はりの貫通孔(スリーブ)の位置・大きさを変えると計画変更になる?軽微な変更との線引き(法第6条・規則第3条の2)

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ルート君

設備屋さんから、はりのスリーブ(貫通孔)の位置と大きさを変えたいって言われたんだけど、計画変更の申請って要るの?

はりの貫通孔(スリーブ)の位置・大きさの変更は、適切に開口補強を行い、はりの強度・耐力が減少しなければ軽微な変更になり得ます(法第6条・規則第3条の2)。

さらに、確認申請の段階であらかじめ貫通孔の位置・大きさを検討しておけば、その範囲内の変更は、そもそも軽微な変更にも計画変更にも当たりません。

逆に、はりの強度・耐力が減少する、はりの剛性に影響して架構全体の再計算が必要になる場合は、計画変更確認の対象になります。

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建築関係法令集 法令編

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軽微な変更の限定列挙は規則の条文を引いて確かめるのが確実です。法令集が手元に一冊あると安心です。

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はりの貫通孔の変更はどこに当たるのか

確認済証の交付を受けた計画を変更する場合、その変更が軽微な変更に当たらなければ、改めて確認(計画変更確認)を受けます(法第6条第1項)。

はりの貫通孔の変更は、内容によって次の号で判断されます。

変更の内容 関係する号
貫通孔の位置・大きさの変更 開口部の位置・大きさの変更に関する号(第十四号)
貫通孔の補強工法の変更(在来の補強工法⇔既製品、既製品のメーカー変更) 材料又は構造の変更に関する号(第九号)

※開口部に関する号の区分・号番号は改正で見直されることがあります。実際の適用にあたっては最新の条文をご確認ください。

なお、貫通孔そのものが断面の欠損になる理由や、配管が構造耐力上主要な部分を貫通する場合の構造上の措置(令第129条の2の4)については、設備配管が柱・はりを貫通してよいかで扱っています。

本記事は、確認後に貫通孔を変更したときの手続き(軽微な変更か計画変更か)に絞ります。

なぜ貫通孔の位置・大きさの変更が軽微になり得るのか

はりに貫通孔を設けると、その部分の断面が欠損し、はりの耐力・剛性に影響します。

しかし、適切な開口補強を行い、はりの強度・耐力が減少しない状態を保てるなら、はりやそれに接する部材以外に影響が及ばず、全体架構モデルの再計算は要りません。

日本建築行政会議の運用解説や特定行政庁(大阪府など)の事例でも、貫通孔の位置・大きさの変更は、適切に開口補強を行う場合に軽微な変更の例として整理されています。

ただし、補強筋の径・位置・間隔など補強方法の具体的な数値は、建築基準法令に定められているわけではありません。

日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準などの設計基準や、構造設計者の判断によります(この点は配管貫通の記事でも触れています)。

変更の内容ごとに、当たる号と軽微になる条件を並べると次のとおりです。

はりの貫通孔=変更の内容によって、当たる号が分かれる(規則第3条の2) 位置・大きさの変更 開口部の位置・大きさの変更に関する号(第十四号) 適切な開口補強を行い はりの強度・耐力が減少しない → 軽微な変更になり得る 補強工法の変更 材料又は構造の変更に関する号(第九号) 在来の補強工法⇔既製品 既製品のメーカー変更 → 軽微な変更になり得る どちらの号でも、次にあたるものは計画変更確認の対象 はりの強度・耐力が減少する / はりの剛性に影響し全体架構モデルの再計算を要する 補強筋の径・位置・間隔など補強方法の具体的な数値は、建築基準法令に定めがない 日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準などの設計基準・構造設計者の判断による 開口部に関する号の区分・号番号は改正で見直されることがあるため、適用にあたっては最新の条文で確かめる
図:はりの貫通孔で、位置・大きさの変更と補強工法の変更が別々の号で判断されること。

