太陽光の標準仕様なら構造計算はいらない?一般・強風・多雪の施設条件(技術基準の解釈第9条)

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ルート君

計算しなくていい「標準仕様」があるって聞いた。どんな架台でも使えるの?

発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈第9条の標準仕様(一般仕様・強風仕様・多雪仕様)により地上に設置する場合は、設計荷重から基礎までを定めた解釈第3条〜第8条の規定によらないことができます。

ただし使えるのは、風速・積雪量・モジュールの大きさから傾斜角・アレイ面の高さ・基礎・地盤まで決め打ちの条件に収まる場合だけです。

発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈(20210317保局第1号)第9条

「太陽電池モジュールの支持物を、次の各号いずれかにより地上に設置する場合は、第3条、第4条、第5条、第6条、第7条及び第8条の規定によらないことができる。」

「一 一般仕様 8-1表に示す施設条件下において、イ及びロのいずれにも適合する場合」

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標準仕様によると何を省けるのか

標準仕様によらない場合、支持物は省令第4条の要件を解釈第3条〜第8条の方法で確かめます。

標準仕様は、この6つの条によらないことができるという組み立てです。

内容
第3条 設計荷重(JIS C 8955(2017)の荷重その他の想定される各種荷重)
第4条 支持物の架構(倒壊・飛散・移動しないこと)
第5条 部材強度(応力度が許容応力度以下)
第6条 使用材料
第7条 接合部
第8条 基礎及びアンカー

逐条解説によると、標準仕様は準拠すれば強度計算を要しない前提のため、施設する場所の条件に左右されないよう安全率を大きく設定してあります。

置かれた経緯は、強度計算を行っていない施工などにより平成27年8月に九州で発生した台風15号でパネル飛散や架台倒壊の被害が生じたことです。

3つの仕様はどの条件で使えるのか

使える施設条件は、一般仕様が8-1表、強風仕様が8-8表、多雪仕様が8-15表です。

施設条件 一般仕様 強風仕様 多雪仕様
地表面粗度区分
設計用基準風速 34m/s以下 40m/s以下 30m/s以下
積雪区域 一般 一般 多雪
垂直積雪量 50cm以下 30cm以下 180cm以下
太陽電池モジュールのサイズ 2,000mm×1,000mm以下 2,000mm×1,000mm 2,000mm×1,000mm
太陽電池モジュールの重量 28kg/枚以下 28kg/枚以下 28kg/枚以下

強風仕様だけ地表面粗度区分がⅡで、そのぶん垂直積雪量が30cm以下に絞られます。

多雪仕様は垂直積雪量180cm以下まで見る代わりに、設計用基準風速が30m/s以下です。

設計条件はどこまで決まっているのか

施設条件に収まっていても、イの設計条件から外れると標準仕様になりません。

設計条件 一般仕様 強風仕様 多雪仕様
太陽電池モジュールの配置及び規模 4段2列(計8枚)
アレイ面の傾斜角度 20° 10° 30°
アレイ面の最低高さ GL+1,100mm GL+1,100mm GL+1,900mm
アレイ面の地上平均高さ GL+1.8m GL+1.8m GL+2.9m
雪の平均単位重量 20N/m²/cm 20N/m²/cm 30N/m²/cm
地震荷重の水平震度 0.3
用途係数 1.0

傾斜角度は「20°以下」ではなく20°というように、値そのものが指定されています。

多雪仕様で最低高さがGL+1,900mmと高いのは、垂直積雪量180cm以下を見込む仕様だからです。

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基礎と地盤には何が要るのか

基礎及び地盤の条件は、一般仕様が8-3表、強風仕様が8-10表、多雪仕様が8-17表にあり、3つの仕様で同じです。

項目 条件
基礎 鉄筋コンクリート基礎
コンクリート強度Fc 21N/mm²以上
土質 粘性土と同等以上
N値 3以上
長期許容支持力 20kN/m²以上
地盤との摩擦係数 0.3以上

逐条解説は、Fcを平成12年建設省告示第1450号に定める許容応力度を有するもの、N値をJIS A 1219(2013)に規定される測定方法によるものとしています。

