特定既存耐震不適格建築物とは?既存不適格との違いと努力義務・指示公表(耐震改修促進法第14条・第15条)

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ルート君

「既存不適格」と「特定既存耐震不適格建築物」って、何が違うの?

特定既存耐震不適格建築物は、既存不適格建築物のうち、多数の者が利用する一定の用途・規模のものです。

その所有者には、耐震診断と必要な耐震改修に努める努力義務(耐震改修促進法第14条)がかかります。

建築物の耐震改修の促進に関する法律 第14条(特定既存耐震不適格建築物の所有者の努力)

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホームその他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもの等(特定既存耐震不適格建築物)の所有者は、耐震診断を行い、その結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない

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既存不適格建築物とどう違うのか

既存不適格建築物は、建てたときは適法だったが、その後の法改正で現行規定に合わなくなった建築物の総称です。

特定既存耐震不適格建築物は、そのうち耐震関係の規定に適合しないもので、さらに多数の者が利用する一定の用途・規模にしぼったものです。

つまり「既存不適格建築物」という大きな枠の中に、耐震化を特に進めたい建築物として「特定既存耐震不適格建築物」がある、という関係になります。

包含の関係と、義務の重さの違いを並べると次のとおりです。

特定既存耐震不適格建築物は、既存不適格の中の一部 既存不適格建築物 建てたときは適法だったが、その後の法改正で現行規定に合わなくなった建築物 特定既存耐震不適格建築物 耐震関係の規定に適合せず、多数の者が利用する一定の用途・規模のもの 努力義務 法第14条 診断・改修に努める 政令規模以上は指示・公表 診断が義務 法附則第3条 要緊急安全確認 大規模建築物(報告期限あり) 診断が義務 法第7条 要安全確認計画記載建築物 (耐震改修促進計画に記載) ※ 用途・規模ごとの対象(病院・店舗は3階5,000㎡以上 など)は本文・関連記事の一覧を参照
図:既存不適格との包含関係と、努力義務・診断義務の3区分。

所有者にかかる努力義務とは何か(第14条)

特定既存耐震不適格建築物の所有者は、まず耐震診断を行うよう努めます。

診断の結果、安全性の向上を図る必要があれば、耐震改修を行うよう努めます。

これは「しなければならない」義務ではなく、あくまで努力義務である点が、診断が義務化された建築物との違いです。

指示・公表の対象になるのはどんなときか(第15条)

所管行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の所有者に対して、耐震診断・改修について指導・助言を行うことができます。

そのうち政令で定める規模以上のものについては、必要な指示を行うことができます。

所有者が正当な理由なく指示に従わないときは、所管行政庁はその旨を公表することができます。

診断が「義務」になる建築物とはどう違うのか

耐震診断が努力義務でなく義務になるのは、より規模の大きい建築物などに限られます。

区分 診断の扱い 根拠
特定既存耐震不適格建築物 努力義務(政令規模以上は指示・公表) 法第14条・第15条
要緊急安全確認大規模建築物 診断が義務(報告期限あり) 法附則第3条
要安全確認計画記載建築物 診断が義務(促進計画に記載) 法第7条

いずれの区分でも、原則として昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震のものが前提です。

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対象になる用途・規模の一覧はどこで見るか

特定既存耐震不適格建築物の用途別の階数・床面積(幼稚園・保育所は2階以上500㎡以上など)や、義務になる建築物の規模は、耐震改修促進法の対象建築物と規模で一覧にしています。

耐震診断そのものの中身とIs値の判定は耐震診断とIs値とはで扱っています。

試験で問われやすいポイント

  • 特定既存耐震不適格建築物=既存不適格建築物のうち、多数の者が利用する一定用途・規模のもので、所有者に耐震診断・改修の努力義務(法第14条)がかかる。
  • 政令で定める規模以上のものは、所管行政庁の指示・公表(法第15条)の対象になる。
  • 診断が義務なのは要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)と要安全確認計画記載建築物(法第7条)。特定既存耐震不適格建築物は努力義務で、区分が異なる。
  • 対象は原則昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震のもの。

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一問一答

Q. 特定既存耐震不適格建築物の所有者には、どのような義務があるか。

答えを見る

A. 耐震診断を行い、必要があれば耐震改修を行うよう努める努力義務(法第14条)。政令規模以上のものは所管行政庁の指示・公表(法第15条)の対象になる。

Q. 特定既存耐震不適格建築物と、耐震診断が義務付けられる建築物はどう違うか。

答えを見る

A. 特定既存耐震不適格建築物は診断・改修が努力義務(法第14条)。これに対し、要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)と要安全確認計画記載建築物(法第7条)は診断が義務で、結果の報告・公表まで求められる。

Q. 特定既存耐震不適格建築物は、既存不適格建築物とどのような関係にあるか。

答えを見る

A. 既存不適格建築物(法改正で現行規定に合わなくなった適法建築物の総称)のうち、耐震関係に適合せず、多数の者が利用する一定用途・規模のものが特定既存耐震不適格建築物である。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。対象建築物の詳細な用途・規模要件は、所管行政庁の耐震改修促進計画や政令により定められています。

参照

  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第14条(特定既存耐震不適格建築物の所有者の努力)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第15条(指導及び助言並びに指示等)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第7条・附則第3条(診断が義務となる建築物)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令 第6条・第8条(対象の用途・規模)
  • 建築基準法 第3条第2項(既存不適格建築物)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。