あらかじめ検討しておくと変更の対象にならない

杭の芯ズレと同じく、はりの貫通孔も、施工の都合で位置や大きさが動きやすい部分です。

そこで実務では、確認申請の段階であらかじめ貫通孔の位置・大きさの範囲を検討しておく方法がとられます。

あらかじめ検討された範囲内での変更であれば、そもそも軽微な変更にも計画変更にも当たりません(変更の対象になりません)。

これは、杭の芯ズレで、確認申請時に施工誤差を見込んでおけばその範囲内は対象にならないとされるのと同じ考え方です。

どこまでを「あらかじめの検討範囲」とみるかは、個別の状況と所管行政庁・確認検査機関の判断によります。

範囲を超える変更が生じたときは、早めに相談するのが確実です。

どんな場合は計画変更確認になるのか

区分 はりの貫通孔の変更(例)
軽微な変更になり得る/対象外 適切に開口補強を行い、はりの強度・耐力が減少しない位置・大きさの変更。あらかじめ検討された範囲内なら変更の対象にならない。補強工法の変更(在来⇔既製品・メーカー変更)ではりの強度・耐力が減少しない場合
計画変更確認の対象 はりの強度・耐力が減少する場合/はりの剛性に影響があるなど全体架構の再計算を要する場合

分かれ目は、ここでも「はりの強度・耐力が減少しないか」「全体架構モデルの再計算が必要になるか」です。

貫通孔が大きくなって補強しても耐力を確保できない、あるいははりの剛性が変わって架構全体の応力に影響するなら、それは計画変更確認の領域です。

試験で問われやすいポイント

  • はりの貫通孔の位置・大きさの変更は、適切な開口補強を行いはりの強度・耐力が減少しなければ軽微になり得る(開口部の変更/規則第3条の2)。補強工法の変更は材料又は構造の変更(第九号)。
  • 確認申請時にあらかじめ貫通孔の位置・大きさを検討しておけば、その範囲内の変更は軽微にも計画変更にも当たらない(杭の芯ズレと同じ考え方)。
  • はりの強度・耐力が減少する・はりの剛性に影響し再計算が必要な場合は計画変更確認の対象。

計画変更と軽微な変更の線引きは、建築士試験でも問われやすい分野です。学習の進め方は、建築士講座の費用の比較もあわせてご覧ください。

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一問一答

Q. はりのスリーブ(貫通孔)の位置・大きさを変えると計画変更確認は必要か。

答えを見る

A. 一律ではない。適切に開口補強を行い、はりの強度・耐力が減少しなければ軽微な変更になり得る。あらかじめ検討された範囲内なら変更の対象にならない。はりの強度・耐力が減少する・剛性に影響し再計算が必要な場合は計画変更確認の対象。

Q. 「あらかじめの検討」とは何か。

答えを見る

A. 確認申請の段階で、施工の都合で動きやすい貫通孔の位置・大きさの範囲をあらかじめ検討しておくこと。その検討範囲内の変更であれば、軽微な変更にも計画変更にも当たらないと整理されることがある。範囲の判断は所管行政庁・確認検査機関による。

Q. 補強筋の径や位置は法令で決まっているのか。

答えを見る

A. 貫通孔の補強筋の径・位置・間隔などの具体的な数値は、建築基準法令には定められていない。日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準などの設計基準や、構造設計者の判断による。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。軽微な変更と計画変更の線引きは個別の判断を要するため、建築主事・指定確認検査機関にご確認ください。本記事は日本建築行政会議「建築構造審査・検査要領(運用解説編)2022年版」および特定行政庁(大阪府など)の公表事例を参考に、2026年7月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法 第6条第1項(建築物の建築等に関する申請及び確認)
  • 建築基準法施行規則 第3条の2第1項(軽微な変更/開口部の位置・大きさの変更・材料又は構造の変更に関する号)
  • 建築基準法施行令 第1条第3号(構造耐力上主要な部分)・第82条(構造計算)
  • 日本建築行政会議「建築構造審査・検査要領(運用解説編)2022年版」/大阪府ほかの軽微な変更事例

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。