プレストレストコンクリート造(PC造)の構造規定とは?RC造との違いと告示第1320号(令第80条の2)
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ルート君
PC造ってRC造の仲間だよね。ふつうの鉄筋コンクリートと同じ条文で設計するの?
プレストレストコンクリート造(PC造)は、RC造の仕様規定(令第72条〜第79条の3)ではなく、令第80条の2第2号に基づく昭和58年建設省告示第1320号が構造方法を定めています。
あらかじめコンクリートに圧縮力(プレストレス)を与える構造のため、RC造とは別枠で技術的基準が用意されています。
建築基準法施行令 第80条の2(構造方法に関する補則)/昭和58年建設省告示第1320号
令第80条の2第2号の規定に基づき、プレストレストコンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を、告示第1320号の第一から第十二までに定める。
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PC造は建築基準法でどこに位置づくのか
建築基準法施行令の第3章第4節はRC造(令第72条〜第79条の3)を、第4節の2はSRC造を定めています。
PC造はそのどれでもなく、令第80条の2(構造方法に関する補則)で大臣が定める構造方法として扱われます。
| 構造 | 根拠 |
|---|---|
| 鉄筋コンクリート造 | 令第72条〜第79条の3 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 令第79条の3・第79条の4 |
| プレストレストコンクリート造 | 令第80条の2第2号・告示第1320号 |
令第80条の2は、アルミ・膜構造・丸太組構法などと同じく、政令本体に節を持たない構造の技術的基準を告示に委ねる条文です。
そのためPC造は、告示第1320号を読まないと具体の仕様がわからない構造です。
PC造には3つの種類がある
告示第1320号は、コンクリートの設計基準強度を種類ごとに定めています。
| 種類 | プレストレスの与え方 | 設計基準強度 |
|---|---|---|
| プレテンション法 | コンクリート打設前に緊張材を緊張しておく | 35N/mm²以上 |
| ポストテンション法 | コンクリート硬化後に緊張材を緊張する | 30N/mm²以上 |
| プレストレスト鉄筋コンクリート造(PRC) | 緊張材と鉄筋を併用する | 21N/mm²以上 |
緊張材と鉄筋を併用するPRCは、設計基準強度が21N/mm²以上で、RC造と同じ水準まで下がります。
コンクリートの強度は、設計基準強度との関係で昭和56年建設省告示第1102号第一に適合させます。
プレストレスはいつ導入できるのか
PC造に特有なのが、プレストレスを導入してよい時期の定めです。
告示第1320号 第六は、プレストレスを受ける部分のコンクリートの強度が、次の両方に達するまでは導入してはならないとしています。
| 導入できる条件(どちらも満たす) |
|---|
| プレストレス導入直後の最大圧縮応力度の1.7倍 |
| プレテンション法は30N/mm²、ポストテンション法は20N/mm² |
強度が出ていないコンクリートに圧縮力を与えると、コンクリート自体が壊れてしまうためです。
型わくの支柱も、はり・床版・屋根版では構造耐力上必要なプレストレスの導入が完了するまで取りはずせません。
グラウトは何のためにあるのか
ポストテンション法では、緊張材と緊張材配置孔との間に、原則としてグラウトを充填します。
このグラウトは、緊張材の防錆に有効であり、かつ高温下でも付着力の著しい低下がないものとしなければなりません。
緊張材はコンクリートの中で大きな引張り力を保ち続けるため、さびると建物全体の安全にかかわります。
あらかじめ有効な防錆材で被覆された緊張材を用いる場合など、告示に定める場合はグラウトの充填が除かれます。
柱・はり・壁の仕様はRC造とどう違うのか
部材の仕様はRC造と似ていますが、緊張材に関する定めが加わります。
| 部材 | 告示第1320号の主な仕様 |
|---|---|
| 柱 | 主筋は4本以上で帯筋と緊結/帯筋の径6mm以上・間隔15cm(柱の上下端付近は10cm)以下/帯筋比0.2%以上/柱の小径は支点間距離の1/15以上/主筋の断面積の和はコンクリート断面積の0.8%以上/緊張材は主筋と帯筋で囲まれた部分に配置 |
