長期優良住宅の増改築でRC造の中性化深さは何mmまで?築年数・かぶり厚さ別の上限と調査方法(告示第209号)
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ルート君
古い建物を長く使う認定に出すのに、コンクリートに穴をあけて調べるって言われた。何を測って、どこまでならいいの?
長期優良住宅の増改築基準・既存基準では、RC造の劣化対策をコンクリートの実測で確かめる場合、中性化深さが築年数と最小かぶり厚さに応じた上限を超えないことが求められます。
上限は告示第209号の表にあり、たとえば築30年以上40年未満・最小かぶり厚さ30mm以上40mm未満なら8mmです。
長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号)第3の1(3)③
「評価方法基準第5の3の3―1(4)ハ①aの基準を適用する場合にあってはイに掲げる基準に適合し、評価方法基準第5の3の3―1(4)ハ①bの基準を適用する場合にあってはロに掲げる基準に適合すること。」
「ロ 次の(a)から(c)までの方法により確かめられたコンクリートの中性化深さ(以下「中性化深さ」という。)が、次の表の(い)項に掲げる築年数に応じ、耐力壁、柱又ははりの最小かぶり厚さのうち最も小さいものの数値が30mm以上40mm未満である場合は同表の(ろ)項(イ)項に掲げる数値を、40mm以上である場合は同表の(ろ)項(ハ)項に掲げる数値を超えないこと。」
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中性化深さはどの場面で出てくるのか
新築の長期優良住宅では、RC造の劣化対策はセメントの種類・水セメント比・かぶり厚さという仕様で確かめます。
すでに建っている建物ではその仕様が図書等で確かめられるとは限らないため、コンクリートそのものの状態を測る方法が用意されています。
長期優良住宅の基準は、次の3つの場面に分かれています。
| 基準 | 対象 | 中性化深さ |
|---|---|---|
| 新築基準(第3の1(2)) | 新築する住宅 | 出てこない(セメントの種類・水セメント比による) |
| 増改築基準(第3の1(3)) | 住宅を増築し、又は改築しようとする場合 | 実測で確かめる場合に出てくる |
| 既存基準(第3の1(4)) | 長期優良住宅維持保全計画の認定を受けて維持保全を行おうとする場合 | 増改築基準が準用される場合に出てくる |
既存基準では、平成21年6月3日以前に新築した住宅と、平成28年3月31日以前に増築・改築した住宅が、増改築基準を用いる形になります。
平成21年6月4日以後に新築した住宅は新築基準の側を用いるため、この表の数値は使いません。
なぜaとbで上乗せの中身が変わるのか
増改築基準は、まず品確法の評価方法基準で劣化対策等級3に適合することを求めます。
その等級3は、RC造では次のaかbのどちらかで確かめる形になっています。
| 記号 | 評価方法基準 第5の3の3―1(4)ハ①の中身 |
|---|---|
| a | 目視・計測等により確認された現況又は図書等に記載された内容が、新築の基準(セメントの種類・コンクリートの水セメント比)に適合していること |
| b | コンクリートの中性化深さが表1の数値を超えず、かつコンクリート中の塩化物イオン量が0.3kg/m³以下であること |
告示第209号は、このaとbのどちらを適用したかで、長期優良住宅としての上乗せを振り分けます。
| 等級3をどちらで確かめたか | 告示第209号 第3の1(3)③の上乗せ |
|---|---|
| a(仕様で確かめた) | イ=新築基準(2)③に適合=水セメント比45%以下(かぶりを増した場合は50%以下) |
| b(実測で確かめた) | ロ=告示第209号の表の中性化深さを超えないこと |
aは新築と同じく水セメント比を絞る話で、bは今あるコンクリートがどこまで中性化しているかという話です。
水セメント比の側の数値は劣化対策等級でRC造のかぶり厚さはどう変わる?で扱っています。
中性化深さの上限は何mmか
表の横軸は最小かぶり厚さの2区分、縦軸は築年数です。
最小かぶり厚さは、耐力壁、柱又ははりの最小かぶり厚さのうち最も小さいもので見ます。
| 築年数 | 最小かぶり厚さ30mm以上40mm未満 | 最小かぶり厚さ40mm以上 | ||
|---|---|---|---|---|
| (イ) | (ロ)品質管理あり | (ハ) | (ニ)品質管理あり | |
| 10年未満 | 4mm | 5mm | 7mm | 8mm |
| 10年以上20年未満 | 6mm | 8mm | 10mm | 11mm |
| 20年以上30年未満 | 7mm | 9mm | 12mm | 14mm |
| 30年以上40年未満 | 8mm | 11mm | 14mm | 16mm |
| 40年以上50年未満 | 9mm | 12mm | 16mm | 18mm |
| 50年以上60年未満 | 10mm | 14mm | 17mm | 20mm |
| 60年以上70年未満 | 11mm | 15mm | 19mm | 22mm |
| 70年以上80年未満 | 12mm | 16mm | 20mm | 23mm |
| 80年以上90年未満 | 13mm | 17mm | 21mm | 25mm |
| 90年以上100年未満 | 13mm | 18mm | 22mm | 26mm |
(ロ)と(ニ)は、告示第209号のただし書きで「建築時に一定の品質管理がなされていると認められるとき」に、(イ)(ハ)に代えて用いることができる欄です。
かぶりが厚いほど、また築年数が経っているほど、認められる中性化深さは大きくなります。
品確法の等級3の表とどう違うのか
中性化深さの表は、品確法の評価方法基準の側(表1)にもあります。
同じ築年数・同じかぶりでも、告示第209号の数値のほうが小さく設定されています。
| 築年数(かぶり30mm以上40mm未満・(イ)項) | 品確法 劣化対策等級3 | 長期優良住宅 |
