耐震改修促進法の対象建築物とは?診断義務・努力義務になる規模(階数・床面積)

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ルート君

古い建物なら、どれでも耐震診断を受けないといけないの?

耐震改修促進法で耐震診断の対象になるのは、旧耐震の建築物のうち、用途と規模(階数・床面積)が一定以上のものです。

大規模なものは診断が義務、それより小さいものは努力義務と、規模で扱いが分かれます。

建築物の耐震改修の促進に関する法律 附則第3条(要緊急安全確認大規模建築物の所有者の義務等)

要緊急安全確認大規模建築物(不特定多数の者が利用する大規模建築物等で政令で定めるもの)の所有者は、当該建築物について耐震診断を行い、その結果を平成27年12月31日までに所管行政庁に報告しなければならない。

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対象建築物は大きく3区分ある

耐震改修促進法の対象建築物は、義務の重さで3つに分かれます。

区分 義務の重さ 根拠
要緊急安全確認大規模建築物 耐震診断が義務(報告期限あり) 法附則第3条
要安全確認計画記載建築物 耐震診断が義務(促進計画に記載されたもの) 法第7条
特定既存耐震不適格建築物 診断・改修の努力義務(政令規模以上は指示・公表) 法第14条・第15条

いずれも原則として昭和56年5月31日以前に建築された、旧耐震基準の建築物が前提です。

診断が義務になる規模はどれくらいか(要緊急安全確認大規模建築物)

要緊急安全確認大規模建築物は、用途ごとに定められた階数・床面積以上の大規模なものです。

いずれも、その値「以上」で対象になります。

用途 階数 床面積の合計
病院・店舗・旅館・ホテル・劇場・集会場・展示場・飲食店等(不特定多数が利用) 3以上 5,000㎡以上
体育館(一般公共用) 1以上 5,000㎡以上
老人ホーム・福祉施設等(避難に配慮を要する者が利用) 2以上 5,000㎡以上
小学校・中学校等 2以上 3,000㎡以上
幼稚園・保育所 2以上 1,500㎡以上
危険物の貯蔵場・処理場 1以上 5,000㎡以上

危険物の貯蔵場・処理場は、加えて敷地境界線までの距離が一定以下のものに限られます。

これらの所有者は、診断結果を平成27年12月31日までに所管行政庁へ報告する必要がありました。

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努力義務・指示の対象になる規模はどれくらいか(特定既存耐震不適格建築物)

特定既存耐震不適格建築物は、診断・改修が努力義務となる建築物です。

義務化される大規模建築物より、小さい規模から対象になります。

用途 階数 床面積の合計
幼稚園・保育所 2以上 500㎡以上
小学校等・老人ホーム等 2以上 1,000㎡以上
病院・店舗・事務所・ホテル・共同住宅等(その他多数が利用) 3以上 1,000㎡以上
体育館 1以上 1,000㎡以上

これらのうち政令で定める規模以上のものは、所管行政庁の指示・公表(法第15条)の対象になります。

沿道の建築物や塀はどんなときに対象になるのか(通行障害建築物)

促進計画で指定された道路(緊急輸送道路等)に敷地が接する建築物は、道路をふさぐおそれのある高さのとき「通行障害建築物」として対象になります。

目安は、前面道路の幅員が12m以下なら高さ6m超、12m超なら道路幅員の1/2超です。

建物に附属する組積造の塀は、長さ25m超のものが対象になります。

高さの目安を整理すると、次のとおりです。

通行障害建築物=道路をふさぐおそれのある建築物 促進計画で指定された道路(緊急輸送道路等)に敷地が接する建築物のうち 道路をふさぐおそれのある高さのものが対象 前面道路の幅員が 12m 以下 高さ 6m超 が対象 前面道路の幅員が 12m 超 高さ 幅員の1/2超 が対象 建物に附属する組積造の塀は、長さ 25m超 のものが対象 どの道路沿いを対象にするかは、都道府県・市町村の耐震改修促進計画(法第5条・第6条)への記載で決まる
図:通行障害建築物になる高さの目安と、組積造の塀の長さ。

