重いものを置くと床は抜ける?住宅の床の積載荷重と集中荷重の考え方(令第85条)
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ルート君
ピアノとか大きな水槽とか、重いものを置きたいんだけど…床って抜けたりしないの?
住宅の居室の床は、令第85条の積載荷重(床の計算用で1平方メートルあたり1,800N=約180kg)以上に耐えるように設計されています。
一般的な家具やピアノ程度で、床が抜けることは基本的にありません。
ただし注意したいのは、「1平方メートルあたりの荷重(等分布荷重)」と「重いものが1点に集中する荷重(集中荷重)」は別物だという点です。
数値を満たしていても、脚1点への集中や、古い家での床組の劣化がある場合は別で、その部分の床が局所的にたわむ可能性があります。
建築基準法施行令 第85条第1項(積載荷重)
建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、(中略)室の種類に応じて次の表の数値を使用することができる。
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住宅の床はどれだけの重さに耐える設計か(令第85条・積載荷重)
令第85条第1項の表には、室の用途ごとに積載荷重が定められています。住宅の居室では、次の3通りの数値が使われます。
単位はN/㎡(1平方メートルあたりのニュートン)です。1Nは約0.1kgなので、1,800N/㎡は約180kg/㎡が目安になります。
| 室の種類 | 床の計算用(い) | 大梁・柱・基礎の計算用(ろ) | 地震力の計算用(は) |
|---|---|---|---|
| 住宅の居室(住宅以外の寝室・病室を含む) | 1,800N/㎡(約180kg/㎡) | 1,300N/㎡(約130kg/㎡) | 600N/㎡(約60kg/㎡) |
床の計算用の値が一番大きいのは、狭い範囲に人や物が集中することをあらかじめ見込んでいるためとされています。
3通りの数値の意味と低減の仕組みは、積載荷重の種類と低減でまとめています。
住宅の床は、1平方メートルあたり約180kg(1,800N)の重さが一様にかかることを前提に設計されています。
この値が、置きたいものの重さと接地面積を照らし合わせる目安になります。
「1㎡あたり180kg」と「重いものが1点にかかる荷重」は同じか(集中荷重)
積載荷重の数値は「床に一様に広がってかかる重さ(等分布荷重)」を表します。
一方、ピアノの脚・水槽・本棚・金庫などは狭い面積に重さが集中する荷重(集中荷重)で、性格が異なります。
| 置くもの(例) | 重さの目安 | 荷重のかかり方 |
|---|---|---|
| アップライトピアノ | 約200〜250kg | 脚・キャスターの数点に分かれてかかる |
| グランドピアノ | 約250〜400kg | 3本脚の1点に集中しやすい |
| 90cmクラスの水槽(水・機材込み) | 約200〜250kg | 水槽台の底面でほぼ均等にかかる |
| 壁一面の本棚(蔵書) | 数百kgになることも | 狭い設置面に長時間かかり続ける |
同じ重さでも、床全体で受けるか脚の数点で受けるかで、床への負担のかかり方は変わります。
同じ重さでも、接地面積によって床への効き方が変わります。
例えば200kgのものでも、1平方メートルに広く分散すれば約200kg/㎡で、床用の値(約180kg/㎡)に近い水準です。
これが小さな脚1点に集中すると、その一点だけを見れば積載荷重の目安を大きく超えます。
逆に、厚い板などで面に分散させれば、局所の集中はやわらぎます。
実際に床が抜けることはあるのか(新しい家・古い家・床組)
現行の基準で建てられた住宅は、積載荷重に余裕をみて設計されているのが通常です。
一般的な家具や上記程度の重量物を置いて床が「抜ける」ことは、まれです。
ただし、次のような場合は、局所的なたわみに注意が必要です。
- 古い家・経年劣化:床組の根太・大引・床束の腐食やシロアリ被害があると、想定した耐力を確保できていないことがあります。
- 局所への集中:脚1点に集中する重量物を、床組の弱い位置(根太の間など)に置くと、その部分だけがたわむ可能性があります。
- 床組の仕様:根太のスパンが大きい、剛床でないなど、床の造り方によって局所の強さは変わります。
なお、部屋を倉庫のように使う・用途変更する場合は、積載荷重の前提そのものが変わります。
倉庫業を営む倉庫の床は3,900N/㎡が下限になるなど、扱いが異なります。くわしくは倉庫利用に変更する場合の積載荷重を参照してください。
置くものに合わせて床の積載荷重を大きくできるのか(令第85条第1項本文)
令第85条第1項本文は、積載荷重を「実況に応じて計算」することを原則としています。
表の数値は、その計算を省くときに使える最低限の値にすぎません。
そのため、置くものが決まっているなら、次の2通りの対応があります。
いずれの場合も、その床が実際にその荷重を負担できるかは、床組・スパン・下地の状態によって変わります。
試験・実務で問われやすいポイント
- 住宅の居室の床用積載荷重:令第85条第1項の表で1,800N/㎡(床の計算用)。大梁・柱・基礎用1,300N/㎡、地震力用600N/㎡と、対象範囲が広いほど小さい値になる。
- 等分布と集中の区別:積載荷重は㎡あたりの等分布荷重であり、脚1点にかかる集中荷重とは別に考える。接地面積で床への効き方が変わる。
- 実況に応じた計算:令第85条第1項本文は「実況に応じて計算」が原則で、表の数値はあくまで最低限使える値。重量物が決まっているなら大きくとる。
- 用途による違い:倉庫・書庫など積載の大きい用途は別の数値(例:倉庫業を営む倉庫の床3,900N/㎡)。用途変更では積載荷重の前提が変わる。
荷重の考え方は、試験でも実務でも「等分布と集中」「用途別の値」で差がつきます。効率よく学べる講座は、建築士講座の費用の比較で比較しています。
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一問一答
Q. 住宅の居室の床の積載荷重(床の計算用)はいくらか(令第85条)。
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1,800N/㎡(約180kg/㎡)。令第85条第1項の表で、住宅の居室(住宅以外の寝室・病室を含む)の床の計算用に定められた値。大梁・柱・基礎の計算用は1,300N/㎡、地震力の計算用は600N/㎡で、対象とする範囲が広いほど小さくなる。
Q. 「1㎡あたり180kg」を満たしていれば、ピアノなど重いものを置いても床は必ず大丈夫か。
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必ずとはいえない。積載荷重は床に一様にかかる等分布荷重の値で、ピアノの脚など1点に集中する集中荷重は別に考える必要がある。接地面積が小さいほど局所の負担は大きくなる。逆に厚い板などで面に分散させれば局所の集中はやわらぐ。古い家や床組の劣化がある場合は特に注意する。
Q. 決まった重量物を置くために、積載荷重を大きくして設計することはできるか。
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できる。令第85条第1項本文は「実況に応じて計算」が原則で、表の数値は最低限使える値にすぎない。置くものが決まっているなら、その室の床の積載荷重を大きくとって床組・梁を設計しておくのが確実。既存の床では合板・敷き板による分散や根太・大引・床束の補強で対応する。
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参照
- 建築基準法施行令 第85条第1項(積載荷重・室の種類別の数値/実況に応じた計算)
- 建築基準法施行令 第85条第2項(柱・基礎の積載荷重の低減)
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課「建築構造設計基準の資料」(令和3年改定)表4.1 積載荷重