長期優良住宅の耐震性は耐震等級2だけ?4つの適合ルートと免震建築物(平成21年国土交通省告示第209号)

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ルート君

長期優良住宅は耐震等級2を取らないとダメって聞いたけど、ほかに方法はないの?

長期優良住宅の耐震性は、耐震等級2を取る一択ではありません。

告示第209号は4つの定め方を並べていて、そのいずれかに適合すればよい形になっています。

長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号)第3の2(2)新築基準

「次の①から④までのいずれかに定めるところにより、基準に適合すること。」

① 評価方法基準第5の1の1―1(3)イによる場合 ② 同(3)ロによる場合 ③ 同(3)ハからリまでによる場合 ④ 評価方法基準第5の1の1―3による場合

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長期優良住宅の耐震性はどの規定で決まるのか

入口は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の第6条第1項第一号です。

所管行政庁が認定できるのは、「当該申請に係る住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること」等の基準に適合すると認めるときとされています。

その長期使用構造等の中身が、法第2条第4項です。

長期優良住宅の普及の促進に関する法律 第2条第4項第一号ロ

「この法律において『長期使用構造等』とは、住宅の構造及び設備であって、次に掲げる措置が講じられたものをいう。」

「一 当該住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために次に掲げる事項に関し誘導すべき国土交通省令で定める基準に適合させるための措置」

「ロ 前項第一号に掲げる住宅の部分の地震に対する安全性の確保

前項第一号に掲げる住宅の部分とは、法第2条第3項第一号の「住宅の構造耐力上主要な部分として政令で定めるもの」です。

この省令が施行規則第1条で、そこから告示第209号の第3の2「耐震性」に降りてきます。

規定 内容
第6条第1項第一号 住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること(認定基準)
第2条第4項第一号ロ 構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性の確保の措置
省令 施行規則第1条 国土交通大臣が定める措置に委任
告示 第209号 第3の2 耐震性の具体的な基準(①〜④のいずれか)

4つの適合ルートはどう分かれているのか

①から③は、評価方法基準の耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価方法の区分に対応しています。

④だけが、耐震等級ではなく免震建築物の側の基準です。

ルート 評価方法基準の区分 求められる水準
1―1(3)イ=限界耐力計算による場合 イ・ロ・ハのいずれか(安全限界変形の制限、または等級2・3+制限)
1―1(3)ロ=保有水平耐力計算等による場合 イ・ロのいずれか(等級2又は3、またはRC造・SRC造で等級1+DSの条件)
1―1(3)ハからリまで=大臣が定める基準に従った構造計算、階数が2以下の木造、枠組壁工法等による場合 等級2又は等級3の基準に適合
1―3=その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)による場合 1―3(3)の免震建築物の基準に適合

①から③には、「認定対象建築物のうち、建築基準法第20条第1項第一号に規定する建築物以外の認定対象建築物について」という限定が付いています。

4つのルートを並べると、④だけ性格が違うことがわかります。

長期優良住宅の耐震性は4つのルートのいずれか(告示第209号 第3の2) 限界耐力計算による場合 安全限界変形の制限、または等級2・3+制限のいずれか 保有水平耐力計算等による場合 等級2又は3、またはRC造・SRC造で等級1+Dsの条件 大臣が定める基準に従った構造計算、階数2以下の木造、枠組壁工法等 等級2又は等級3の基準に適合 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)による場合 免震建築物の基準に適合 ①〜③は耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価方法の区分に対応。④だけが免震建築物の基準 ①〜③には「法第20条第1項第一号に規定する建築物以外の認定対象建築物について」という限定が付く
図:耐震性の4つの適合ルートと、④(免震建築物)だけが別の系統であること。

限界耐力計算による場合(①)は何が上乗せされるのか

①は、イ・ロ・ハの3通りです。

イは、評価方法基準1―1(3)イの基準に適合したうえで、地上部分の各階の安全限界変形(令第82条の5第五号イ)の当該階の高さに対する割合が、それぞれ1/100以下(木造である階は1/40以下)であることを求めます。

ロは木造の建築物の扱いで、各階の安全限界変形をそれぞれ75%以下とした変形を当該各階の安全限界変形と読み替えて、1―1(3)イの基準に適合させる方法です。

ハは、1―1(3)の等級2又は等級3の基準に適合させる方法です。

ただしハでは、令第82条の5第五号ハの表のGsの数値を平成12年建設省告示第1457号第10第1項に従って計算し、安全限界変形の割合をそれぞれ1/75以下(木造である階は1/30以下)とします。

