壁式鉄筋コンクリート造(壁式RC造)とは?階数・壁量・壁厚の数値一覧(告示1026号)
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ルート君
低層マンションでよく聞く「壁式」のRC造って、柱や梁のあるRC造と何が違うの?何階まで建てられるの?
壁式鉄筋コンクリート造(壁式RC造)は、柱と梁の骨組ではなく、壁と床の面で建物を支える鉄筋コンクリート構造です。
令第80条の2第一号に基づく平成13年国交告第1026号が、階数5以下・軒の高さ20m以下といった適用範囲と、壁量・壁厚・鉄筋比などの数値を定めています。
建築基準法施行令 第80条の2第一号(構造方法に関する補則)
第三節から前節までに定めるもののほか、国土交通大臣が、次の各号に掲げる建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関し、安全上必要な技術的基準を定めた場合においては、それらの建築物又は建築物の構造部分は、その技術的基準に従つた構造としなければならない。
一 木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分で、特殊の構造方法によるもの
壁式RC造は「鉄筋コンクリート造で特殊の構造方法によるもの」に当たり、この第一号を受けた告示1026号が具体的な基準を定めています。
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壁式RC造とラーメンRC造は何が違うのか
一般的なRC造は、柱と梁を剛に接合した「ラーメン構造」で、水平力を柱・梁の曲げで支えます。
壁式RC造は柱や梁形(はりがた)を設けず、耐力壁と床版の面で鉛直力と水平力の両方を支える構造です。
室内に柱型・梁型が出ないため、低層の集合住宅で多く使われてきました。一方で、壁で支える前提から階数や高さに上限があります。
| 項目 | ラーメンRC造 | 壁式RC造 |
|---|---|---|
| 主に支える部材 | 柱・梁の骨組 | 耐力壁・床版の面 |
| 根拠となる規定 | 令第71条〜第79条の3(RC造の節) | 令第80条の2第一号+告示1026号 |
| 規模の上限 | 仕様規定・構造計算の範囲で対応 | 地上階数5以下・軒高20m以下・階高3.5m以下 |
| 室内の見え方 | 柱型・梁型が出る | 柱型・梁型が出にくい |
壁式RC造でも、RC造の節(令第71条〜第79条の3)やかぶり厚さ(令第79条)など一般のRC造の規定はかかり、告示1026号がそれに上乗せする形です。
どこまで建てられるのか(適用範囲)
告示1026号の第一(適用の範囲等)は、壁式RC造で建てられる規模の上限を定めています。
| 項目 | 規定値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 地階を除く階数 | 5以下 | 告示1026号 第一・一号 |
| 軒の高さ | 20m以下 | 告示1026号 第一・一号 |
| 階高(床版上面から直上階床版上面まで) | 3.5m以下 | 告示1026号 第一・二号 |
このほか第一・三号で平成19年国交告第593号第二号イに適合すること、第一・四号でプレキャスト部材を用いる場合の接合部が存在応力を伝えられることが求められます。
階数・高さ・階高のいずれかを超える計画では、壁式RC造としては扱えず、ラーメン構造などとして別途構造計算で確かめることになります。
壁量はどれだけ必要か(告示第六・耐力壁)
耐力壁は壁式RC造が地震・風に抵抗する主体で、告示第六・二号が壁量(各階の張り間方向・けた行方向に配置する耐力壁の長さの合計を、その階の床面積で除した数値)の下限を定めています。
次の表は、現場打ちの壁式RC造(告示第六・二号の表一)の数値です。壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造には別の表二が適用されます。
| 階の区分 | 壁量(床面積1㎡あたり) | 根拠 |
|---|---|---|
| 地上階|最上階から数えた階数が4及び5の階 | 15cm以上 | 告示1026号 第六・二号 表一 |
| 地上階|その他の階 | 12cm以上 | 告示1026号 第六・二号 表一 |
| 地階 | 20cm以上 | 告示1026号 第六・二号 表一 |
耐力壁は釣り合い良く配置することが求められ(告示第六・一号)、壁厚がこの表の値を超える場合などは、第六・三号により壁量を一定の範囲で低減できます。
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耐力壁の厚さはどれだけ必要か(告示第六・五号イ)
耐力壁の厚さは、告示第六・五号イの表一(現場打ち)で階数に応じて定められています。
| 階の区分 | 耐力壁の厚さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 地上階|階数1の建築物 | 12cm以上 | 告示1026号 第六・五号イ 表一 |
| 地上階|階数2の建築物 | 15cm以上 | 告示1026号 第六・五号イ 表一 |
| 地上階|階数3以上の建築物(最上階) | 15cm以上 | 告示1026号 第六・五号イ 表一 |
| 地上階|階数3以上の建築物(その他の階) | 18cm以上 | 告示1026号 第六・五号イ 表一 |
| 地階 | 18cm以上 | 告示1026号 第六・五号イ 表一 |
令第82条第一号から第三号の構造計算で安全性が確かめられた場合は、計算に基づく数値(12cm未満のときは12cm)まで薄くできます(告示第六・五号イただし書)。
配筋(鉄筋比)はどれだけ必要か(告示第六・五号ロ)