対象を決めるのは誰か(耐震改修促進計画・第4〜6条)

国土交通大臣が基本方針(法第4条)を定め、それに基づいて都道府県が都道府県耐震改修促進計画(法第5条)、市町村が市町村耐震改修促進計画(法第6条)を定めます。

どの沿道建築物や防災拠点建築物を診断義務の対象にするかは、この促進計画への記載で決まります。

耐震改修以外の認定制度もあるのか(表示認定・区分所有の特例)

耐震性が基準に適合していることを所管行政庁が認定する制度もあります(法第22条)。

認定を受けた基準適合認定建築物は、地震に対する安全性を示す表示を付けることができます。

マンションなどの区分所有建築物では、耐震改修の必要性の認定(法第25条)を受けると、共用部分を変更する耐震改修の決議要件が、区分所有法の4分の3以上から過半数に緩和されます。

試験で問われやすいポイント

  • 耐震改修促進法の対象は原則昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震の建築物。新耐震施行(昭和56年6月1日)との境目を押さえる。
  • 診断が義務なのは要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)要安全確認計画記載建築物(法第7条)特定既存耐震不適格建築物(法第14条)は努力義務で、政令規模以上は指示・公表(法第15条)の対象。
  • 要緊急安全確認大規模建築物の規模=病院・店舗・ホテル等は3階以上かつ5,000㎡以上、体育館は1階以上5,000㎡以上、幼稚園・保育所は2階以上1,500㎡以上、小・中学校は2階以上3,000㎡以上
  • 特定既存耐震不適格建築物はより小さく、幼稚園・保育所は2階以上500㎡以上、小学校等・老人ホーム等は2階以上1,000㎡以上から。
  • 通行障害建築物=前面道路幅員12m以下は高さ6m超、12m超は幅員の1/2超。組積造の塀は長さ25m超

耐震設計は、試験でも実務でも欠かせない分野です。試験対策の進め方は、スタディングの評判もあわせてご覧ください。

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一問一答

Q. 耐震改修促進法で耐震診断が義務付けられる建築物の区分を2つ挙げよ。

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A. 要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)と要安全確認計画記載建築物(法第7条)。特定既存耐震不適格建築物(法第14条)は努力義務にとどまる。

Q. 要緊急安全確認大規模建築物のうち、病院・店舗・ホテルは何階以上・何㎡以上が対象か。

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A. 階数3以上かつ床面積の合計5,000㎡以上(旧耐震のもの)。体育館は階数1以上5,000㎡以上、幼稚園・保育所は2階以上1,500㎡以上、小・中学校は2階以上3,000㎡以上。

Q. 特定既存耐震不適格建築物で、幼稚園・保育所は何階以上・何㎡以上が対象か。

答えを見る

A. 階数2以上かつ床面積の合計500㎡以上。小学校等・老人ホーム等は2階以上1,000㎡以上、その他多数利用は3階以上1,000㎡以上、体育館は1階以上1,000㎡以上。

耐震診断そのものの中身とIs値の判定は耐震診断とIs値とはで、確認申請の特例は計画認定(法第17条)の特例で扱っています。

最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。対象建築物の詳細な用途・規模要件は、所管行政庁の耐震改修促進計画や政令により定められています。

参照

  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 附則第3条(要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断の義務)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第7条(要安全確認計画記載建築物の耐震診断の義務)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第14条・第15条(特定既存耐震不適格建築物の努力義務・指示・公表)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第4条〜第6条(基本方針・都道府県/市町村耐震改修促進計画)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第22条(安全性に係る認定・表示)・第25条(区分所有建築物の決議特例)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令 第4条・第6条・第8条・附則第2条(対象建築物の用途・規模)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。