保有水平耐力計算等による場合(②)はどうなるのか

②のイは、評価方法基準1―1(3)の等級2又は等級3の基準に適合することです。

②のロは、等級1のままでも認められる例外にあたります。

令第82条の保有水平耐力計算により等級1の基準に適合することが確認されたRC造又はSRC造で、各階の張り間方向・けた行方向のそれぞれが次の(a)(b)のいずれかに適合する場合です。

区分 基準
(a) 各階のDSの数値がRC造0.3・SRC造0.25であり、かつ極めて稀に発生する地震による力(令第88条第3項)によって地上部分の各階に生ずる応答変位の当該階の高さに対する割合が1/75以下であること(構造躯体の損傷抑制性能を適切に評価できる方法と認められる方法により確かめられたものに限る)
(b) 各階のDSの数値がRC造0.55・SRC造0.5であること

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免震建築物を選ぶとどうなるのか(④)

④は、評価方法基準1―3(3)の免震建築物の基準に適合することです。

この1―3は、住宅性能表示制度で免震建築物であるか否かを明示する項目にあたります。

免震建築物であるとされた住宅は、耐震等級(1―1・1―2)の適用範囲から除かれます。

耐震等級が付かないまま、長期優良住宅の耐震性は満たせる関係になっています。

増築・改築の場合の基準はどう違うのか

増改築基準は、評価方法基準1―1(4)の等級1の基準、又は1―3(4)の基準に適合することとされています。

新築基準が等級2又は等級3を軸にしているのに対して、増改築では水準が変わります。

試験・実務で押さえるポイント

  • 長期優良住宅の耐震性は、告示第209号第3の2(2)の①から④のいずれかに適合すればよく、耐震等級2の一択ではない。
  • 根拠の連鎖は、法第6条第1項第一号(長期使用構造等)→法第2条第4項第一号ロ(地震に対する安全性の確保)→施行規則第1条→告示第209号第3の2
  • ①限界耐力計算による場合は安全限界変形1/100以下(木造である階は1/40以下)等、③ハからリまでによる場合は等級2又は等級3
  • ②保有水平耐力計算等による場合は等級2又は等級3のほか、RC造・SRC造では等級1+DS0.3/0.25かつ応答変位1/75以下、またはDS0.55/0.5という例外がある。
  • ④は免震建築物の基準に適合する方法で、この場合は耐震等級の評価を受けない。①から③は建築基準法第20条第1項第一号の建築物以外が対象。

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一問一答

Q. 長期優良住宅の認定を受けるには、耐震等級2以上が必ず必要か。

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A. 必ずではない。告示第209号第3の2(2)は①から④のいずれかとしており、限界耐力計算で安全限界変形の制限を満たす方法や、免震建築物の基準による方法もある。

Q. 長期優良住宅の耐震性で、免震建築物はどう扱われるか。

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A. ④の評価方法基準1―3(3)の免震建築物の基準に適合すればよい。免震建築物は耐震等級(1―1・1―2)の適用範囲から除かれるため、等級が付かないまま耐震性の基準を満たす。

Q. RC造で耐震等級1のまま、長期優良住宅の耐震性を満たす方法はあるか。

答えを見る

A. ②のロにある。令第82条の保有水平耐力計算で等級1の基準に適合し、各階の各方向がDS0.3(SRC造0.25)かつ応答変位1/75以下、またはDS0.55(SRC造0.5)であればよい。

免震建築物の性能表示上の扱いは免震住宅に耐震等級は付くのか、耐震等級2以上で必要になる床の検定は床倍率で扱っています。

最終判断は、所管行政庁または登録住宅性能評価機関に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。告示第209号は令和6年12月27日国土交通省告示第1396号による改正版(令和7年4月1日施行)を参照しています。

参照

  • 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)第2条第3項・第4項、第6条第1項
  • 長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号・最終改正 令和6年12月27日国土交通省告示第1396号/令和7年4月1日施行)第3の2=耐震性
  • 評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号・令和8年5月29日施行)第5の1の1―1(3)=耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価方法、同1―3=免震建築物
  • 建築基準法施行令 第82条、第82条の3、第82条の5第五号、第88条第3項
  • 平成12年建設省告示第1457号(第10第1項=Gsの計算)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。