耐力壁の縦筋・横筋の鉄筋比は、告示第六・五号ロの表一(現場打ち)で階に応じて定められています。
| 階の区分 | 縦筋・横筋の鉄筋比 | 根拠 |
|---|---|---|
| 地上階|階数1の建築物 | 0.15%以上 | 告示1026号 第六・五号ロ 表一 |
| 地上階|階数2以上(最上階) | 0.15%以上 | 告示1026号 第六・五号ロ 表一 |
| 地上階|階数2以上(最上階から数えた階数が2の階) | 0.2%以上 | 告示1026号 第六・五号ロ 表一 |
| 地上階|階数2以上(その他の階) | 0.25%以上 | 告示1026号 第六・五号ロ 表一 |
| 地階 | 0.25%以上 | 告示1026号 第六・五号ロ 表一 |
上の階ほど鉄筋比が小さく、下の階ほど大きいのは、下階に地震の水平力が累積して集まるためです。
壁ばり・基礎ばり・床版はどう定められているか
壁式RC造では、耐力壁の頂部をつなぐ壁ばりと、足元の基礎ばり、水平力を伝える床版・屋根版がそれぞれ定められています。
| 部位 | 規定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 基礎ばり(べた基礎・布基礎の立上りを含む) | 一体の鉄筋コンクリート造とする | 告示1026号 第四 |
| 床版・屋根版 | 鉄筋コンクリート造とし、水平力を耐力壁・壁ばりに伝えられる剛性・耐力をもつ構造 | 告示1026号 第五 |
| 壁ばりの丈 | 45cm以上(地上部分を計算で確かめた場合を除く) | 告示1026号 第七・一号 |
| 壁ばりの配筋 | 複筋ばりとし、主筋は径12mm以上、あばら筋比0.15%以上 | 告示1026号 第七・二〜四号 |
| コンクリートの設計基準強度 | 構造耐力上主要な部分で18N/mm²以上 | 告示1026号 第二・一号 |
なぜ壁式RC造は5階建て・20mまでに限られるのか
壁式RC造は、壁の面全体で水平力に抵抗する反面、柱・梁のラーメンのように部材の粘り(変形能力)で地震エネルギーを吸収する仕組みは持ちにくい構造です。
そこで告示1026号は、階数・軒高・階高に上限を設け、壁量・壁厚・鉄筋比を階ごとに定めることで、面としての剛性と強度を確保しています。
これらの数値規定を満たす範囲であれば、壁式RC造は低層集合住宅などに適した合理的な構造になります。
試験で問われやすいポイント
- 適用範囲(告示1026号 第一):地階を除く階数5以下、軒の高さ20m以下、階高3.5m以下。いずれかを超えると壁式RC造としては扱えない。
- 壁量(第六・二号 表一・現場打ち):最上階から数えて4・5の階は15cm/㎡以上、その他の地上階は12cm/㎡以上、地階は20cm/㎡以上。各方向の耐力壁の長さの合計を床面積で除した値。
- 耐力壁の厚さ(第六・五号イ 表一):階数1で12cm、階数2で15cm、階数3以上は最上階15cm・その他の階18cm以上。
- 壁ばり(第七):丈45cm以上、複筋ばり、主筋径12mm以上、あばら筋比0.15%以上。コンクリートの設計基準強度は18N/mm²以上(第二)。
- 根拠の系統:令第80条の2第一号(構造方法に関する補則)を受けた平成13年国交告第1026号。一般RC造の耐力壁(令第78条の2)とは別系統。
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一問一答
Q. 壁式鉄筋コンクリート造で建てられる規模の上限は、階数・軒高・階高でどう定められているか(告示1026号 第一)。
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地階を除く階数5以下、軒の高さ20m以下、階高3.5m以下(告示1026号 第一・一号、二号)。
Q. 現場打ちの壁式RC造で、最上階から数えて4・5の階に必要な壁量はいくつか(告示第六・二号 表一)。
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その階の床面積1㎡につき15cm以上(告示第六・二号 表一)。その他の地上階は12cm以上、地階は20cm以上。
Q. 現場打ちの壁式RC造で、地階を除く階数3以上の建築物の耐力壁の厚さはいくつか(告示第六・五号イ 表一)。
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最上階は15cm以上、その他の階は18cm以上(告示第六・五号イ 表一)。階数1なら12cm、階数2なら15cm。
Q. 壁式RC造の壁ばりの丈と主筋径はどう定められているか(告示第七)。
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丈は45cm以上、複筋ばりとし、主筋は径12mm以上(告示第七・一〜三号)。ただし地上部分を令第82条の構造計算で確かめた場合、丈の規定は適用されない。
Q. 壁式RC造の根拠となる規定はどれか。
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令第80条の2第一号(構造方法に関する補則)に基づく平成13年国土交通省告示第1026号。一般RC造の耐力壁(令第78条の2)とは別の系統の規定である。
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参照
- 建築基準法施行令 第80条の2(構造方法に関する補則)
- 平成13年国土交通省告示第1026号(壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件)第一〜第八
- 建築基準法施行令 第78条の2(一般のRC造の耐力壁との対比)
- 建築基準法施行令 第71条〜第79条の3(鉄筋コンクリート造の節)