液状化とは?FL値・PL値による判定方法と地盤対策(令第38条)

ルート君

液状化って、基礎設計にどう影響するの?

液状化の判定はFL値・PL値で行い、判定結果に応じて地盤対策や基礎形式の選択が必要です。

液状化とは、地震動により飽和砂質地盤が一時的に液体状になる現象です。

液状化が生じると地盤の支持力が失われ、建築物の沈下・傾斜・浮き上がりが起こります。

令第38条は基礎の設計全般を定めており、液状化の可能性のある地盤でも基礎の安全性を確保することが求められます。液状化の判定方法(FL法・PL法)は告示ではなく、日本建築学会「建築基礎構造設計指針」や国土交通省の技術的助言に示されています(※昭和55年建設省告示第1793号は地震地域係数Z・振動特性係数Rt等を定める告示であり、液状化判定の根拠ではありません)。

液状化はどんな地盤で発生しやすいのか

条件 内容
土質 細砂〜中砂(均一な粒径)。粘性土・礫は液状化しにくい。
飽和度 地下水位以下(飽和状態)にある砂質土
締まり具合 N値が低い緩い砂(目安:N値10以下
地震動の大きさ 地震時せん断応力が砂の液状化抵抗を超えた場合

FL法による液状化判定はどうやって行うのか

FL法は、地盤各層の液状化抵抗比FLを算定し、FL < 1.0 となる層を液状化層と判定する方法です。

FL = R / L

  • R(液状化抵抗比):地盤の液状化に対する抵抗。N値・細粒分含有率・深度等から算定。
  • L(地震時繰り返し応力比):地震動が地盤に与えるせん断応力比。設計用最大加速度・有効鉛直応力等から算定。
FL値 判定
FL ≧ 1.0 液状化しない
FL < 1.0 液状化する(FL値が小さいほど液状化の程度が大きい)

PL値で何がわかるのか

PL値(液状化ポテンシャル指数)は、地盤全体の液状化危険度を表す指標です。

地表面から深さ20mまでの各層のFLを積分して算定します。

PL値の範囲 液状化危険度の判定
PL = 0 液状化なし
0 < PL ≦ 5 低い(液状化の可能性小)
5 < PL ≦ 15 高い(液状化の可能性あり)
PL > 15 非常に高い(液状化の可能性大)

液状化が予想される地盤ではどんな対策があるのか

液状化の可能性がある地盤では、以下のいずれかの対策を講じて基礎を設計します。

対策の種類 方法 特徴
密度増大工法 バイブロフローテーション・サンドコンパクションパイル等で砂を締め固める N値を向上させFLを1以上にする根本的対策
固結工法 深層混合処理(セメント系固化材)・薬液注入により地盤を固化 液状化しにくい地盤に改良。締め固めが難しい場所にも適用可能
杭基礎の採用 液状化層を超えた支持層までを打設する 液状化が起きても支持力を確保できる。ただし水平抵抗の低下に注意
排水工法 グラベルドレーン工法等で過剰間隙水圧を速やかに消散させる 液状化の程度を軽減する。支持力確保には他の対策との組み合わせが必要

液状化地盤で杭基礎を採用する場合に何を確認するのか

液状化が予想される地盤では、杭の水平抵抗の低下も考慮して設計します。

液状化した砂質土は水平方向の地盤反力が大幅に低下するため、杭の水平剛性・耐力の検討が必要です。

地盤改良を行う場合は、改良後のN値・一軸圧縮強度等を用いて再度液状化判定(FL法)を実施し、FL ≧ 1.0 を確認します。

なぜ液状化判定が建築法規に組み込まれているのか

液状化を建築基準法に位置付けたきっかけは、1964年(昭和39年)の新潟地震です。

新潟市内の埋立地・砂質地盤で広範な液状化が発生し、地盤の支持力を失った建物が傾いたまま残る被害が生じました。

この経験を踏まえて液状化判定(FL法等)の手法が整備され、地盤調査・基礎設計の実務に組み込まれるようになりました。

2011年の東日本大震災では、関東平野の埋立地でも大規模な液状化被害が改めて確認されました。

液状化は設計段階で対策可能な現象であり、地盤調査・判定・対策の一連の流れを法規に組み込むことで、被害の未然防止を図っています。

液状化で建物が傾くのはなぜか

通常の砂質地盤では、砂の粒子が互いに接触して荷重を支えています。

地震時に強い揺れが加わると粒子間の接触が失われて間隙水圧が急上昇し、地盤全体が液体のように振る舞います。

この状態では地盤の許容応力度がほぼゼロになり、建物の自重を支えられなくなります。

液状化が終息した後、砂の粒子は再び沈降して支持力を回復しますが、その過程で建物は不均一に沈下・傾斜します。

一度生じた沈下や傾斜は原状回復が困難なため、事前の地盤対策が重要です。

試験で問われやすいポイント

  • 液状化判定の閾値(FL法/日本建築学会「建築基礎構造設計指針」):FL < 1.0(地盤の抵抗 < 地震時応力)の層を液状化層と判定。FL ≧ 1.0なら液状化しない。FL = 1.0が境界値で、これを「下回る」場合に液状化と判定するため「1未満」の理解が重要。
  • 液状化しやすい地盤の条件:①飽和砂質土(地下水位以下)、②均一な細砂〜中砂(粘性土・礫は液状化しにくい)、③N値が低い緩い地盤(目安N値10以下)。3条件すべてが揃うと液状化リスクが高い。
  • PL値による液状化危険度の4段階:PL=0(なし)→ 0<PL≦5(低い)→ 5<PL≦15(高い)→ PL>15(非常に高い)。閾値は515の2つ。
  • 液状化対策の種類:密度増大工法(締め固め)・固結工法(セメント固化)・杭基礎(支持層まで打設)・排水工法(間隙水圧消散)。杭基礎採用でも液状化層の水平抵抗低下を考慮する必要がある。

一問一答

Q. FL値とは何か。FL値が0.8と算定された地盤層はどのように判定されるか(FL法)。

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FL = R(液状化抵抗比)/ L(地震時繰り返し応力比)。FL値が0.8(= 1.0未満)の場合、その層は液状化すると判定される(FL < 1.0 = 液状化層)。FL ≧ 1.0なら液状化しない。

Q. PL値が20と算定された地盤の液状化危険度はどのように分類されるか。

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非常に高い(PL > 15の範囲)。PL値の分類:0=なし、0<PL≦5=低い、5<PL≦15=高い、PL>15=非常に高い。

Q. 液状化が予想される地盤で杭基礎を採用した場合、杭の設計において特に注意すべき点は何か。

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液状化した砂質土では地盤の水平抵抗が大幅に低下するため、液状化層部分での杭の水平剛性・耐力の検討が必要。また液状化層通過部の周面摩擦力は無効とし、液状化層以深の支持層での支持力で設計する。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第38条(基礎の構造)
  • 日本建築学会「建築基礎構造設計指針」(液状化判定 FL法・PL法)
  • 平成13年国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度の算定方法)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。