平成12年建設省告示第1457号とは?限界耐力計算の計算方法(損傷限界・安全限界)と屋根ふき材等(令第82条の5)

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ルート君

限界耐力計算の「損傷限界」「安全限界」の計算方法って、どの告示で決まっているの?

平成12年建設省告示第1457号とは、限界耐力計算で用いる損傷限界変位・安全限界変位や、その計算に必要な固有周期Td・Ts、加速度の低減率Fh、表層地盤による増幅率Gsなどの計算方法を定め、あわせて屋根ふき材・外壁等が風圧に対して安全であることを確かめる構造計算の基準を定めた告示です(令第82条の5・令第82条の4の委任)。

正式な件名は「損傷限界変位、Td、Bdi、層間変位、安全限界変位、Ts、Bsi、Fh及びGsを計算する方法並びに屋根ふき材等及び外壁等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を定める件」です。

建築基準法施行令 第82条の5(限界耐力計算)

限界耐力計算では、①稀に発生する地震(損傷限界)に対して各階の変位が損傷限界変位以下であること、②極めて稀に発生する地震(安全限界)に対して各階の変位が安全限界変位以下であることを確かめる。告示第1457号は、この計算に用いる各数値(Td・Ts・Fh・Gs等)を算出する方法を定める。

告示第1457号がどこから委任されているかを整理すると、次の階層になります。法第20条(構造耐力の基本原則)が施行令第82条の5・第82条の4に、さらに施行令が告示第1457号に、計算方法と確認基準を順に委任する形です。

制定機関 根拠の階層(上ほど上位) 国会 建築基準法 第20条 建築物の構造耐力(安全性の基本原則) 委任 内閣 建築基準法施行令 第82条の5・第82条の4 限界耐力計算の数値・屋根ふき材等の基準を大臣に委任 委任 国土交通 大臣 平成12年建設省告示 第1457号 損傷限界・安全限界の計算方法(Td・Ts・Fh・Gs等)と 屋根ふき材・外壁等の安全確認の基準を規定 ← この記事で解説する告示
図:告示第1457号の位置づけ(法第20条→施行令第82条の5・第82条の4→告示第1457号の委任関係)。

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告示第1457号は何を定めているのか(全体像)

告示第1457号は、大きく分けて「限界耐力計算に用いる数値の算出方法」と「屋根ふき材・外壁等の安全確認の基準」の2つを定めています。

定める内容 根拠(施行令) 概要
損傷限界変位・安全限界変位の計算方法 第82条の5 各階が損傷・崩壊に至る変位の求め方
固有周期 Td・Ts、係数 Bdi・Bsi・Fh・Gs 第82条の5 応答(加速度・変位)を求めるための各数値の算出方法
屋根ふき材・外壁等の安全確認 第82条の4 風圧に対する構造耐力上の安全を確かめる構造計算の基準

限界耐力計算の2段階(損傷限界・安全限界)とは

限界耐力計算は、損傷限界と安全限界の2段階で耐震性能を確認する計算方法です(令第82条の5)。告示第1457号は、この2段階の判定に必要な変位・周期・応答係数の算出方法を定めています。

段階 対象とする地震 確認内容 根拠
損傷限界の確認 稀地震動(再現期間 約50年) 応答変位 ≦ 損傷限界変位 令第82条の5第一号
安全限界の確認 極稀地震動(再現期間 約500年) 応答変位 ≦ 安全限界変位 令第82条の5第二号

2段階確認の意味や、仕様規定が適用除外になる理由は限界耐力計算とはで詳しく解説しています。

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告示第1457号が定める主な数値・係数は

限界耐力計算では、建物の応答(変位・加速度)を求めるために次のような数値を用います。告示第1457号は、それぞれの算出方法を定めています。

記号意味
損傷限界変位各階が損傷限界に達するときの層間変位
安全限界変位各階が安全限界(崩壊直前)に達するときの層間変位
Td・Ts損傷限界時・安全限界時の建築物の固有周期(塑性化により周期が伸びる)
Bdi・Bsi損傷限界時・安全限界時の各階の加速度の分布を表す係数
Fh建築物の減衰性による加速度の低減率(減衰が大きいほど応答を小さく評価)
Gs表層地盤による地震動の増幅率(軟弱地盤ほど大きい)

