地盤の許容応力度とは?算定式と基礎形式の選択基準(令第93条・告示第1113号)

ルート君

地盤の許容応力度って、どうやって計算するの?

地盤の許容応力度は、告示第1113号の算定式に基づいてN値・SWS試験値から求めます。

地盤の許容応力度は、基礎形式の選択と基礎寸法の設計に直結する重要な数値です。

地盤の許容応力度の算定方法は、令第93条の委任を受けた告示(平成13年国土交通省告示第1113号)に定められています。一方、地盤の強さに応じた基礎形式の選択基準(20・30kN/m²の境界)は令第38条第3項・平成12年建設省告示第1347号によります。

地盤の許容応力度はどうやって算定するのか(告示第1113号)

地盤の長期許容応力度は、以下のいずれかの方法で算定します。

算定方法 算定式(概要) 対象地盤
標準貫入試験(N値)による方法 qa = 10N + 30 (kN/m²)(粘性土)
qa = 8N + 20 (kN/m²)(砂質土)
N値が測定できる地盤
一軸圧縮強度による方法 qa = qu/3(kN/m²)
(quは一軸圧縮強度)
粘性土・岩盤
平板載荷試験による方法 試験結果の降伏荷重の1/2または極限支持力の1/3のいずれか小さい値 全ての地盤

実際の設計では、地盤調査結果(標準貫入試験・スウェーデン式サウンディング等)をもとに算定します。なお、告示第1113号本体は支持力式(テルツァーギの支持力式)およびスウェーデン式サウンディングによる式 qa = 30 + 0.6Nsw(べた基礎・布基礎)を定めており、上表の「10N+30」「8N+20」等のN値線形式や「qu/3」は実務で用いられる略算(目安)です。

長期許容応力度の値によって基礎形式はどう変わるのか

地盤の長期許容応力度(qa) 採用できる基礎形式
qa < 20 kN/m² 直接基礎は不可。杭基礎または地盤改良が必要。
20 kN/m² ≦ qa < 30 kN/m² べた基礎または杭基礎
30 kN/m² ≦ qa 布基礎・べた基礎・杭基礎のいずれも可

なぜ地盤調査が義務づけられているのか

2000年の建築基準法改正以降、令第38条に基づき地盤調査の実施が義務づけられています。

地盤調査の方法は告示(平成13年国土交通省告示第1113号)で定められており、スウェーデン式サウンディング試験・標準貫入試験等が標準的な方法です。

地盤の許容応力度から基礎の寸法はどう決まるのか

基礎フーチングの面積は、「上部構造からの長期荷重(kN)÷ 地盤の長期許容応力度(kN/m²)」以上に設計します。

偏心荷重が作用する場合は、フーチング端部の接地圧が地盤の許容応力度を超えないよう確認が必要です。

なぜN値・一軸圧縮強度で地盤の強さを評価するのか

告示第1113号がN値や一軸圧縮強度を基準にしているのは、これらが地盤の支持力を実用的に反映できる指標だからです。

N値(標準貫入試験)は土の締まり具合を直接測定でき、スウェーデン式サウンディング試験と並んで住宅基礎設計で広く使われています。

一軸圧縮強度による方法(qa = qu/3)の安全率3は、地盤強度のばらつきと長期的な変動に対する余裕です。

地盤は均質ではなく、調査点以外の強度が異なる場合があります。

この不確実性に対して3倍の余裕を確保することで、支持力不足による沈下を防いでいます。

粘性土と砂質土でなぜ算定式の係数が違うのか

粘性土(qa = 10N + 30)と砂質土(qa = 8N + 20)で係数が異なるのは、土の強度発現のメカニズムが違うためです。

粘性土はN値が低くても粘着力があり、それが支持力に寄与します。

そのため定数(+30)が大きく設定されています。

砂質土はN値が高いほど支持力が強くなりますが、N値が低い砂質土では液状化の懸念も生じます。

告示第1113号による許容応力度の算定とは別に、地盤調査結果に基づく液状化判定(日本建築学会「建築基礎構造設計指針」のFL法等)も必要になる場合があります。

試験で問われやすいポイント

  • N値による地盤の長期許容応力度(告示1113号):粘性土は qa = 10N + 30(kN/m²)、砂質土は qa = 8N + 20(kN/m²)。粘性土のほうが係数10(砂質土は8)と定数30(砂質土は20)がともに大きい。
  • 一軸圧縮強度による方法(告示1113号):qa = qu/3(kN/m²)。安全率3の逆数。一軸圧縮強度 qu = 60 kN/m²であれば qa = 20 kN/m²(べた基礎可能な下限値)。
  • N値から地盤の長期許容応力度を算定して基礎形式を判断:砂質土N=1 → qa = 8×1+20 = 28 kN/m²(20以上30未満→べた基礎のみ可)。砂質土N=2 → qa = 36 kN/m²(30以上→布基礎も可)。N値1と2で基礎形式が変わる。
  • 平板載荷試験による方法:「降伏荷重の1/2」または「極限支持力の1/3」のいずれか小さい値を採用する(告示1113号)。小さいほうを採用するという「安全側の選択」がポイント。

一問一答

Q. 砂質土・N値3の地盤の長期許容応力度qa(kN/m²)を告示第1113号の式で計算せよ。またその地盤で採用できる基礎形式は何か。

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qa = 8×3 + 20 = 44 kN/m²(30kN/m²以上)。布基礎・べた基礎・杭基礎のいずれも採用可能(地盤の許容応力度=告示第1113号、基礎形式の選択=令第38条第3項・告示第1347号)。

Q. 粘性土・N値1の地盤の長期許容応力度qa(kN/m²)を計算せよ。またその地盤で布基礎は使用できるか。

答えを見る

qa = 10×1 + 30 = 40 kN/m²(30kN/m²以上)。布基礎が使用可能。

Q. 地盤の一軸圧縮強度qu = 45 kN/m²の粘性土地盤の長期許容応力度qaはいくつか。べた基礎は採用できるか。

答えを見る

qa = 45/3 = 15 kN/m²(20kN/m²未満)。直接基礎(布基礎・べた基礎)は採用できない。杭基礎または地盤改良が必要(告示第1113号)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第93条(地盤の許容応力度・基礎ぐいの許容支持力)
  • 平成13年国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度・杭の許容支持力の算定方法)

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ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。