既存不適格の構造規定はどの行為で緩和される?増築・大規模修繕・用途変更の遡及(法第3条第2項・令第137条の2・第137条の12)

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ルート君

古い建物をいじるとき、構造って今の基準に直さなきゃダメなの?

既存不適格建築物の構造規定(法第20条)は原則として遡及しませんが、建物に手を加える行為ごとに緩和の条文と条件が分かれます。

増築・改築、大規模の修繕・模様替、用途変更で、構造規定の遡及がどう扱われるかを体系的に整理します。各行為の詳しい解説は、それぞれの記事へのリンクから確認できます。

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既存不適格の構造規定は原則どうなるのか(法第3条第2項)

適法に建てた建築物が、後の法改正で現行基準に合わなくなったものを既存不適格建築物といいます。

既存不適格建築物は、法第3条第2項により、改正後の構造規定が原則として遡及適用されません。ただし、建物に増築等の手を加えると、法第86条の7・令第137条の2以下の範囲で緩和の可否が判断されます。

既存不適格そのものの考え方は既存不適格建築物の構造規定で詳しく扱っています。

行為ごとに構造の遡及はどう変わるのか(一覧)

主な行為と、構造規定(法第20条)の遡及・緩和の対応は次のとおりです。行為によって、遡及しないもの(緑)と、条件付きで緩和されるもの(オレンジ)に分かれます。

既存不適格:行為別の構造規定(法第20条)の遡及・緩和 原則 現行の構造規定は遡及しない(法第3条第2項) 増築・改築 増築部分の規模に応じて緩和(3区分)|法第86条の7・令第137条の2 大規模の修繕・模様替 危険性を増大させない範囲で緩和|令第137条の12 用途変更 構造規定は準用されず原則遡及しない(法第87条第3項)
図:既存不適格の行為別の構造規定(法第20条)の遡及・緩和。
行為構造規定(法第20条)の扱い根拠
原則遡及しない(既存不適格のまま)法第3条第2項
増築・改築規模に応じて緩和(3区分)法第86条の7・令第137条の2
大規模の修繕・模様替危険性を増大させない範囲で緩和法第86条の7・令第137条の12
用途変更準用されず原則遡及しない法第87条第3項

同じ既存不適格でも、行為によって根拠条文と緩和の条件が異なる点が要点です。

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増築・改築のとき構造はどう緩和されるのか(令第137条の2)

増築・改築では、増築部分の規模に応じて令第137条の2が緩和の範囲を定めています。

増築部分の規模(基準時の延べ面積に対して)構造の扱い
1/2を超える建物全体を現行の構造基準に適合させる
1/20超〜1/2以下既存部分は一定の安全性、増築部分は現行基準
1/20かつ50㎡以下既存部分は構造耐力上の危険性を増大させない範囲でよい

エキスパンションジョイント等で既存と増築が応力を伝えない構造なら、独立部分ごとに判断できます。詳しくは増築・改築時の構造規定の適用で扱っています。

大規模の修繕・模様替のときはどうか(令第137条の12)

大規模の修繕・大規模の模様替では、令第137条の12が構造の緩和を定めています。

法第20条については、構造耐力上の危険性を増大させない大規模の修繕・模様替であれば、現行基準への適合は求められません。たとえば屋根を従前より重い葺き材に替えないものなどが該当します。

大規模の修繕・模様替の定義や手続きの要否は大規模の修繕・模様替で扱っています。

用途変更のとき構造は遡及するのか(法第87条第3項)

用途変更では、法第87条第3項が避難・防火・衛生に関する一定の規定を準用しますが、構造耐力(法第20条)は準用の対象に含まれません。

そのため用途変更を理由に構造規定を現行基準へ合わせ直す義務は原則として生じません。ただし用途によって積載荷重が増える場合は、法的遡及がなくても構造安全の確認が必要です。

確認申請の要否や積載荷重の注意点は用途変更と構造規定の遡及で扱っています。

試験で問われやすいポイント

  • 既存不適格の構造規定は原則遡及しない(法第3条第2項)。緩和の可否は行為ごとに条文が分かれる。
  • 増築・改築は令第137条の2で規模により3区分(1/2超で全体現行・1/20かつ50㎡以下で既存はほぼそのまま)。大規模の修繕・模様替は令第137条の12で危険性を増大させない範囲。
  • 用途変更では法第87条第3項に構造耐力(法第20条)が含まれず、構造は原則遡及しない。積載荷重の増加には別途注意。

建築確認や構造規定は、建築士試験でもよく問われる分野です。効率よく学ぶ方法は、スマホでの学習法で整理しています。

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一問一答

Q. 既存不適格建築物に増築する場合、構造規定はどの条文で緩和されるか。

答えを見る

法第86条の7・令第137条の2。増築部分が基準時の延べ面積の1/2を超えると建物全体を現行基準に、1/20かつ50㎡以下なら既存部分は危険性を増大させない範囲でよい。

Q. 用途変更で構造耐力(法第20条)は遡及するか。

答えを見る

原則遡及しない。法第87条第3項が準用する規定に法第20条は含まれないため、既存不適格のまま扱われる。ただし積載荷重が増える用途変更では構造安全の確認が必要。

Q. 大規模の修繕・模様替で構造規定が緩和される範囲は。

答えを見る

令第137条の12により、構造耐力上の危険性を増大させない大規模の修繕・模様替であれば現行基準への適合は求められない。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。緩和の適用範囲・条件は法改正や所管行政庁の取扱い、国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集」等で確認してください。

参照

  • 建築基準法 第3条第2項(既存不適格建築物)・第86条の7(既存不適格建築物に対する制限の緩和)・第87条第3項(用途変更の準用)
  • 建築基準法施行令 第137条の2(増築・改築の場合の構造耐力関係規定の緩和)
  • 建築基準法施行令 第137条の12(大規模の修繕・大規模の模様替の場合の緩和)
  • 国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集」

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。