標準仕様の「N値=3」は、設備を施設する場所が柔らかい粘土質であることを表している、という説明も付いています。

架台の部材はどこまで指定されるのか

ロの架台及び基礎の仕様は、鋼製架台アルミニウム合金製架台の2系統に分かれます。

鋼製架台は(イ)から(ニ)、アルミニウム合金製架台は(ホ)から(チ)の仕様に適合することが求められます。

項目 指定される内容
構造図 架台及び基礎の構造が図で示され、その構造とすること
使用部材 支持架構の部材を部材番号ごとに、部材名・断面・鋼材種・表面処理・数量まで表で指定
締結材 接合箇所ごとにボルト・鋼材種・表面処理・数量を表で指定
接合部 接合部ごとの詳細図によって施工すること

部材の表には、塩害地等の高腐食環境に設置する場合は、表面処理について適切に選定することという注が付いています。

つまり標準仕様は、寸法・材種・本数・ボルトの数まで含めて丸ごと決められた仕様です。

条件から外れたらどうなるのか

施設条件・設計条件・基礎の条件・部材の仕様のどれか1つでも外れると、標準仕様によることはできません。

その場合は解釈第3条〜第8条に戻り、JIS C 8955(2017)による設計荷重に対して各部材の応力度が許容応力度以下であることなどを確かめることになります。

さらに、土地に自立するもので設置面からのアレイの最高の高さが9mを超える場合は、構造強度等に係る建築基準法及びこれに基づく命令の規定に適合することが求められます。

試験・実務で押さえるポイント

  • 標準仕様(一般・強風・多雪)により地上に設置する場合は、解釈第3条〜第8条(設計荷重・架構・部材強度・使用材料・接合部・基礎及びアンカー)によらないことができる。
  • 設計用基準風速は一般34m/s以下・強風40m/s以下・多雪30m/s以下。垂直積雪量は一般50cm以下・強風30cm以下・多雪180cm以下
  • 地表面粗度区分は強風仕様だけⅡで、一般・多雪はⅢ。
  • 設計条件は値そのものの指定=配置は4段2列(計8枚)、傾斜角度は一般20°・強風10°・多雪30°、水平震度0.3、用途係数1.0
  • 基礎・地盤は3仕様共通=鉄筋コンクリート基礎・Fc21N/mm²以上・粘性土と同等以上・N値3以上・長期許容支持力20kN/m²以上・摩擦係数0.3以上。
  • 架台は鋼製アルミニウム合金製の2系統。構造図・部材の断面・鋼材種・表面処理・数量・締結材・接合部の詳細図まで指定される。

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一問一答

Q. 標準仕様によると、どの規定によらないことができるか。

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A. 解釈第3条(設計荷重)・第4条(支持物の架構)・第5条(部材強度)・第6条(使用材料)・第7条(接合部)・第8条(基礎及びアンカー)。地上に設置する場合に限られる。

Q. 強風仕様と多雪仕様の設計用基準風速はどちらが大きいか。

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A. 強風仕様が40m/s以下で、多雪仕様は30m/s以下。ただし垂直積雪量は強風仕様が30cm以下、多雪仕様は180cm以下。

Q. 標準仕様の基礎はどのようなものか。

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A. 3つの仕様に共通して、鉄筋コンクリート基礎で、コンクリート強度Fcが21N/mm²以上。地盤は粘性土と同等以上でN値3以上、長期許容支持力20kN/m²以上、地盤との摩擦係数0.3以上。

Q. モジュールを5段にしたい場合、標準仕様は使えるか。

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A. 使えない。設計条件で配置及び規模が4段2列(計8枚)と指定されているため、外れる場合は解釈第3条〜第8条によって確かめることになる。

省令の側の要件は太陽光の架台に建築基準法はかかる?、架台の風圧力は太陽光パネル架台の風圧力と構造確認で扱っています。ほかの記事は総則・第20条の記事一覧から探せます。

最終判断は、所管の産業保安監督部に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。数値は発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈(20210317保局第1号)第9条及び経済産業省「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説」(令和7年5月15日)によります。架台の構造図・部材表・接合部の詳細図は解釈の本文をご確認ください。

参照

  • 発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈(20210317保局第1号・一部改正 20240318保局第2号)第3条〜第9条(8-1表・8-3表・8-8表・8-10表・8-15表・8-17表)
  • 発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和3年経済産業省令第29号)第4条
  • 経済産業省 産業保安・安全グループ電力安全課「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説」(令和7年5月15日)
  • 平成12年建設省告示第1450号(コンクリートの許容応力度)/JIS A 1219(2013)
  • JIS C 8955(2017)太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。