耐力壁の位置変更は計画変更になる?軽微な変更との線引き(法第6条・規則第3条の2)
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ルート君
確認をとったあとに耐力壁の位置をずらしたくなったんだけど、これって計画変更確認が必要なの?
耐力壁の位置変更は、原則として計画変更確認が必要です(法第6条・規則第3条の2)。
軽微な変更で位置変更が認められる部材は規則第3条の2に限定列挙されていますが、そこに耐力壁は含まれていないためです。
耐力壁の位置を動かすと、建物全体の水平力の流れと剛性バランスが変わり、許容応力度計算を架構全体でやり直す必要が生じます。
これが、変更箇所だけで安全性を確かめられる「軽微な変更」の枠を超える理由です。
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耐力壁の位置変更はどちらに区分されるのか
耐力壁まわりの変更は、内容によって扱いが分かれます。
| 変更内容 | 区分 | 理由 |
|---|---|---|
| 耐力壁の位置変更(配置の移動) | 原則 計画変更確認が必要 | 規則第3条の2の軽微な変更の列挙に「壁の位置変更」が含まれず、架構全体の再計算を要するため |
| 同じ位置で壁倍率を同等以上にする変更 | 軽微な変更となり得る | 構造耐力上主要な部分を同等以上の性能にする変更にあたり得るため(個別判断) |
位置を動かす変更か、性能を同等以上にするだけの変更かが分かれ目です。
建築基準法 第6条第1項/施行規則 第3条の2(軽微な変更)の枠組み
確認済証の交付を受けた計画を変更して工事する場合、その変更が規則第3条の2第1項各号に掲げる「軽微な変更」に該当しない限り、改めて確認(計画変更確認)を受けなければならない(法第6条第1項)。軽微な変更は「変更後も建築基準関係規定に適合することが明らか」なものに限られ、各号で対象が限定列挙されている。
軽微な変更で位置変更が認められるのはどの部材か
規則第3条の2第1項は、位置変更を軽微な変更として認める部材を、構造耐力上主要な部分のうち次のものに限定列挙しています(複数の確認検査機関・特定行政庁の解説も一致)。
| 位置変更が軽微になり得る部材(限定列挙) | 満たすべき条件 |
|---|---|
| 構造耐力上主要な部分である基礎ぐい・間柱・床版・屋根版・横架材(小ばりその他これに類するものに限る) | 変更する部材とそれに接する部材以外に応力度の変更がなく、これらの部材が令第82条の構造計算で安全性を確かめられること |
この列挙に、柱・はり(大ばり)・耐力壁・壁・筋かいは含まれていません。
耐力壁の位置変更はここに当てはまらないため、軽微な変更として処理できず、原則として計画変更確認の対象になります。
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なぜ耐力壁の位置変更は軽微にならないのか
耐力壁は地震力・風圧力といった水平力を負担する部材です。位置を移動させると、次のように架構全体に影響が及びます。
- 水平力の流れ(耐力壁線の配置)が変わり、必要壁量・壁量配置(4分割法)の成立が崩れる
- 剛性バランス・偏心率が変化し、ねじれの検討に影響する
- 接合部に生じる引抜力(N値計算)も変わり、金物の選定をやり直す必要がある
つまり耐力壁の位置変更は、「変更部材とそれに接する部材以外に応力度の変更がない」という軽微な変更の要件を実質的に満たせません。
そのため構造耐力上主要な部分の中でも、壁の位置変更は再計算(再審査)を前提とする計画変更として扱われます。
例外的に軽微な変更となる余地はあるのか
理論上は、軽微な変更となる余地もゼロではありません。
次の条件をすべて満たす場合に限られます。
- 確認申請の段階で、変更の範囲があらかじめ検討されている
- 変更後の応力度の変化が、変更部材とそれに接する部材の範囲にとどまる
- 令第82条の構造計算で安全性を確認できる
ただし耐力壁の位置移動は、その性質上どうしても建物全体に応力を再分配させます。
このため、上の条件をすべて満たすケースは実務上ほとんどありません。
判断が分かれ得るので、個別の可否は建築主事または指定確認検査機関に事前確認するのが確実です。
計画変更確認はいつ・どう受けるのか
計画変更確認は、変更後の工事に着手する前(完成前)に受けます。
確認を受けずに耐力壁の位置を変えて工事を進めると、確認内容と異なる建築物になります。
この場合、違反建築物として是正命令(法第9条)の対象になるおそれがあります。
設計変更が生じた段階で、工事監理者がこの手続きの要否を踏まえて対応します。
試験で問われやすいポイント
- 位置変更が軽微な変更になるのは、基礎ぐい・間柱・床版・屋根版・横架材(小ばり等)に限定列挙(規則第3条の2)。
- 耐力壁の位置変更は、軽微な変更ではなく計画変更確認が必要(列挙に含まれず架構全体の再計算を要するため)。
- 計画変更確認は、変更後の工事着手前(完成前)に受ける(受けずに進めると違反建築物・法第9条のおそれ)。
建築確認や構造規定は、建築士試験でもよく問われる分野です。効率よく学ぶ方法は、建築士の通信講座の選び方で整理しています。
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一問一答
Q. 耐力壁の位置を変えると必ず計画変更確認が必要か。
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A. 原則として必要。軽微な変更で位置変更が認められる部材(基礎ぐい・間柱・床版・屋根版・横架材)に耐力壁は含まれず、耐力壁の位置変更は架構全体の再計算を要するため。理論上の例外はあるが、実務上は計画変更扱いになる。
Q. 壁の位置はそのままで、壁倍率を上げる変更はどうか。
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A. 構造耐力上主要な部分を同等以上の性能にする変更にあたり得るため、軽微な変更となる可能性がある。ただし配置や応力の変化を伴わないことが前提で、可否は個別判断のため確認検査機関に確認する。
Q. 計画変更確認はいつまでに受けるか。
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A. 変更後の工事に着手する前(完成前)。受けずに確認内容と異なる工事を進めると、違反建築物として是正命令(法第9条)の対象となるおそれがある。
この記事のカテゴリの記事一覧は総則・第20条にまとめています。計画変更と軽微な変更の全体像は計画変更確認と軽微な変更とは?をご覧ください。
参照
- 建築基準法 第6条第1項(建築物の建築等に関する確認・計画変更の確認)
- 建築基準法施行規則 第3条の2第1項(計画の変更に係る確認を要しない軽微な変更)
- 建築基準法施行令 第82条(許容応力度等計算)/法第9条(違反建築物に対する措置)
- 国土交通省「建築確認手続き等の運用改善」(軽微な変更の対象の明確化)