耐震診断とIs値とは?耐震改修促進法による義務付けと判定基準(Is≧0.6)

ルート君

古い建物が地震に耐えられるかどうかは、どうやって調べるの?

既存の建築物が地震に対してどのくらい安全かは、耐震診断で確かめ、構造耐震指標Is値などの指標で判定します。

一定の建築物については、建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)が耐震診断を義務付けています。

建築物の耐震改修の促進に関する法律 第7条(要安全確認計画記載建築物の所有者の耐震診断の義務)

次に掲げる建築物(要安全確認計画記載建築物)の所有者は、当該建築物について、国土交通省令で定めるところにより、耐震診断を行い、その結果を、所管行政庁が定める期限までに所管行政庁に報告しなければならない。

耐震改修促進法は、地震による建築物の倒壊等の被害を防ぐため、既存建築物の耐震診断・耐震改修を進める枠組みを定めた法律です。

対象になるのは、原則として昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された、いわゆる旧耐震基準の建築物です。新耐震設計法が施行された昭和56年6月1日より前の建築物が念頭に置かれています。

耐震診断が義務付けられるのはどの建築物か

区分 対象 診断結果の報告期限
要緊急安全確認大規模建築物
(法附則第3条)
不特定多数の者が利用する大規模建築物(病院・店舗・旅館等)、避難に配慮を要する者が利用する建築物(学校・老人ホーム等)、危険物の貯蔵・処理場のうち大規模なもの 平成27年(2015年)12月31日まで
要安全確認計画記載建築物
(法第7条)
都道府県・市町村が耐震改修促進計画に記載した建築物(避難路沿道建築物・防災拠点建築物等) 計画に定める期限まで

いずれも、所有者は耐震診断を行い、その結果を所管行政庁に報告しなければなりません。

報告された診断結果は、所管行政庁によって公表されます。

耐震診断の結果はどう判定するのか(Is値とq値)

鉄筋コンクリート造等の耐震診断では、建築物の地震に対する強さを表す構造耐震指標Isと、保有水平耐力に係る指標qを用いて判定します。

国土交通省告示で定める指針(平成18年国土交通省告示第184号「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」等)では、おおむね次のように区分されます。

Is値(と q値) 地震の震動・衝撃に対する判定
Is 0.6 以上 かつ q 1.0 以上 倒壊し、又は崩壊する危険性が低い
0.3 以上 0.6 未満 倒壊し、又は崩壊する危険性がある
0.3 未満 倒壊し、又は崩壊する危険性が高い

つまりIs≧0.6が、地震に対する安全性の一つの目安になります。

構造耐震指標Isは、建築物の保有する性能・形状・経年といった複数の要素から求められる指標です。具体的な算定方法は耐震診断基準(日本建築防災協会の診断基準等)に定められています。

耐震診断で危険性があるとどうなるのか(指示・公表・改修)

耐震性が不足すると判断された建築物について、所管行政庁は所有者に対して必要な指示を行うことができます。

指示に従わない場合は、その旨を公表することができます。

耐震改修を行う場合、その計画について所管行政庁の認定(計画の認定・法第17条)を受けると、建築確認の手続の特例や、既存不適格建築物の制限・容積率・建蔽率に関する規定の特例といった措置が受けられます。

なぜ既存建築物に耐震診断を求めるのか

昭和56年に導入された新耐震設計法より前の建築物は、現行の耐震基準を満たしていないものが含まれます。

これらをすべて建て替えることは現実的でないため、まず診断で現状の安全性を把握し、必要なものから耐震改修につなげる仕組みが取られています。

とくに不特定多数が利用する大規模建築物や、災害時に避難路・防災拠点となる建築物は、被害が社会全体に及ぶため、診断と結果の公表が義務付けられています。

試験で問われやすいポイント

  • 耐震改修促進法の対象は原則昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震の建築物。新耐震施行(昭和56年6月1日)との境目を押さえる。
  • 耐震診断が義務付けられるのは要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条)要安全確認計画記載建築物(法第7条)。所有者は診断結果を所管行政庁に報告し、結果は公表される。
  • 構造耐震指標Is0.6以上かつq値が1.0以上で「倒壊・崩壊する危険性が低い」とされる。0.3未満は危険性が高い。判定基準は平成18年国土交通省告示第184号に基づく指針による。

一問一答

Q. 構造耐震指標Isがいくつ以上であれば、地震の震動・衝撃に対して倒壊・崩壊する危険性が低いとされるか。

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A. Isが0.6以上(かつ保有水平耐力に係る指標q値が1.0以上)であれば、倒壊・崩壊する危険性が低いとされる。0.3以上0.6未満は危険性がある、0.3未満は危険性が高いと区分される(平成18年国土交通省告示第184号に基づく指針)。

Q. 耐震改修促進法で耐震診断が義務付けられている建築物の区分を2つ挙げよ。

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A. 要緊急安全確認大規模建築物(法附則第3条。不特定多数が利用する大規模建築物等で、報告期限は平成27年12月31日)と、要安全確認計画記載建築物(法第7条。耐震改修促進計画に記載された避難路沿道建築物・防災拠点建築物等)。いずれも所有者に耐震診断と結果の報告が義務付けられている。

Q. 耐震改修の計画について所管行政庁の認定(法第17条)を受けると、どのような特例があるか。

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A. 建築確認の手続が認定で代えられる特例や、既存不適格建築物の制限・容積率・建蔽率に関する規定の特例などの措置が受けられる。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。耐震診断の具体的な基準・対象建築物の規模要件は、所管行政庁の耐震改修促進計画や告示により定められています。

参照

  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第7条(要安全確認計画記載建築物の所有者の耐震診断の義務)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 附則第3条(要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断の義務)
  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第17条(建築物の耐震改修の計画の認定)
  • 平成18年国土交通省告示第184号(建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。