,500 N/m²・大梁柱基礎用3,200・地震力用2,100)を用いる(令第85条第1項の表(七))。「連絡する室と同じ数値でよい」とする選択肢は誤り。
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一問一答
Q. 令第85条第2項の低減係数の表で、柱が支える床が4枚の場合の低減率はいくつか。
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0.85。支える床ごとに2枚:0.95、3枚:0.9、4枚:0.85、5枚:0.8…9枚以上:0.6と段階的に下がる(令第85条第2項)。
Q. 劇場の客席(表(五))の積載荷重に令第85条第2項の低減係数を適用できるか。
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できない。令第85条第2項ただし書きにより、表(五)の劇場・映画館・集会場等の客席・集会室は低減の対象外。
Q. 百貨店の売場に連絡する階段の床版用の積載荷重はいくつか(令第85条第1項)。
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3,500 N/m²。教室・百貨店の売場・劇場等の客席に連絡する廊下・玄関・階段は、表(五)「その他の場合」の数値(床版3,500/大梁柱基礎3,200/地震力2,100)による(表(七))。連絡する室と同じ数値ではない点に注意。
Q. 倉庫業を営む倉庫の床の積載荷重の下限は何N/m²か(令第85条第3項)。
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3,900 N/m²。実況に応じて計算した値がこれ未満でも3,900N/m²とする。自動車車庫の床版用は5,400 N/m²(令第85条第1項の表(六))。住宅の居室(1,800 N/m²)や教室(2,300 N/m²)より大幅に大きい。
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参照
- 建築基準法施行令 第85条(積載荷重)
- 建築基準法施行令 第82条(許容応力度計算の方法)