|---|---|---|
| 評価方法基準 表1 | 告示第209号の表 | |
| 10年未満 | 5mm | 4mm |
| 30年以上40年未満 | 10mm | 8mm |
| 50年以上60年未満 | 12mm | 10mm |
| 90年以上100年未満 | 16mm | 13mm |
等級3の表1をクリアしていても、それだけでは長期優良住宅の側の数値に収まっているとは限りません。
bで確かめる場合は、等級3の表1と告示第209号の表の両方を満たす形になります。
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コンクリートはどこから何箇所採取するのか
測り方も告示第209号が定めています。
供試体又は削孔粉(あわせて「供試体等」)は、共用部分で仕上げ材のない箇所から採取します。
| 地上階数 | 採取する階 | 箇所数 |
|---|---|---|
| 3以下 | 1以上の階 | 当該階ごとに3箇所以上 |
| 4以上6以下 | 最上階と最下階(地上に限る)を含む2以上の階 | |
| 7以上 | 最上階・中間階・最下階(地上に限る)を含む3以上の階 |
ただし、新築の水セメント比の基準(評価方法基準 第5の3の3―1(3)ハ①b(i)又は(ii))に適合する場合は、箇所数が軽くなります。
地上階数5以下なら各階のうち少なくとも1の階において1箇所以上、地上階数6以上なら最上階において1箇所以上で足ります。
| 項目 | 方法 |
|---|---|
| 採取方法 | 日本産業規格A1107に規定する方法(コア採取法)又はこれと同等と認められる方法 |
| 測定方法 | 日本産業規格A1152に規定する方法又はこれと同等と認められる方法 |
| 評価に用いる値 | 測定結果のうち、中性化が最も進行している箇所の中性化深さの数値 |
平均値ではなく、最も進行している箇所の数値で判定するところが要点です。
なぜ中性化深さで劣化対策を確かめられるのか
評価方法基準は、RC造の住宅の劣化現象を「コンクリートの中性化による鉄筋の発錆及び凍結融解作用によるコンクリートの劣化」と定義しています。
鉄筋を守っているのはアルカリ性のコンクリートで、中性化がかぶりの内側の鉄筋位置まで進むと鉄筋が発錆します。
そのため、今どこまで中性化が進んでいるかと、鉄筋までの距離であるかぶり厚さの組み合わせで、残りの余裕を見る形になります。
同じ中性化深さでも、かぶりが40mm以上あるほうが大きい値まで認められるのはこのためです。
なお、bで確かめる場合も、建築基準法(令第79条)のかぶり厚さに適合していることが前提に置かれています。
試験・実務で押さえるポイント
- 中性化深さが出てくるのは増改築基準・既存基準で、新築基準では出てこない(告示第209号 第3の1(3)③ロ)。
- 品確法の劣化対策等級3をa(仕様で確かめる)で適用したら水セメント比45%以下、b(実測で確かめる)で適用したら中性化深さの表という振り分け。
- 上限は築年数と耐力壁・柱・はりの最小かぶり厚さのうち最も小さいもの(30mm以上40mm未満/40mm以上)で決まる。
- 告示第209号の数値は、品確法の評価方法基準 表1より小さい(築30年以上40年未満・かぶり30mm以上40mm未満で表1が10mm、告示第209号が8mm)。
- 採取は共用部分で仕上げ材のない箇所から。採取はJIS A1107、測定はJIS A1152で、中性化が最も進行している箇所の値で評価する。
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一問一答
Q. 長期優良住宅の増改築で、RC造の中性化深さの上限はどう決まるか。
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A. 築年数と、耐力壁・柱・はりの最小かぶり厚さのうち最も小さいものの数値(30mm以上40mm未満か、40mm以上か)に応じて、告示第209号 第3の1(3)③ロの表の数値による。築30年以上40年未満・かぶり30mm以上40mm未満なら8mm。
Q. 増改築のRC造では、必ず中性化深さを測るのか。
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A. 必ずではない。品確法の劣化対策等級3を評価方法基準 第5の3の3―1(4)ハ①a(セメントの種類・水セメント比を現況又は図書等で確かめる方法)で適用した場合は、告示第209号 第3の1(3)③イ=新築基準の水セメント比の側に適合すればよい。
Q. 品確法の劣化対策等級3の表1に収まっていれば、長期優良住宅の基準も満たすか。
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A. 満たすとは限らない。告示第209号の表の数値は表1より小さく設定されており、bで確かめる場合は両方を満たす必要がある。
Q. 中性化深さは平均値で評価するのか。
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A. 測定結果のうち、中性化が最も進行している箇所の中性化深さの数値を用いて評価する。
建築基準法のかぶり厚さの数値はRC造のかぶり厚さ(令第79条)、長期優良住宅の耐震性は4つの適合ルートで扱っています。ほかの記事は仕様規定の記事一覧から探せます。
参照
- 長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号・最終改正 令和6年12月27日国土交通省告示第1396号/令和7年4月1日施行)第3の1(2)③・(3)③・(4)=構造躯体等の劣化対策
- 評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号・令和8年5月29日施行)第5の3の3―1(3)ハ・(4)ハ=鉄筋コンクリート造等の劣化対策等級
- 建築基準法施行令 第79条(鉄筋のかぶり厚さ)
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)