擁壁の構造基準とは?RC造の4つの検定と練積み造の勾配・高さ・下端の厚さ(盛土規制法施行令)

本ページはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

ルート君

擁壁って、コンクリートのと石を積んだのがあるよね。どっちも同じ計算で決めてるの?

擁壁の構造は、鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造なら構造計算で、間知石練積み造その他の練積み造なら別表第四の寸法基準で確かめます。

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の施行令が、この2つの確かめ方を分けて定めています。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第1項(鉄筋コンクリート造等の擁壁の構造)

「鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の擁壁の構造は、構造計算によつて次の各号のいずれにも該当することを確かめたものでなければならない。」

一 土圧、水圧及び自重(以下「土圧等」という。)によつて擁壁が破壊されないこと。/二 土圧等によつて擁壁が転倒しないこと。/三 土圧等によつて擁壁の基礎が滑らないこと。/四 土圧等によつて擁壁が沈下しないこと。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

建築関係法令集 法令編

建築関係法令集 法令編

構造の条文を実際に引くなら、法令集が手元に一冊あると確実です。

実務者向けメモ:擁壁・地盤の実務の市場価値は設計者の転職エージェント比較で見ておけます。

擁壁の構造はどの法令が定めているのか

宅地造成等工事規制区域等で崖を生じる盛土・切土をする場合、崖面には擁壁を設けます。

その擁壁は、盛土規制法施行令第8条第1項第2号により鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積み造その他の練積み造とすることとされています。

擁壁の種類 確かめ方
鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造 構造計算 令第9条
間知石練積み造その他の練積み造 別表第四の寸法基準 令第10条

擁壁の種類によって、確かめ方が構造計算と寸法基準に分かれます。

擁壁の構造は何で確かめるか(盛土規制法施行令) 崖面に設ける擁壁(令第8条第1項第2号) 鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・練積み造とする 鉄筋コンクリート造・ 無筋コンクリート造 構造計算で確かめる (令第9条・土圧・水圧・自重に対して) 一 擁壁が破壊されない 二 擁壁が転倒しない 三 擁壁の基礎が滑らない 四 擁壁が沈下しない 間知石練積み造 その他の練積み造 別表第四の寸法基準による (令第10条) 崖の土質と、擁壁の勾配・高さの組合せごとに 下端部分の厚さ・上端の厚さ・根入れの深さを規定 =計算ではなく寸法で確かめる
図:擁壁の種類による確かめ方の違い(令第9条の構造計算と令第10条の寸法基準)。

建築基準法の側では、工作物としての擁壁の構造方法を令第142条が定め、盛土規制法施行令の規定を引く形になっています。

この記事では、その中身である擁壁そのものの構造基準を扱います。

RC造の擁壁は何を計算で確かめるのか

鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造の擁壁は、土圧・水圧・自重(土圧等)に対して、令第9条第1項の4つのいずれにも該当することを構造計算で確かめます。

確かめること
擁壁が破壊されない
擁壁が転倒しない
擁壁の基礎が滑らない
擁壁が沈下しない

この4つは、それぞれ第2項で具体的な数値の確かめ方に落とされています。

構造計算の内容(令第9条第2項)
一(破壊) 土圧等によって各部に生ずる応力度が、鋼材又はコンクリートの許容応力度を超えない
二(転倒) 土圧等による転倒モーメントが、擁壁の安定モーメントの3分の2以下
三(滑り) 基礎の滑り出す力が、基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力の3分の2以下
四(沈下) 地盤に生ずる応力度が地盤の許容応力度を超えない(基礎ぐいを用いた場合は、基礎ぐいに生ずる応力が基礎ぐいの許容支持力を超えない

転倒と滑りは、いずれも余裕を見て3分の2以下に抑えます。

建築物の構造計算では見慣れない「モーメントの3分の2」という書き方が、擁壁の側の特徴です。

計算に使う数値はどこから取るのか

令第9条第3項は、計算に必要な数値の取り方を定めています。

数値 取り方
土圧等 実況に応じて計算した数値(盛土の場合の土圧は、土質に応じ別表第二の単位体積重量及び土圧係数を用いてよい)
鋼材・コンクリート・地盤の許容応力度、基礎ぐいの許容支持力 建築基準法施行令第90条(表一を除く)・第91条・第93条・第94条中の長期に生ずる力に対する部分の例による
基礎の最大摩擦抵抗力その他の抵抗力 実況に応じて計算した数値(土質に応じ別表第三の摩擦係数を用いてよい)

許容応力度は、建築基準法施行令の長期に生ずる力に対する部分を借りてくる形です。

地盤や杭の許容支持力も、建築物の基礎と同じ土俵で見ます。

練積み造は計算ではなく寸法で決まる

間知石練積み造その他の練積み造の擁壁は、令第10条により勾配・高さ・下端部分の厚さを、崖の土質に応じた別表第四の基準に適合させます。

下端部分の厚さとは、擁壁の前面の下端以下の擁壁の部分の厚さです。

たとえば勾配65度以下・高さ4m超5m以下の下端部分の厚さは、土質でこれだけ変わります。

土質(勾配65度以下・高さ4m超5m以下) 下端部分の厚さ
第一種(岩、岩屑、砂利又は砂利混じり砂)60cm以上
第二種(真砂土、関東ローム、硬質粘土等)80cm以上
第三種(その他の土質)120cm以上