| はり | 複筋ばりとし、あばら筋をはりの丈の3/4以下かつ45cm以下の間隔で配置 |
| 耐力壁 | 厚さ12cm以上/開口部周囲に径12mm以上の補強筋/径9mm以上の鉄筋を縦横に配置 |
| 床版 | 厚さ8cm以上かつ短辺方向の有効張り間長さの1/40以上(構造計算で使用上の支障がないことを確かめた場合を除く) |
柱の主筋4本以上・帯筋比0.2%以上・主筋0.8%以上といった数値は、RC造の配筋規定と同じ考え方です。
そのうえで、緊張材を主筋と帯筋で囲まれた部分に有効に配置することが求められます。
構造計算はどう扱われるのか
告示第1320号は第十三以降で構造計算を定め、令第81条の各計算と同等以上に安全性を確かめられると認めています。
| 適合する部分(告示第1320号) | 同等以上とされる計算 |
|---|---|
| 第十三・第十七 | 令第82条各号・第82条の4の構造計算 |
| 第十三・第十四・第十五第一号・第十七 | 許容応力度等計算 |
| 第十三・第十四・第十五第二号・第十七 等 | 保有水平耐力計算 |
| 第十八 | 限界耐力計算 |
どの計算を用いるかは、建築物の規模による構造計算ルートの区分に従います。
PC造は令第80条の2の構造ですが、構造計算の枠組みは他の構造と同じ令第81条の中にあります。
試験・実務で押さえるポイント
- PC造は令第80条の2第2号・告示第1320号による。RC造(令第72条〜第79条の3)とは別枠。
- 設計基準強度=プレテンション法35N/mm²・ポストテンション法30N/mm²・PRC21N/mm²以上。
- プレストレスは、コンクリートの強度が導入直後の最大圧縮応力度の1.7倍、かつプレテン30・ポステン20N/mm²に達するまで導入できない。
- ポストテンション法では緊張材の防錆に有効なグラウトを充填(告示に定める場合は除く)。
- 柱=主筋4本以上・帯筋比0.2%以上・小径支点間距離の1/15以上、はり=複筋ばり、耐力壁=厚さ12cm以上。
- 構造計算は告示第十三以降で定め、令第81条の許容応力度等計算・保有水平耐力計算・限界耐力計算と同等以上に安全性を確かめる。
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一問一答
Q. PC造はRC造の仕様規定(令第72条〜第79条の3)で設計するのか。
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A. しない。プレストレストコンクリート造は、令第80条の2第2号に基づく昭和58年建設省告示第1320号が構造方法を定める別枠の構造。
Q. PC造の設計基準強度はいくつ以上か。
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A. プレテンション法は35N/mm²以上、ポストテンション法は30N/mm²以上、緊張材と鉄筋を併用するプレストレスト鉄筋コンクリート造(PRC)は21N/mm²以上(告示第1320号 第四)。
Q. プレストレスはいつから導入できるか。
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A. コンクリートの強度が、プレストレス導入直後の最大圧縮応力度の1.7倍、かつプレテンション法30N/mm²・ポストテンション法20N/mm²に達するまでは導入できない(第六)。
Q. ポストテンション法のグラウトに求められる性能は。
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A. 緊張材と緊張材配置孔との付着が良好で、緊張材の防錆に有効であり、かつ高温下でも付着力の著しい低下がないもの(第三)。
RC造の仕様はRC造の仕様規定(令第72条〜第79条の3)、コンクリートの許容応力度は告示第1450号で扱っています。ほかの記事は仕様規定の記事一覧から探せます。
参照
- 建築基準法施行令第80条の2第2号の規定に基づくプレストレストコンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準等(昭和58年7月25日 建設省告示第1320号・最終改正 平成28年5月31日国土交通省告示第791号)第一〜第十八
- 建築基準法施行令 第80条の2(構造方法に関する補則)・第72条〜第79条の3(鉄筋コンクリート造)・第81条(構造計算)
- 昭和56年建設省告示第1102号(コンクリートの強度)