免震住宅に耐震等級は付くのか?住宅性能表示1-3「その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)」と免震材料の維持管理計画
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ルート君
免震の住宅の性能評価書を見たら、地震の等級の欄に数字が入ってなかった。評価してもらえないの?
免震建築物であるとされた住宅は、住宅性能表示制度で耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)と耐震等級(構造躯体の損傷防止)の評価の対象から除かれます。
代わりに、1-3「その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)」で、免震建築物であるか否かが明示されます。
日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)別表1
1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)、1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)の適用範囲は、「一戸建ての住宅又は共同住宅等(1-3において、免震建築物であるとされたものを除く。)」とされている。
1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)の表示の方法は、「評価対象建築物が免震建築物であるか否かを明示する。」とされている。
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免震住宅に耐震等級が付かないのはどの規定によるのか
根拠は、日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)の別表1です。
1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)と1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)は、適用範囲そのものから1-3において免震建築物であるとされたものを除くと書かれています。
つまり、免震建築物は「等級が低い」のではなく、等級で評価する項目の対象外という扱いになります。
1-1・1-2と1-3の関係を、判定の分かれ方で整理すると次のとおりです。
| 性能表示事項 | 免震建築物とされた住宅での扱い | 表示の方法 |
|---|---|---|
| 1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) | 適用範囲から除かれる | 等級(1、2又は3)による |
| 1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止) | 適用範囲から除かれる | 等級(1、2又は3)による |
| 1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) | この項目で扱う | 評価対象建築物が免震建築物であるか否かを明示する |
1-3「その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)」では何を評価するのか
評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)の1-3は、評価すべきものを2つ挙げています。
評価対象建築物が免震建築物であることと、免震建築物の維持管理に関する基本的な事項が明らかになっていることです。
評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)1-3(3)評価基準(新築住宅)
イ 評価対象建築物が免震建築物(平成12年建設省告示第2009号第1第三号に規定する免震建築物をいう。)であって、告示第2各号に規定する構造方法によるものであること。
ロ 当該免震建築物の免震層及び免震材料の維持管理に関し、次に掲げる事項が明示された図書が作成されていること。
ここで、免震建築物・免震層・免震材料の定義は、いずれも建築基準法側の平成12年建設省告示第2009号を引いています。
免震材料の性能そのものを等級で測るのではなく、告示第2009号の構造方法によるものかと、維持管理の図書があるかを確かめる形です。
免震材料等の維持管理計画には何が書かれている必要があるのか
1-3(3)ロが求める図書は、次の2つの計画です。
| 明示すべき事項 | 記載が求められる内容 |
|---|---|
| 免震材料等の維持管理に関する計画 | 定期点検及び臨時点検として、その頻度及び項目並びにそれぞれ基準となる数値等が記載されているものに限る |
| 敷地の管理に関する計画 | 免震建築物の実況に応じたもので、定期点検及び臨時点検として、その頻度及び項目並びにそれぞれ基準となる数値等が記載されているものに限る |
「免震材料等」には、免震材料のほか、告示第2009号第4第一号ロただし書の規定によって設置された部材が含まれます。
暴風により生ずる免震層の著しい変位を防止するための措置に必要な部材が、これにあたります。
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既存住宅では免震建築物の何を確認するのか
既存住宅の評価基準では、新築の基準に加えて、現況についての確認が求められます。
免震材料等に、傷、割れ、腐食による断面欠損若しくは折損、油漏れ、著しい変形又は傾斜等の変状その他の構造耐力に関連する劣化事象等が認められないことが基準です。
あわせて、免震層の地震応答変位を阻害するおそれのあるものの設置等が認められないことも確認します(告示第2009号第6第2項第五号ハ)。
建築基準法の免震の規定とはどう役割が違うのか
建築基準法は、免震建築物を設計してよいかの側を定めています。
令第81条第1項の大臣認定ルートか、告示第2009号の構造方法による限界耐力計算かという、構造計算の道筋です。
品確法の住宅性能表示は、その建物を買い手・住まい手にどう表示するかの側を定めています。
免震建築物であるか否かの明示と、維持管理の図書の有無が評価対象になります。
| 区分 | 建築基準法 | 品確法(住宅性能表示制度) |
|---|---|---|
| 根拠 | 令第81条第1項・第2項、平成12年建設省告示第2009号 | 告示第1346号(表示すべき事項)、告示第1347号(評価の方法) |
| 免震建築物の扱い | 構造計算の方法(大臣認定ルート/告示免震ルート)を定める | 1-3で免震建築物か否かを明示し、耐震等級(1-1・1-2)の適用範囲から除く |
| 維持管理 | 告示第2009号が構造方法・計算方法を定める | 維持管理の計画を明示した図書があることを評価する |
試験・実務で押さえるポイント
- 免震建築物とされた住宅は、1-1・1-2の耐震等級の適用範囲から除かれる(告示第1346号 別表1)。等級が低いのではなく、等級で表示する項目の対象外になる。
- 免震建築物は1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)で、免震建築物であるか否かが明示される。
- 1-3の評価事項は、免震建築物であることと維持管理に関する基本的な事項が明らかになっていることの2つ(告示第1347号)。
- 維持管理の図書には、免震材料等の維持管理に関する計画と敷地の管理に関する計画が必要で、いずれも定期点検・臨時点検の頻度、項目、基準となる数値等の記載が求められる。
- 既存住宅では、免震材料等の変状・劣化事象等がないことと、免震層の地震応答変位を阻害するおそれのあるものの設置等がないことを確認する。
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一問一答
Q. 免震建築物とされた住宅に、住宅性能表示制度の耐震等級は付くか。
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A. 付かない。日本住宅性能表示基準(告示第1346号)別表1で、1-1・1-2の耐震等級は「1-3において、免震建築物であるとされたものを除く」とされ、適用範囲から除かれる。
Q. 1-3「その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)」で評価するのは何か。
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A. 評価対象建築物が免震建築物であること(平成12年建設省告示第2009号の構造方法によるものであること)と、免震建築物の維持管理に関する基本的な事項が明らかになっていること。
Q. 免震材料等の維持管理に関する計画には、何の記載が求められるか。
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A. 定期点検及び臨時点検として、その頻度及び項目並びにそれぞれ基準となる数値等が記載されていること。免震材料等の計画と、敷地の管理に関する計画の2つが求められる。
免震構造そのものの構造計算ルートは免震構造の法的根拠(令第81条第1項)、品確法の耐震等級2以上で必要になる床の検定は床倍率で扱っています。
参照
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)
- 日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号・令和7年9月1日公布/令和7年12月1日施行)別表1=1-1・1-2の適用範囲、1-3の表示の方法
- 評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号・令和8年3月31日公布/令和8年5月29日施行)1-3=評価事項・新築住宅/既存住宅の評価基準
- 平成12年建設省告示第2009号(免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件)=免震建築物・免震層・免震材料の定義