これらを用いて、地盤の応答スペクトルに表層地盤の増幅(Gs)と減衰による低減(Fh)を反映した加速度を求め、建物の応答変位が損傷限界変位・安全限界変位を超えないことを確認します。具体的な計算は高度で、通常は構造計算適合性判定の対象となります。

屋根ふき材・外壁等の安全確認(令第82条の4)とは

告示第1457号は、限界耐力計算のほか、屋根ふき材・外装材(外壁)・帳壁などが風圧に対して構造耐力上安全であることを確かめる構造計算の基準も定めています(令第82条の4)。これは風圧力に対する部分の規定で、風圧力の速度圧・風力係数を定める告示第1454号や、屋根ふき材・帳壁の風圧を扱う告示第1458号とあわせて用いられます。

なぜ告示第1457号が存在するのか

令第82条の5は限界耐力計算の枠組み(損傷限界・安全限界の2段階で確かめること)を定めていますが、条文本体には損傷限界変位や固有周期Td・Ts、地盤増幅率Gsといった数値の具体的な求め方までは書かれていません。

これらの技術的な計算方法を告示に委任し、応答スペクトルや地盤特性の評価方法を詳細に定めているのが告示第1457号です。限界耐力計算は2000年(平成12年)の性能規定化改正で導入された計算方法であり、その計算方法を支える告示として同年に制定されました。

試験で問われやすいポイント

  • 限界耐力計算の2段階(令第82条の5):①損傷限界の確認(稀地震動)と②安全限界の確認(極稀地震動)の2段階。この計算に用いる損傷限界変位・安全限界変位・Td・Ts・Fh・Gs等の算出方法を定めるのが告示第1457号。
  • 係数の役割:Gsは表層地盤による加速度の増幅率(軟弱地盤ほど大)、Fhは減衰による加速度の低減率。地盤が加速度を増幅し、減衰が応答を低減する、という向きを押さえる。
  • DS(構造特性係数)との違い:DSは保有水平耐力計算(ルート3・令第82条の3)の係数で、告示第1792号が定める。限界耐力計算(令第82条の5・告示第1457号)とは別の計算体系。混同しやすい。
  • 限界耐力計算は「特定構造計算基準」であり、構造計算適合性判定が必要(法第6条の3)。

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一問一答

Q. 限界耐力計算の損傷限界変位・安全限界変位や、Td・Ts・Fh・Gsの計算方法は、どの告示で定められているか。

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A. 平成12年建設省告示第1457号(令第82条の5の委任)。あわせて、屋根ふき材・外壁等の風圧に対する安全確認の基準(令第82条の4)も定めている。

Q. 告示第1457号のGsは何を表す係数か。

答えを見る

A. 表層地盤による地震動(加速度)の増幅率。軟弱な表層地盤ほどGsは大きくなり、建物に入力される加速度が大きく評価される。一方Fhは建築物の減衰による加速度の低減率を表す。

Q. 告示第1457号(限界耐力計算)と告示第1792号(DS値)は同じ計算のための告示か。

答えを見る

A. 別の計算体系。告示第1457号は限界耐力計算(令第82条の5)の計算方法を、告示第1792号は保有水平耐力計算(ルート3・令第82条の3)の構造特性係数DS等を定める。どちらも二次設計だが根拠と手法が異なる。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。限界耐力計算の具体的な計算方法は高度で個別性が高いため、実際の設計・審査では告示原文および構造計算適合性判定機関の確認によります。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法施行令 第82条の5(限界耐力計算)
  • 建築基準法施行令 第82条の4(屋根ふき材・外装材・帳壁等の風圧に対する安全)
  • 平成12年建設省告示第1457号(損傷限界変位・Td・Bdi・層間変位・安全限界変位・Ts・Bsi・Fh及びGsを計算する方法並びに屋根ふき材等及び外壁等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を定める件)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。