杭基礎とは?長期許容支持力の算定式と液状化への対応(令第38条・告示第1113号)

ルート君

杭基礎の支持力って、どうやって計算するの?

杭基礎の長期許容支持力は、告示第1113号の式 Ra = (1/3)×(先端支持力 + 周面摩擦力)で算定します。

告示第1113号(杭の長期許容支持力の算定式・概要)

Ra = (1/3)×(先端支持力 + 周面摩擦力の合計)

先端支持力 = 先端支持地盤の許容応力度 × 杭先端面積

周面摩擦力 = 杭の表面摩擦応力度 × 杭周面積

令第38条に基礎の設計原則が、告示(平成13年国土交通省告示第1113号)に杭の許容応力度算定が規定されています。

杭基礎は地盤の許容応力度が浅層で不足する場合に採用される基礎形式です。

杭の種類にはどんなものがあるのか

杭の種類 支持機構 主な工法
支持杭 先端が支持層に貫入し、先端支持力で荷重を伝達する PHC杭・鋼管杭・場所打ちRC杭
摩擦杭 杭周面の摩擦力で荷重を伝達する PHC杭・場所打ちRC杭
複合杭 先端支持力と周面摩擦力の両方を考慮する 場所打ちRC杭・鋼管杭

杭の長期許容支持力はどうやって算定するのか(告示第1113号)

杭の長期許容支持力Ra(kN)は、告示第1113号の式に基づいて算定します。

安全率は3(算定式の1/3)で、短期許容支持力は長期の2倍となります。

杭頭はどう処理しなければならないのか(令第38条)

杭頭はフーチング(杭頭フーチング)または基礎スラブに確実に定着させる必要があります。

項目 規定内容
杭頭の定着長さ(PHC杭等) 杭径以上の長さをフーチングに埋め込む(一般的な目安)
杭頭の鉄筋定着 場所打ち杭は主筋をフーチングに定着させる
杭頭の回転固定 杭頭の拘束条件(ピン・固定)を構造計算で明示する

液状化する地盤での杭の設計はどう変わるのか(令第38条・告示第1113号)

液状化が生じやすい地盤(砂質土で地下水位が高い場合)では、杭の設計に液状化の影響を考慮することが求められます(基礎の安全性に関する令第38条第1項の要求による)。

液状化判定は地盤調査の結果に基づき、技術的助言や日本建築学会「建築基礎構造設計指針」のFL法等に従って行い、液状化が生じる層の支持力を低減します。

なぜ杭の許容支持力に安全率3を使うのか

Ra = (1/3)×(先端支持力 + 周面摩擦力)という式の1/3は、安全率3の逆数です。

地盤は不均質で施工精度にもばらつきがあり、長期的な支持力の変動も考慮する必要があります。

この不確実性に対して3倍の余裕を見ることで、長期荷重に対する安全性を担保しています。

短期許容支持力は長期の2倍(安全率1.5相当)と定められています。

地震時・暴風時のような短期荷重は発生頻度が低く一時的なものであるため、長期よりも緩い安全率が適用されます。

支持杭と摩擦杭はどう使い分けるのか

支持杭は先端を硬い支持層に貫入させるため沈下に対して安定していますが、支持層が深い場合は施工コストが高くなります。

摩擦杭は支持層が非常に深い場合や軟弱地盤が厚く続く場合に採用されますが、周面摩擦力は地盤の状態によって変動します。

液状化が予想される地盤では摩擦杭の周面摩擦力が液状化層で無効化されます。

このため液状化の恐れがある地盤では、液状化層を貫通して支持層に到達する支持杭が基本となり、液状化層通過部の周面摩擦力は支持力計算から除外します。

試験で問われやすいポイント

  • 支持杭と摩擦杭の支持機構:支持杭は先端支持力(支持層に達している)・摩擦杭は周面摩擦力(支持層に達していない)。複合杭は両方を考慮する。液状化する地盤では周面摩擦力が無効化されるため摩擦杭の支持力が大幅に低下する。
  • 杭の長期許容支持力の算定(告示第1113号):Ra = (1/3)×(先端支持力 + 周面摩擦力の合計)。1/3は安全率3の逆数であることを理解する。短期許容支持力は長期の2倍となる(令第38条・告示第1113号)。
  • 液状化地盤での杭設計(令第38条・告示第1113号):液状化が発生する可能性のある地盤では、液状化する層の周面摩擦力を無視した設計が必要。支持杭でも液状化層通過部の周面摩擦力は除外する。(※令第38条第5項は打込み杭の施工時の安全に関する規定であり、液状化専用の規定ではない)
  • 杭頭の処理(令第38条):杭頭はフーチングまたは基礎スラブに確実に定着させる必要があり、杭頭の拘束条件(ピン・固定)を構造計算で明示する。

一問一答

Q. 支持杭と摩擦杭の支持機構の違いを答えよ。

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支持杭は杭先端が支持層(硬地盤)に達し先端支持力で支持する。摩擦杭は先端が支持層に達せず杭周面と土の摩擦力(周面摩擦力)で支持する。複合杭は両者を合計して支持力を算定する(告示第1113号)。

Q. 杭の長期許容支持力Raの算定式で「1/3」は何を意味するか(告示第1113号)。

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安全率3の逆数。長期荷重に対して(先端支持力 + 周面摩擦力)の1/3が長期許容支持力となる。短期許容支持力は長期の2倍(安全率1.5相当)で算定する。

Q. 液状化が生じる地盤での杭の設計で、液状化する層の周面摩擦力はどう扱うか(令第38条・告示第1113号)。

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液状化する層の周面摩擦力は無視して(ゼロとして)設計する。液状化層通過部分の摩擦力は期待できないため、支持杭・摩擦杭ともに液状化層の摩擦力を除外した支持力で安全性を確認する必要がある。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第38条(基礎の設計)
  • 平成13年国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度・杭の許容支持力)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。