太陽光の架台に建築基準法はかかる?電気事業法の技術基準と高さ9m超の分かれ目(令和3年経済産業省令第29号)

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ルート君

野原に並んでる太陽光パネルの台。建築の確認がいらないなら、あの台の強さは何で決まってるの?

地上に自立する太陽光発電設備の架台と基礎は、電気事業法に基づく発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和3年経済産業省令第29号)第4条が構造の要件を定めています。

そのうえで、太陽電池アレイの最高の高さが9mを超える場合には、構造強度に係る建築基準法及びこれに基づく命令の規定に適合することが求められます。

発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和3年経済産業省令第29号)第四条第六号

「土地に自立して施設されるもののうち設置面からの太陽電池アレイ(太陽電池モジュール及び支持物の総体をいう。)の最高の高さが9メートルを超える場合には、構造強度等に係る建築基準法(昭和25年法律第201号)及びこれに基づく命令の規定に適合するものであること。」

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架台の構造は何の法令が決めているのか

この省令は、電気事業法第39条第1項及び第56条第1項に基づき、発電用太陽電池設備を対象として定められた技術基準です。

定めているのは、太陽電池モジュールを支持する工作物(支持物)と地盤に関する技術基準で、支持物とは架台及び基礎の部分を指します。

省令が要件を示し、その要件を満たすと認められる具体的な内容を解釈が示すという組み立てです。

解釈に限定されるものではなく、省令に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば省令に適合すると判断される、と逐条解説に書かれています。

建築基準法の確認が不要な場合でも、構造の要件がなくなるわけではなく、この省令の側でかかる形になります。

支持物には何が求められるのか

省令第4条は、支持物の要件を第一号から第六号まで並べています。

要件
自重、地震荷重、風圧荷重、積雪荷重その他の当該支持物の設置環境下において想定される各種荷重に対し安定であること
前号の荷重を受けた際に生じる各部材の応力度が、その部材の許容応力度以下になること
各部材は、許容応力度を満たす設計に必要な安定した品質を持つ材料であり、腐食・腐朽その他の劣化を生じにくい材料又は防食等の措置を講じた材料であること
モジュールと支持物の接合部、支持物の部材間、架構部分と基礎又はアンカー部分の接合部における存在応力を確実に伝える構造とすること
基礎部分は、イ=上部構造から伝わる荷重に対して沈下・浮上がり・水平方向への移動を生じないこと、ロ=土地に自立するものは杭基礎若しくは鉄筋コンクリート造の直接基礎又はこれらと同等以上の支持力を有すること
土地に自立するもののうち最高の高さが9mを超える場合は、構造強度等に係る建築基準法及びこれに基づく命令の規定に適合すること

第一号の「安定」とは、荷重に対して支持物が倒壊、飛散及び移動しないことをいうと解釈第4条が示しています。

第二号は許容応力度計算と同じ考え方で、建築基準法の構造計算ルートのような区分は置かれていません。

設計荷重は何で決まるのか

解釈第3条は、省令第4条第1号の荷重を、日本産業規格JIS C 8955(2017)「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」に規定する荷重その他の設置環境下で想定される各種荷重としています。

逐条解説によると、JIS C 8955(2017)の風圧荷重・積雪荷重・地震荷重は、それぞれ建築基準法施行令の規定を参考に設定されています。

JIS C 8955(2017)の荷重 参考にした建築基準法施行令の条
風圧荷重 令第87条
積雪荷重 令第86条
地震荷重 令第88条

これらの荷重の再現期間は50年を想定しており、「当該支持物の設置環境下において想定される各種荷重」もこれと同等の荷重を設定することが望ましいとされています。

部材は再現期間50年に相当する荷重に対して損傷・塑性変形しない強度を確保する必要がある、というのが逐条解説の説明です。

高さ9mを超えると何が変わるのか

省令第4条第六号に当たると、建築基準法の側の規定が入ってきます。

解釈第10条は、具体的に施行令第3章「構造強度」のうち次の規定によることとしています。

内容
令第38条 基礎
令第65条 有効細長比
令第66条 柱の脚部
令第68条 高力ボルト等
令第69条 斜材等の配置
令第93条 地盤及び基礎ぐい

逐条解説は、高さが9mを超える場合には建築基準法第20条建築基準法施行令第81条及び平成19年国土交通省告示第593号第一号を参考に、施行令での工作物の構造強度等を要求している、と説明しています。

荷重の側にも注意点があります。

JIS C 8955(2017)は最高高さが9mを超えるアレイを適用範囲外としているため、設計荷重についても別途検討する必要がある、と逐条解説に明記されています。

標準仕様なら構造計算はいらないのか

解釈第9条は、地上に施設する支持物の標準仕様(一般仕様・強風仕様・多雪仕様)を定めています。

これらのいずれかにより施設する場合は、設計荷重・架構・部材強度・使用材料・接合部・基礎の各条(解釈第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条)によらないことができます。