同じ勾配・高さでも、土質が第一種→第二種→第三種と悪くなるほど下端部分の厚さが増します

勾配は70度超75度以下・65度超70度以下・65度以下の3区分、高さは2m以下から5m以下までの区分で、その組合せごとに別表第四が厚さを定めています。正確な値は崖の土質と勾配・高さの組合せごとに別表第四で確認してください。

そのほか、令第10条は次の仕様も求めています。

項目 内容
上端の厚さ 地盤の土質が第一種・第二種なら40cm以上、その他なら70cm以上
組積材 控え長さを30cm以上とし、コンクリートを用いて一体の擁壁とし、背面に栗石・砂利等で有効に裏込め
根入れの深さ 第一種・第二種なら高さの15%以上(35cm未満なら35cm)、その他なら高さの20%以上(45cm未満なら45cm)。かつ一体のコンクリート造の基礎を設ける
はらみ出しのおそれ 破壊のおそれがあるときは、適当な間隔に鉄筋コンクリート造の控え壁を設ける等の措置

擁壁・地盤は、学科試験でも問われやすい分野です。学習の進め方は、スタディングの評判もあわせてご覧ください。

水抜穴はどれくらい要るのか

擁壁の裏面の排水をよくするため、令第12条が水抜穴を求めています。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第12条(擁壁の水抜穴)

「擁壁には、その裏面の排水を良くするため、壁面の面積3平方メートル以内ごとに少なくとも1個の内径が7.5センチメートル以上の陶管その他これに類する耐水性の材料を用いた水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺その他必要な場所には、砂利その他の資材を用いて透水層を設けなければならない。」

裏込めや水抜穴が効くのは、水圧を擁壁の背面にためないためです。

RC造の計算でも土圧「等」に水圧が含まれていたとおり、水は擁壁にとって大きな外力になります。

試験・実務で押さえるポイント

  • 擁壁は鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造は構造計算(令第9条)、練積み造は別表第四の寸法(令第10条)で確かめる。
  • RC造の4つ=破壊・転倒・滑り・沈下しないこと。転倒モーメントは安定モーメントの2/3以下、基礎の滑り出す力は最大摩擦抵抗力等の2/3以下
  • 許容応力度・許容支持力は、建築基準法施行令第90・91・93・94条の長期の部分の例による。
  • 練積み造は土質(第一種・第二種・第三種)×勾配×高さで下端部分の厚さが決まる。土質が悪いほど厚い。
  • 練積み造の根入れは第一種・第二種で高さの15%以上(最小35cm)、その他で高さの20%以上(最小45cm)。控え長さは30cm以上
  • 水抜穴は壁面3㎡以内ごとに1個以上・内径7.5cm以上、裏面に透水層。

擁壁・地盤の設計経験は、転職でも強みになります。建築士・設計者の転職エージェント比較で選択肢を確かめてみてください。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

一問一答

Q. RC造の擁壁は、構造計算で何を確かめるか。

答えを見る

A. 土圧・水圧・自重(土圧等)によって、擁壁が破壊・転倒・滑り・沈下しないことを確かめる(盛土規制法施行令第9条第1項)。転倒モーメントは安定モーメントの2/3以下、基礎の滑り出す力は最大摩擦抵抗力等の2/3以下。

Q. 練積み造の擁壁の厚さは何で決まるか。

答えを見る

A. 崖の土質(第一種・第二種・第三種)と、擁壁の勾配・高さの組合せに応じて、別表第四が下端部分の厚さを定めている(令第10条)。土質が悪いほど厚くなる。

Q. 擁壁の許容応力度は、長期・短期どちらを使うか。

答えを見る

A. 建築基準法施行令第90条(表一を除く)・第91条・第93条・第94条の、長期に生ずる力に対する許容応力度・許容支持力の部分の例による(令第9条第3項第2号)。

Q. 水抜穴はどのくらい設けるか。

答えを見る

A. 壁面の面積3㎡以内ごとに少なくとも1個、内径7.5cm以上の耐水性の材料の水抜穴を設け、裏面に透水層を設ける(令第12条)。

擁壁の確認申請の要否は擁壁の確認申請が必要になる高さ・条件は?、盛土規制法の全体像は盛土規制法とは?で扱っています。ほかの記事は総則・第20条の記事一覧から探せます。

最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。別表第四の下端部分の厚さは崖の土質・勾配・高さの組合せごとに定められているため、正確な値は盛土規制法施行令の別表をご確認ください。

参照

  • 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第8条(擁壁の設置に関する技術的基準)・第9条(鉄筋コンクリート造等の擁壁の構造)・第10条(練積み造の擁壁の構造)・第12条(擁壁の水抜穴)・別表第二〜第四
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)第13条第1項
  • 建築基準法施行令 第90条・第91条・第93条・第94条(許容応力度・許容支持力)/第142条(擁壁の構造方法)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。