住宅を事務所に用途変更すると確認申請は必要?積載荷重の増加と構造(法第87条・令第85条)

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ルート君

戸建ての住宅を事務所にして使いたいんだけど、用途変更の確認申請っているの?

住宅を事務所に用途変更する場合、用途変更の確認申請は原則として不要です(法第87条)。

住宅も事務所も特殊建築物ではないため、法第87条が確認申請を求める「特殊建築物への用途変更」に当たらないからです。

ただし、事務室は住宅の居室より積載荷重(令第85条)が大きく、確認が不要でも構造の安全性は確かめておく必要があります。

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建築関係法令集 法令編

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用途変更と積載荷重は条文を行き来して読むことになります。法令集が手元に一冊あると確実です。

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住宅から事務所への用途変更は確認申請が必要か

用途変更で確認申請が必要になるのは、法第87条第1項により、用途変更後に法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途部分の床面積が200㎡超)になる場合です。

変更前後の用途 特殊建築物か 確認申請
住宅 該当しない 原則 不要
事務所 該当しない

住宅も事務所も特殊建築物ではありません。どちらにも当てはまらない用途どうしの変更なので、用途変更そのものでは確認申請を要しません。

事務所を店舗(物品販売業を営む店舗)に用途変更する場合は、店舗が特殊建築物にあたるため200㎡超で確認申請が必要になり、結論が変わります。「変更後の用途が特殊建築物かどうか」が分かれ目です。

なお、ここでの「用途変更」は完成した建物の使い方を後から変えることを指します。確認申請の後から工事完了までの間に住宅を事務所仕様へ設計変更する場合は、用途変更ではなく計画変更確認(工事中の設計変更)にあたり、別の手続きです。「完成後か、工事中か」で扱いが分かれます。

確認が不要でも構造はそのままでよいのか

確認申請が不要でも、用途変更で建物の使い方が変わる以上、構造への影響は確かめておく必要があります。

用途変更では構造耐力(法第20条)の規定は遡及しません。既存の構造は既存不適格のまま扱われます。

しかし、事務所は人や什器、書類などの荷重が住宅より大きくなりやすく、設計時に想定した積載荷重を超える使い方になると、既存の柱・はり・基礎に余裕がなくなることがあります。

住宅と事務所で積載荷重はどれだけ変わるのか(令第85条)

住宅の居室と事務室では、積載荷重(令第85条)が次のように変わります。

計算の種類 住宅の居室 事務室
床の構造計算用 1800 2900
大ばり・柱・基礎の構造計算用 1300 1800
地震力の計算用 600 800

単位はいずれもN/㎡です。いずれの計算用でも、事務室のほうが住宅の居室より大きくなります。各用途の数値の一覧は積載荷重の種類と室の用途(令第85条)で整理しています。

構造で確認しておくことは何か

確認申請が不要な住宅から事務所への用途変更でも、次の点は確かめておきたいところです。

  • 事務室として使う部分の床・大ばり・柱・基礎が、増えた積載荷重に対して余裕があるか
  • 大きな書庫やサーバー室など、事務室の値(1800・2900)をさらに超える使い方をしないか
  • 間仕切りの撤去など、用途変更にともなう改修が大規模の修繕・模様替に当たらないか(当たれば別途確認申請の対象)

書庫など特に重い室は令第85条で別に高い値が定められているため、用途の中身によっては事務室の値では足りない場合があります。

試験で問われやすいポイント

  • 用途変更の確認申請(法第87条)が必要になるのは、変更後に法第6条第1項第一号の特殊建築物(200㎡超)になる場合。
  • 住宅も事務所も特殊建築物ではないため、住宅から事務所への用途変更は原則として確認申請が不要。事務所→店舗(特殊建築物)とは結論が異なる。
  • 用途変更では法第20条は遡及しない。ただし積載荷重(令第85条)は住宅の居室より事務室が大きく、構造の自主確認が必要。

用途変更と積載荷重は、建築士試験でもよく問われる組み合わせです。学習の進め方は、建築士講座の費用の比較もあわせてご覧ください。

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一問一答

Q. 住宅を事務所に用途変更すると確認申請は必要か。

答えを見る

A. 原則として不要。用途変更の確認申請(法第87条)が必要なのは変更後に特殊建築物(200㎡超)になる場合で、住宅も事務所も特殊建築物ではないため該当しない。ただし関係規定への適合は必要。

Q. これは計画変更にはならないのか。

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A. ならない。計画変更確認(法第6条・規則第3条の2)は確認申請後〜工事完了前に設計を変える手続きで、用途変更(法第87条)は完成した建物の使い方を後から変えること。完成済みの住宅を事務所にするのは用途変更。建てている途中で住宅→事務所へ設計変更するなら計画変更にあたる。

Q. 確認申請が不要なら、構造はそのままでよいか。

答えを見る

A. 構造耐力(法第20条)は用途変更で遡及せず既存不適格のままだが、事務室は住宅の居室より積載荷重(令第85条)が大きい。床・大ばり・柱・基礎が増えた荷重に耐えるか、自主的に確認しておく必要がある。

Q. 住宅の居室と事務室で積載荷重はどう違うか。

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A. 令第85条で、床用は住宅の居室1800に対し事務室2900、大ばり・柱・基礎用は1300に対し1800、地震力用は600に対し800(単位N/㎡)。いずれも事務室のほうが大きい。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。用途変更の確認申請の要否や構造の取り扱いは個別の判断を要するため、所管行政庁・確認検査機関・構造設計者にご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法 第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)・第6条第1項第一号(特殊建築物)
  • 建築基準法施行令 第85条(積載荷重)
  • 建築基準法 第20条(構造耐力)・第3条第2項(既存不適格)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。