逐条解説は、この標準仕様が置かれた経緯を書いています。

支持物は平成18年から電気設備の技術基準の解釈で規定されていましたが、強度計算を行っていないなどの施工により、平成27年8月に九州で発生した台風15号でパネル飛散や架台倒壊といった損壊被害が発生しました。

これに鑑み、基準風速や降雪量などの諸条件を満たす場合は強度計算を実施せずとも必要な強度等を確保できるよう、標準仕様が規定されたという流れです。

標準仕様に準拠すれば強度計算を要しない前提であることから、施設する場所の条件に左右されないように安全率を大きく設定し、風荷重には裕度を持たせたとされています。

標準仕様で使われる数値 根拠
コンクリート強度Fc 平成12年建設省告示第1450号に定める許容応力度を有するもの
N値 JIS A 1219(2013)に規定される測定方法(標準仕様の「N値=3」は柔らかい粘土質を表す)

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建築物に載せる場合はどうなるのか

逐条解説は、建築物に付帯する太陽電池発電設備について、この解釈での要求事項に加えて建築設備としての構造強度も満たすこととしています。

建築設備の構造強度は、建築基準法施行令第5章の4第1節の令第129条の2の3です。

土地に自立するのか、建築物に載せるのか、水面に施設するのかで、かかる規定と想定する荷重が変わります。

水面に施設される支持物(フロート・架台・係留索・アンカー)は、地上や建築物上とは異なる荷重を想定する必要があるとされ、解釈第8条はフロート群のアンカーについて荷重の偏りを考慮して全てのアンカーの安全性を確認することを求めています。

試験・実務で押さえるポイント

  • 地上に自立する太陽光の架台及び基礎(=支持物)は、電気事業法に基づく省令(令和3年経済産業省令第29号)第4条が構造を定める。
  • 設計荷重はJIS C 8955(2017)(解釈第3条)。その風圧・積雪・地震の各荷重は令第87条・第86条・第88条を参考に設定され、再現期間は50年
  • 最高の高さが9m超で、構造強度等に係る建築基準法及びこれに基づく命令に適合が必要(省令第4条第六号)。解釈第10条は令第38条・第65条・第66条・第68条・第69条・第93条を挙げる。
  • JIS C 8955(2017)は9m超を適用範囲外としているため、9m超では設計荷重も別途検討が必要。
  • 基礎は、土地に自立するものなら杭基礎若しくは鉄筋コンクリート造の直接基礎又はこれらと同等以上(省令第4条第五号ロ)。
  • 標準仕様(一般・強風・多雪)によれば解釈第3条〜第8条によらないことができる(解釈第9条)。平成27年8月の台風15号によるパネル飛散・架台倒壊を受けて置かれた規定。

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一問一答

Q. 地上に自立する太陽光の架台に、建築基準法の構造規定がかかるのはどこからか。

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A. 設置面からの太陽電池アレイの最高の高さが9mを超える場合(省令第4条第六号)。この場合、構造強度等に係る建築基準法及びこれに基づく命令の規定に適合するものであることが求められる。

Q. 支持物の設計荷重は何によるか。

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A. JIS C 8955(2017)「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」に規定する荷重その他の設置環境下で想定される各種荷重(解釈第3条)。風圧・積雪・地震の各荷重は令第87条・第86条・第88条を参考に設定され、再現期間は50年を想定している。

Q. 高さ9mを超えたとき、荷重はJIS C 8955で算定してよいか。

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A. JIS C 8955(2017)は設置面からのアレイの最高高さが9mを超えるアレイを適用範囲外としているため、設計荷重についても別途検討する必要があるとされている。

Q. 標準仕様によれば、構造計算をしなくてよいのか。

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A. 解釈第9条の標準仕様(一般仕様・強風仕様・多雪仕様)のいずれかにより地上に施設する場合は、解釈第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条の規定によらないことができる。準拠すれば強度計算を要しない前提のため、安全率を大きく設定してある。

架台の風圧力は太陽光パネル架台の風圧力と構造確認、建築基準法上の扱いは太陽光発電設備は建築物・工作物に当たる?で扱っています。ほかの記事は総則・第20条の記事一覧から探せます。

最終判断は、所管の産業保安監督部または所管行政庁に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。省令・解釈の内容は、経済産業省「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説」(令和7年5月15日)によります。建築設備の構造強度の条番号は、建築基準法施行令(e-Gov法令検索)の現行の条により記載しています。

参照

  • 発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和3年経済産業省令第29号)第1条・第4条・第5条
  • 発電用太陽電池設備に関する技術基準の解釈(20210317保局第1号)第3条〜第10条
  • 経済産業省 産業保安・安全グループ電力安全課「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説」(令和7年5月15日)
  • 電気事業法 第39条第1項・第56条第1項
  • JIS C 8955(2017)太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法
  • 建築基準法施行令 第38条・第65条・第66条・第68条・第69条・第93条・第86条〜第88条・第129条の2の3(建築設備の構造強度)
  • 建築基準法 第20条/建築基準法施行令 第81条/平成19年国土交通省告示第593号第一号

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。