RC造の継手・定着とは?重ね長さ・定着長さの数値と継手位置の規定(令第73条)
ルート君
RC造の継手と定着って、どんなルールがあるの?
RC造の継手と定着の長さは令第73条に規定され、鉄筋径と設計基準強度によって必要長さが決まります。
鉄筋の継手と定着は、RC造の構造性能を左右する重要な接合部です。
令第73条に継手の種類・位置・長さ、および定着の長さが規定されています。
継手にはどんな種類があるのか
令第73条第1項に継手の種類が規定されています。
| 継手の種類 | 内容 |
|---|---|
| 重ね継手 | 鉄筋を並べて一定長さ以上を重ねる。最も一般的な方法。 |
| ガス圧接継手 | 鉄筋端面を加熱・加圧して接合する。D29以上の主筋に多用。 |
| 機械式継手 | スリーブ等を用いた機械的接合。高強度鉄筋・太径鉄筋に使用。 |
| 溶接継手 | 電気溶接による接合。施工精度の管理が必要。 |
重ね継手の長さはどう決まるのか
重ね継手の最小重ね長さは、令第73条第2項により、継手を設ける位置(引張力の大きさ)に応じて定められています。
| 継手を設ける位置 | 最小重ね長さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 引張力の最も小さい部分に設ける場合 | 主筋等の径(d)の25倍以上 | 令第73条第2項 |
| その他の部分に設ける場合 | 主筋等の径(d)の40倍以上 | 令第73条第2項 |
| 軽量骨材コンクリートの場合 | 上記の「25倍→30倍」「40倍→50倍」に読み替え | 令第73条第4項 |
径の異なる鉄筋をつなぐ場合は、細いほうの径を基準とします(令第73条第2項)。
継手はどこに設けなければならないのか
継手は応力が小さい箇所に設けることが令第73条の趣旨です。
- 柱主筋の継手:原則として柱の中間部(スパンの中央1/4区間)に設ける。
- はり主筋の継手:引張応力の小さいスパン中央付近(下端筋)または支点付近(上端筋)を避けた位置に設ける。
- 同一断面への継手の集中は避ける(断面の50%以内とする目安がある)。
定着長さはどう決まるのか(令第73条第3項)
令第73条第3項は、柱に取り付けるはりの引張鉄筋の定着長さを、柱の主筋に溶接する場合を除き、その径の40倍以上と定めています(軽量骨材の場合は50倍。第4項)。
| 区分 | 定着長さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 柱に取り付けるはりの引張鉄筋(仕様規定) | 径の40倍以上(柱主筋に溶接する場合を除く) | 令第73条第3項 |
| (参考)構造計算で用いる定着長さ | コンクリート強度Fcやフックの有無で変わる(フック付きは短縮)。詳細はRC規準等による | RC規準・告示 |
なぜ継手を引張応力の小さい位置に設けるのか
重ね継手は、鉄筋の力をコンクリートへの付着力で伝達する接合方法です。
引張力が大きい位置(はりの下端の中央付近など)に継手を設けると、付着力に過大な負荷がかかりスリップ(すべり)が生じやすくなります。
引張応力が小さい位置を選ぶことで、継手部に余裕をもって力を伝達できます。
また同一断面に継手を集中させると断面内の付着力分担が過大になるため、互い違いに分散させて断面内50%以下に収めることが基本とされています。
なぜルート3では継手規定が適用除外になるのか
令第36条第2項第一号により、保有水平耐力計算(ルート3)を採用すると令第73条(継手・定着)が適用除外となります。
これは構造計算により安全性を個別に確認するため、仕様規定による画一的な数値(25d以上等)を一律に課す必要がなくなるためです。
一方、令第79条(かぶり厚さ)は耐久性等関係規定であるためルート3でも除外されません。
「力学的な規定は計算で代替可能・耐久性は代替不可」という原則を理解すると適用除外の区別が整理できます。
試験で問われやすいポイント
- 令和3年 学科3 問51(選択肢3誤):保有水平耐力計算(ルート3)採用建築物では令第73条(継手・定着)が適用除外(令第36条第2項第一号)。「主筋継手の重ね長さは径の25倍以上にしなければならない」という記述は、ルート3採用時には誤り。令第79条(かぶり厚さ)は除外されない点と対比させて整理すること。
- 重ね継手:引張力の最も小さい部分は径の25倍以上、その他の部分は径の40倍以上(令第73条第2項)。軽量骨材は30倍・50倍に読み替え(第4項)。柱に取り付けるはりの引張鉄筋の定着は径の40倍以上(令第73条第3項、柱主筋に溶接する場合を除く)。
- 継手位置の原則:柱主筋の継手は柱の中間部(スパン中央付近)に設ける。はり主筋は引張応力の小さい位置を選ぶ。同一断面への継手集中を避けることが基本(令第73条第1項の趣旨)。
一問一答
Q. RC造の主筋の重ね継手を引張力が最も小さい部分に設ける場合の最小重ね長さは何倍か(令第73条第2項)。
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鉄筋径の25倍以上。継手位置を引張力の最小部位に限定することで重ね長さの確保量を最小化している(令第73条第2項)。
Q. 保有水平耐力計算(ルート3)採用時に令第73条(継手・定着)は適用除外になるか(令第36条第2項)。
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除外される(令第36条第2項第一号)。令和3年 学科3 問51の選択肢3が誤りである根拠。同問の選択肢2(かぶり厚さ4cm以上)は耐久性等関係規定(令第79条)のため除外されない点と対比すること。
Q. 令第73条第3項により、柱に取り付けるはりの引張鉄筋の定着長さは径の何倍以上か。
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径の40倍以上(柱の主筋に溶接する場合を除く。軽量骨材コンクリートは50倍=第4項)。これは仕様規定の値で、構造計算ではコンクリート強度Fcやフックの有無に応じた定着長さ(RC規準等)を用いる。
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参照
- 建築基準法施行令 第73条(RC造の継手・定着)
- 平成12年建設省告示第1450号(コンクリートの許容応力度)・第2464号(鉄筋等の基準強度)